森永卓郎が警告~こんなに怖い、米中貿易摩擦の日本への影響

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「垣花正 あなたとハッピー!」(5月22日放送)に経済アナリストの森永卓郎が出演。出口の見えない米中貿易摩擦が与える日本への影響について、持論を展開した。このまま両国の貿易摩擦が進むと取り返しのつかないことになるという。


制裁「第4弾」が発動されるとアメリカの物価が上昇して経済が失速する

アメリカは中国の通信機器最大手ファーウェイとアメリカの企業の取引を原則禁止する措置を発動しました。中国に対する制裁関税は去年の7、8、9月に第1、2、3弾とやりました。去年(2018年)の9月にやったのは日用品や家具、家電製品と、中国以外から買うと困るものに関税を課して10%に抑えていました。ところが、これを今月(5月)、25%に引き上げることを決め、さらに残りの33兆円分の中国から輸入するほぼすべての商品に25%の関税をかけるということを言っています。
そして、第4弾が発動されると関税がパソコンやスマートフォンにもかかるわけです。アメリカで使われているパソコンやスマートフォンの8割が中国製なので、物価が上がって大変なことになります。例えばiPhoneだと、2万円ほど値段が上がるのではないかと言われています。iPhoneは組み立てが中国で行われているからです。多くのエコノミストが、貿易交渉を有利に行うためのトランプ大統領の脅しだと言っているのですが、本当に実行してしまうのがトランプ大統領です。第4弾が発動されれば、物価が上昇してアメリカ経済は失速すると思います。中国経済の痛手はもっと大きいでしょう。

ワシントンで始まった米中の閣僚級貿易協議(アメリカ・ワシントン)=2019年2月21日 写真提供:時事通信

トランプ大統領の怒りと中国の強み

アメリカが言っているのは、表向きは、「中国はパクリをやめろ」と言うことです。もうパクる必要がないから降りるかと思っていたのですが、中国の専門家によると「中国は第5世代通信や人工知能、宇宙開発という先端分野から全面撤退しろ。中国は家電製品などを労働集約的に組み立てればいい」というものがトランプ大統領の考えです。
第5世代通信という携帯電話の新しい通信は、ファーウェイが世界最先端のところに来ていると言われる。既にファーウェイの通信設備はアフリカやヨーロッパで主流になっています。それがトランプ大統領の逆鱗に触れたのです。
しかし中国に有利なのは、中国は国によって、自動運転のための車の実験もできるし、個人データの集約もたやすくできる。さらに、GoogleやApple、Amazonはそれぞれ企業が研究開発していますが、ファーウェイは国が全面バックアップしているのではないかと言われているところです。

中国広東省深圳市にある華為技術(ファーウェイ)本社キャンパス(ゲッティ=共同)=2018年12月7日 写真提供:共同通信社

100%道連れになる日本

ではこの貿易摩擦が日本にどう影響するのか。日本が昨年1年間でファーウェイに買ってもらったスマホの部品は7300億円です。iPhoneのディスプレイは、日本で作って中国に輸出しています。国内でもファーウェイの端末が発売できるかどうかわからないとなると、日本がファーウェイへ輸出している部品はどうなるのか…。日本も100%道連れになります。

笑顔で会談するトランプ米大統領(右)と安倍首相=2018年9月26日、米ニューヨーク(共同) 写真提供:共同通信社

G20でするべき安倍総理の役割

今回のG20での安倍総理の役割は大きいです。トランプ大統領にはこれまでのように「言うことは何でも聞きます」と持ち上げるだけではなく、「ここは大統領、冷静になりましょう」となだめることが必要です。
習近平主席も来日するので、その間を取り持って、仲良くさせなければなりません。今回の大阪サミットは世界の明暗を決めることになるのです。また、ここで失敗すると参院選にも大きな影響を与えてしまいます。

垣花正 あなたとハッピー!
FM93AM1242 ニッポン放送 月-金 8:00-11:30

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