トランプ大統領訪英~最大限の歓迎もファーウェイ問題では足並み揃わず

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月5日放送)に国際政治学者の高橋和夫が出演。トランプ大統領の訪英について解説した。

トランプ大統領訪英~最大限の歓迎もファーウェイ問題では足並み揃わず

ロンドンで共同記者会見に臨むトランプ米大統領(左)とメイ英首相(イギリス・ロンドン)=2019年6月4日 写真提供:時事通信

トランプ大統領とメイ首相が会談

トランプ大統領は6月4日、訪問先のロンドンでイギリスのメイ首相と会談した。会談後の共同会見ではイギリスのEU離脱に合わせて、FTA(自由貿易協定)の締結に取り組む意欲を示している。

飯田)今回は国賓としてイギリスを訪れているトランプ大統領。会談の中心はFTAとファーウェイというところです。今回はツイッターなどでもロンドン市長を貶したりしていましたが、ご覧になっていかがでしょうか。

高橋)想定されたとは言え、「次の首相はいいやつだよ」などと明らかにイギリスの内政に干渉していて、「それはないでしょう」と思いました。外交的なエチケットとしては、トランプ大統領にしても外れすぎではないでしょうか。大歓迎ではなく、大反対のデモもありましたしね。それでもイギリスという国がアメリカという同盟国に最大の敬意を払う、トランプ大統領個人ではなく大統領というポストに対して、イギリスの国益のために敬意を払って、我慢して招待したということもあったのですかね。

飯田)エリザベス女王との会見や食事会などの映像を見ると、和やかムードに見えましたが。

トランプ大統領訪英~最大限の歓迎もファーウェイ問題では足並み揃わず
トランプ大統領への歓迎~エリザベス女王とバッキンガム宮殿での晩餐会で演出

高橋)外交問題を話してもメイ首相は辞めるのですから、ここで実質的な話をするというよりは、トランプ大統領をもてなしたわけです。アメリカ人はアメリカに王室がない分、イギリス王室が大好きですから、日本が相撲で印象を与えたのなら、イギリスはエリザベス女王をぶつけて来たというところです。トランプ大統領は華麗な演出に酔うところがありますから、バッキンガム宮殿で晩餐会をして大歓迎をした。これでいいのかなと思いつつも、国益のために我慢しようというところですかね。

トランプ大統領訪英~最大限の歓迎もファーウェイ問題では足並み揃わず
ファーウェイ問題~英米で足並み揃わず

飯田)会談内容ですが、ファーウェイ問題では、イギリスとアメリカの足並みが揃わないということですか?

高橋)そうですね。イギリスの諜報機関は、「問題はあるかもしれないけれど、我々の力をもってすれば対応できる」という見解です。アメリカは危ないからやめてくれと言っている。諜報の歴史ではドイツの暗号を解読したり、最初にコンピューターを使ったりとイギリスが世界をリードして来たところもあるので、アメリカも一目置かなければならない。そのイギリスがついて来ないことに違和感を持っているのでしょう。

飯田)ファーウェイ問題についてロイター通信が報じていましたが、最初に危ないと言い出したのはオーストラリアという話がありますね。

高橋)アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアという、かつてのアングロサクソンの国は諜報面で密な関係を持っていて、日本は入れてもらえないと言われています。そこでオーストラリアが声を上げたのですが、イギリス人にしてみれば「え? オーストラリアが?」という感覚はあると思います。

飯田)そういうところはあるのですか?

高橋)やっぱりあるでしょうね。口にはしないものの、イギリスからすると「僻地の人が何か言うの」という感覚があるのだと思います。

飯田)今回もオーストラリアが声を上げ、アメリカが引っ張って行く。するとイギリスにしてみれば、プライド的なものがあるのでしょうか?

高橋)あるでしょうね。ただ、実はオーストラリアは中国の輸出で食べているようなところがあり、中国に対してセンシティブですから、オーストラリアが声を上げることは納得がいくところもあります。

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