「ルパン三世」シリーズが50年以上愛され続けている理由

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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第626回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベりたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

2019年4月に逝去した漫画家モンキー・パンチが、1967年に世に放った「ルパン三世」。実に50年以上も愛され続けている作品でありキャラクターですが、その魅力は一体どこにあるのでしょうか。

そこで今回は、映画で見る「ルパン三世」シリーズの魅力を掘り起こします。


映画シリーズにみる、個性的かつ魅力的なキャラクターたち

「ルパン三世」シリーズが50年以上愛され続けている理由

※写真はAmazonより

まずは、『ルパン三世』劇場版のなかでも根強い人気を誇る『ルパン三世 カリオストロの城』。あの宮崎駿監督の映画初監督作品としても知られています。

舞台は、完成度の高い偽札作りによって、長年世界経済に影響を与えて来たカリオストロ公国。その偽札の秘密を探るためカリオストロ公国へやって来たルパンたち一行が、カリオストロ伯爵から政略結婚を迫られている亡き大公の娘・クラリスを救い出す冒険活劇。

ルパンと言えば、無類の女性好きでおちゃらけたキャラクターが特徴的ですが、本作でクラリスに見せるのは真逆の姿。終始、紳士で優しく、クラリスが「おじさま」とルパンの虜になるのも納得の“いい男っぷり”を発揮しています。名セリフもふんだんに盛り込まれていて、何度観ても新たな発見がある名作です。

「ルパン三世」シリーズが50年以上愛され続けている理由

※写真はAmazonより

続いては、人気キャラクターが奇跡の競演を果たした『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』。天下無敵の大泥棒・ルパン三世と、頭脳明晰の名探偵・江戸川コナン。人気者同士が同じスクリーンのなかにいる! となると、コラボ作品のなかでも、これほど観る者のわくわく感を掻き立てるものもないでしょう。

その期待に応えるべく、本作は両作品の世界観を崩すことなく作り上げたお祭りムービーの決定版。秘宝チェリーサファイアをめぐるルパンとコナンの攻防、そして謎の組織が絡んだ陰謀に迫ります。少年探偵団や怪盗キッドらコナンの世界観にルパンたちが加わる…という設定ゆえ、「ルパン三世」という作品の持つクールかつスタイリッシュな部分が際立って見えるのも新鮮な驚きです。

「ルパン三世」シリーズが50年以上愛され続けている理由
近年は、ルパンファミリーにフォーカスしたスピンオフシリーズが次々と制作されています。それが、2014年に“大人向けの「ルパン三世」”として始まった『LUPIN THE IIIRD』シリーズ。ハードボイルドにアダルトに若きルパンたちを描いた作風は、モンキー・パンチ氏による原作漫画やテレビアニメ第1シリーズの初期を彷彿させるものがあり、ファンからも熱い支持を得ています。

2012年放送のテレビシリーズ「LUPIN THE Third-峰不二子という女-」に始まり、次元大介がルパン三世の相棒になるまでを描いた『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』、孤高の剣豪・石川五ェ門が最強の剣士へと覚醒する瞬間を捉えた『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』。そしてシリーズ最新作となるのが、史上もっともセクシーで最強のミューズ、峰不二子を主演に迎えた『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』です。

「ルパン三世」シリーズが50年以上愛され続けている理由
ある日、峰不二子のもとにやって来た、少年ジーン。父親が横領した5億ドルの鍵を握るその少年は、父を襲った殺し屋ビンカムに命を狙われており、ジーンに関与した不二子もその標的となってしまう。呪いの力によって人の心を操るビンカムから1度は逃げ延びるが、再び魔の手に捕まってしまい…。

自分の魅力を知り尽くし、決して自分に嘘をつかない。峰不二子の持つ“女の美学”に、男女問わず魅了されること間違いなしの本作。そして、誰よりもキュートで“男前”な不二子ちゃんの存在が、ルパンのかっこ良さをさらに引き立てていることを再認識することもできますよ。

主人公であるルパンのキャラクター性はもちろんのこと、彼の周囲を取り巻く仲間たちも個性的。時代に左右されないお洒落感こそ、『ルパン三世』シリーズの最大の魅力。だからこそ、ますます多くの人に愛され続けて行くのでしょう。

<作品情報>
ルパン三世 カリオストロの城(1979年)
原作:モンキー・パンチ
監督:宮崎駿
脚本:宮崎駿・山崎晴哉
音楽:大野雄二
声の出演:山田康雄、増山江威子、小林清志、井上真樹夫、納谷悟朗、島本須美、石田太郎

ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE(2013年)
原作:モンキー・パンチ(MPワークス ルパン三世 official マガジン刊) 青山剛昌(小学館『週刊少年サンデー』連載中)
監督:亀垣 一
脚本:前川 淳
音楽:大野雄二、大野克夫
声の出演:栗田貫一、小林清志、浪川大輔、沢城みゆき、山寺宏一/高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、林原めぐみ、山口勝平/スペシャルゲスト:内野聖陽、夏菜/友情出演:三浦知良

LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘
2019年5月31日(金)から新宿バルト9ほか限定公開
原作:モンキー・パンチ
監督・演出・キャラクターデザイン:小池健
企画:加藤州平、加藤良太
脚本:高橋悠也
音楽:ジェイムス下地
プロデューサー:浄園祐
声の出演:栗田貫一、小林清志、沢城みゆき、宮野真守 ほか
原作:©モンキー・パンチ ©TMS
公式サイト http://fujiko-mine.com/

連載情報

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シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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