今回の女子ソフトボール情報は、デンソーのキャプテン・田中真紀子選手のインタビューをお送りする。

5月25日、26日の第5節が終わり、前半戦が終了した今年の女子ソフトボールリーグ。そんな前半戦を盛り上げたのは、去年のチャンピオン・トヨタ自動車でもなく、上野由岐子投手のいるビックカメラ高崎でもなく、昨年11勝11敗の5位に終わった古豪・デンソーでした。

開幕節、シオノギ製薬を1対0の僅差で破ると、2強の一角・ビックカメラ高崎には、5対3、昨年のチャンピオン・トヨタ自動車とは、4対0で勝つなど開幕8連勝！　連勝は止まってしまったものの、トヨタ自動車とビックカメラ高崎の2強で争われると思われた優勝争いを常にリードして、前半戦を折り返しました。

今回は、そんなデンソーのキャプテン・田中真紀子選手に、連勝中にお話を伺いました。

（※現在、デンソーの連勝は止まっていますが、インタビューをお願いした時期は連勝中だったため、インタビューには連勝の話が含まれています）

◆デンソーブライトペガサス　背番号10　田中真紀子（たなかまきこ）
ポジション：外野手　生年月日：1991.9.22　投打：右投げ・右打ち　出身地：鹿児島県

開幕7連勝おめでとうございます、率直な気持ちはどうですか？

正直、ここまで勝てるとは思っていなかったので、自分でもびっくりしています。

いまのチームの雰囲気は、どんな感じですか？

そうですね、勝ちが続いているという事もあると思うんですけど、笑顔が多くみられ、前向きにソフトボールに打ち込んでいて、いい雰囲気です。

7連勝の原動力は何だと思いますか？

どの打順からも点が取れる打線と、最少失点で抑えてくれるバッテリーが、上手くかみ合っている事だと思います。

この7連勝で思い出に残る1試合というと、どの試合になりますか？

やっぱりトヨタ戦ですね。長年勝てていなかったというのもあるんですけど、相手のエース級のピッチャーに勝てたというのが、本当に良かったです。

トヨタ戦では、田中選手もホームランを打ちました。相手投手はトヨタのエースで、アメリカ代表のエース・アボット投手。なかなかホームランを打てるようなピッチャーでもありませんね。感想を教えてください

えーっと、まともに打ったことがなかったので…アボット選手から。
『（これまで対戦したなかで）初めてか！』っていう位、いい当たりを打てたので、うれしさ半分、驚き半分でした（笑）。

対戦してみて、去年と今年でアボット投手に違いを感じますか？

そうですね、スピードはあるピッチャーなんですけど、キレというのが昨年よりあまり感じられなかったので、『今年はいけるかな？』って、ちょっと思いました。

7連勝中という事で、余裕をもって打席に入れて、球筋なども見えていたりするのですか？

いや（笑）。いいピッチャーに対しては積極的に振っていくのが良いと思っているので、あまり余裕はないですけど、ま、打てたらいいや（笑）くらいの気持ちで、覚悟を決めて打席に入っています。

今シーズン、キャンプで、気を付けて練習していたところはどこですか？

この冬の間は、基礎練習ではなく実践練習を多く取り入れてきました。男子のピッチャーの球を打ったり、紅白戦をしたりと、シーズン中と同じように取り組んできました。

キャンプでは基礎練習をやるところが多いのに、実践練習を多くしたのはどうしてですか？

常にシーズン中と同じ状態で1年間いた方が、すぐ試合に慣れるだろうし、入り込めるんじゃないかっていう考えの元、実践練習を多く取り入れてきました。

これまでのキャンプは、基礎練習中心だったのですか？

そうですね、体力づくりと基礎練習をメインにやってきました。

という事は、今年のキャンプから実践練習中心のメニューにしたのですか？

はい、そうです。

では、デンソーが今シーズン好調なのは、オフに《実践練習メニュー》を中心にやってきたところもありそうですね

そうですね、そこが一番大きいかなと思います。

田中選手の理想のキャプテン像は？

そうですね、若い子が多いので、何事もチームの先頭に立って、背中でチームを引っ張れるようにと思ってやっています。

今季新加入で、連勝の原動力になったフーバー投手

今年は、カーリー・フーバー投手が加入しましたが、思った以上にチームになじんでいると思います。キャプテンから見てどうですか？

フーバー投手は、日本語も勉強をしてくれていたりだとか、凄く明るい子なので、コミュニケーションはとてもとりやすいですね。

7連勝の要因の1つに、フーバー投手の力強い投球もあると思いますが、後ろで守っていてどうですか？

私は外野を守っていますけど、まあ、（ボールが外野に）飛んでこないだろうなと（笑）。そういう風に、やっぱりどこか守備に関しては余裕を持てるし、攻撃もこっちが1点とれば抑えてくれるだろうという、そんな安心感はあります。

練習の時に、フーバー選手と対戦する時もあると思いますが、球筋とか、どうですか？

そうですね、球は速いですし、とにかく重たくて変化も凄いんです。『いいピッチャーだなぁ～』と思います（笑）。

左から、田中選手、伊藤監督、川畑選手

バッターでは川畑選手が頑張っていますが、キャプテンから見てどうですか？

そうですね。走・攻・守、全てにおいてレベルが高くて。まぁ、川畑が必ず打ってくれるだろうなという信頼関係もあるので、安心して川畑に任せたりだとか、繋いでいくことができます。凄い若いんですけど、立派な選手だと思います。

田中キャプテンも打撃が好調ですが、打席に入る時はどんな事を考えて打席に入っていますか？

しっかり初球から狙いにいく準備をするというのと、打つべき球をしっかり打つという事ですね。あと最後は、気持ちだと思います。

7連勝中で、自分の中で何か変化があったりしますか？

いや、特に変わらず、自分がいい状態にあるというのもわかっているので、そこは波を大きくするのではなくて、常に同じ状態で（打席に）入れるように心掛けています。

ホームラン5本は、現在リーグトップですが、それは狙って打っているのですか？

狙いに行く打席もあるんですけど、ま、基本はヒットの延長線上ですね。

そうすると、バットが《振れている！》という事ですね

はい、そうです。

田中選手が、ソフトボールを始めたキッカケは何ですか？

2歳上に兄がいるんですけど、兄もソフトボールをやっていて、その影響でキャッチボールの相手をしていたら、いつの間にか自分もソフト部に入部していたっていう感じです。

日本のソフトボールの頂点であるこのリーグに『入れそうだな』と思ったのは、いつ位だったのですか？

いや、全くそういうのは考えていなくて、学校の先生だったり、指導者に恵まれて縁があって、今こうやって実業団に入って、プレーできている感じです。

もうすぐ中断期間ですが、中断期間にはソフトボール教室など、指導もするんですか？

そうですね。チームでは、そういうのは結構多くやっていて、子供たちに教えたりとか、頻繁にやっています。男女問わず、年齢も、小学校・中学校・高校と教えています。

高校生にも教えるのですか？　田中選手から見ても、有望な子はいますか？

はい。幅広い層に教えています。（スカウトしたい子は？）いますよ、毎回結構（笑）。『あっ凄いな！』って思う子は結構いますよ。

教えている途中に、「大きくなったらデンソーに来てね」とか（笑）

そうですね、地元ならなおさら（笑）。

《若い》といえば、デンソーには若い選手も沢山いて、去年の新人賞2人（辰巳舞衣投手、吉松梨乃選手）もデンソーからでした。田中キャプテンから見て、辰巳投手はどんな選手ですか？

そうですね、辰巳投手は若いんですけど、マウンドに立ったら堂々としたピッチングをしてくれるので、安心感があります。とにかく頑張り屋さんで、本当にこれからが楽しみな選手です。

もう1人、吉松選手はどうでしょうか

吉松選手は、チームのムードメーカーで、いつもお笑い担当で頑張ってくれているんですけど（笑）。自慢の強肩と、リストが凄く強くて、いい意味で何かやってくれるんじゃないかと期待を持てる選手です。

あと、これまで各年代の《日本代表》に入ってきた原奈々投手も、去年に引き続き頑張っていますね

そうですね。原投手は、ピッチングのうまさというのが、凄い、見てわかるので、実際、打席に立っていても変化が大きくて、凄い読みをかわしたピッチングをしてくるので、凄い頭がいいな！　って思います。

ではフーバー投手と両輪で頑張ってもらいたいですね

そうですね。

前半戦も残り僅かになってきました。どんな試合をしていきたいですか？

そうですね、目の前の試合をしっかりひとつずつ勝っていくという事が、今の自分達に出来る事なので、まずは1試合1試合を全力で戦っていきます。

残り4試合の中で、上位陣が多く残っていますが、そこは気になりますか？

そうですね。ま、気にはなるんですけど（苦笑）。あえて気にはせず、いつも通りの自分たちの試合をしていきたいですね。

そう考えると、トヨタ自動車、ビックカメラ高崎に勝っているのは、気持ち的にとても大きいですね

とても大きいと思います。

勝ち星を数える時にも、気持ちで楽になりますね

そうですね、数字だけで見たら、とても楽なんですけど…。やっぱり自分たちはいつも、一番でいるチームではないので、今年の事が本当にまれな事なので、現状に満足せず、ひとつひとつ勝っていくのが大事かなと思います。

全勝ターンは狙っていますか？（※インタビューは連勝中に行いました）

そうですね、ここまで来たら狙っていきます。

監督とは、どんな話をしているのですか？

監督とも、1試合1試合戦っていこうと。まあ、結果は後からついて来るので、まずはしっかり自分たちの試合をしようと話をしています。

最後に、ソフトボールファン、デンソーファンにメッセージを

いつも応援ありがとうございます。この調子で前半戦残り4試合、勝ち星を狙いに行きたいとおもいます。今後とも沢山の応援よろしくお願いします。ありがとうございました。

DENSO　ブライトペガサス　https://www.denso-brightpegasus.jp/
日本女子ソフトボールリーグ機構　https://jsl-women.com/
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※写真は、チームからお借りしたものと、編集部で撮影したものです。

（よこいみちひと）