名画✕名盤=マイケル◯◯◯◯◯?【雑学と音楽 ザツオン Vol.1】

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音楽にまつわる雑学を楽しむコラム【ザツオン】

食欲だったりスポーツだったりの様々それぞれの秋でございますが、当コラムにおきましては “音楽と芸術の秋”についてトーキンアバウトです。
昨今のアナログレコードの人気復権はウレシイかぎりですね。
レコ盤の音質の良さや暖かさやらに再注目されておりますが、やはり忘れてはいけないのが“ジャケットの大きさ”ではないでしょうか?
CDのタテヨコ12センチではハッキリ申しまして感動出来ないわけです!
老眼鏡世代にとりましては死活問題ですよね。
アナログレコードのタテヨコ30センチだからこそ手にして見たり壁に飾って眺めたりするアルバムジャケットの楽しさ!
お気に入りを「レコードジャケット額」などに入れて飾ると最高です。

前置き長くなりました、本題に突入いたします。
名画まんまのアルバムジャケットと言えば、この男!
インテリジェンスジャジーなサウンドとウィスパリングメロウなボイスで、数々の歴史的名盤を生み出した“AOR界のつぶやきシロー”ことマイケル・フランクス!

タイガー・イン・ザ・レイン,マイケル・フランクス

4作目の1979年アルバム『タイガー・イン・ザ・レイン』では、アンリ・ルソーの名画「熱帯嵐のなかのトラ」(1891年)をジャケ採用!
そして、野獣派の巨匠ゴーギャンの「二人のタヒチの女」(1889年)を採用したのは、1982年7作目アルバム『愛のオブジェ』!

愛のオブジェ,マイケル・フランクス

遥か南太平洋フランス領ポリネシアの南国楽園な雰囲気が伝わりまくります。
この2枚だけ飾っても自宅リビングが“気持ち時価ン億万円?!”のオシャレなギャラリーに大変身というわけです。
ニューヨーク/マンハッタンのメトロポリタン美術館やロンドン/トラファルガー広場のナショナルギャラリーに行かなくてもバッチリ!
それにしても!ルソーやゴーギャンを選ぶあたりがいかにも夢想音楽家のマイケル・フランクスらしくて素晴らしいとは思いませんか。
1977年のメジャーデビューアルバム『スリーピング・ジプシー』ってタイトルは、ルソーの「眠るジプシー女」まんまですのもねぇ、まぁジャケ絵は違いますが。
1978年の3作目アルバム『シティ・エレガンス』は、原題『BURCHFELD NINES』なのですが、コチラではアメリカ水彩画家チャールズ・バーチフィールドの作品と一緒に得意気スマイリーなジャケ写です。幻想的な名画と彼の音楽がココでもマッチング!

シティ・エレガンス,マイケル・フランクス

よっぽどマイケル・フランクスは音楽も絵画も大好きなのですね。
税関職員だったアマチュア画家ルソーの偉大な架空現実のヘタウマさ、株式仲買人だったゴーギャンの遠近奥行まるで無視の奔放さ、これらとマイケル・フランクスの五線譜パレットが共鳴しているように感じてなりません!
聴けば聴くほど知れば知るほど味わい深いですねぇ。
音楽家以前の大学教授な時代は、どんなゼミしていたのかと妄想が膨らみます。
アルバム『愛のオブジェ』のB面1曲目「タヒチアン・ムーン」という曲は島の美しき娘との夢のような日々と悲しき別離が歌われておりまして、その同じ月を127年後のニッポンで眺めているのかとアレコレ感じる思秋期です。

さて。新しき雑学もひとつ。

One,堀込泰行

元キリンジ堀込泰行の待望1stアルバム『One』(10月19日発売)のジャケットは、19世紀前半のフランス新古典主義派の巨匠ドミニク・アングル!
その作品「グランド・オダリクス」(1814年)を携えて写る御本人ですね。
ちなみに、アングルが34歳で描いた名作はパリ/ルーブル美術館にあります。
この計算され尽くした艶やかなデフォルメ官能美の裸婦像を選んだところも、“日本AORの新古典主義(?!)”な堀込さんの新たな方向性を示しているのではと私は勝手に自己解釈いたしました。

そんなわけで、音楽のもうひとつの楽しみ方を暗中模索する『雑学と音楽 ザツオン』!
第1弾いかがでしたでしょうか?次回もお楽しみに♪

神部恒彦(a.k.a 北大路おさんどん)
1960年北海道生まれ。
1981年「オールナイトニッポン」のADとして放送業界で活動開始。
音楽やドキュメンタリーを中心としたテレビ・ラジオの構成/選曲を担当する。
1992年、いったん全ての仕事を終了してシベリア鉄道で渡欧。
1年間に渡りフランス/スペインを拠点に欧州各国の景勝地や美術館を見て回る。
さらに渡米、自動車でアメリカ大陸を横断しながら様々な音楽聖地を巡って帰国。
幅広い音楽/雑学知識と好奇心でジャンルを問わない番組/イベント構成を手がける。
趣味:大相撲/F-1観戦、全国各地の居酒屋訪問と見知らぬ人々との会話。

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