アニメ『タイガーマスク』復活! タイガーと闘った“意外な有名人”とは? 【ひでたけのやじうま好奇心】

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1969年(昭和44年)から丸2年に渡って放映された大人気テレビアニメ、『タイガーマスク』。
この『タイガーマスク』の“その後”を描く続編が、テレビ地上波で、鳴り物入りでスタートする…という話をご存じでしょうか?
その名も…『タイガーマスクW』!

タイガーマスクW

©梶原一騎・辻なおき/講談社・テレビ朝日・東映アニメーション

今回は「W」というだけあって、タイガーマスクが、なんとふたり!
正義の覆面レスラーである光のレスラー「タイガーマスク」と、敵か味方か分からない闇のタイガー「タイガー・ザ・ダーク」が登場する… という触れ込み。

昔ながらのファンのツボも押さえておりまして、プロレス界の裏組織「虎の穴」の悪徳マネージャー「ミスターX」の声を担当するのは、前作と同じ柴田秀勝さん!
なんと、ほぼ半世紀ぶりに「死んでもらおう、タイガー…」という、あの渋~い声が蘇る… ということなんです!

最近は「プロレス女子」、略して「プ女子」… が話題になるほど、プロレス人気が再燃しつつあります。
このブームの牽引車となっているのが、業界最大手の「新日本プロレス」…
今回の『タイガーマスクW』では、新日のエース・棚橋弘至選手をはじめ、オカダ・カズチカ選手などなど、実在のレスラーたちが勢ぞろいすることになっています!

要するに、今後は、この『タイガーマスクW』で描かれる「フィクションの世界」と、実際の新日マットでの「現実世界」が、シンクロしていくことになるわけです。

当然近い将来、新日マットにホンモノの(?)タイガーマスクが登場するのは間違いない!!
「“初代タイガーマスクブーム”の夢よ、もう一度…!」ということでしょうか。

さて、こうした、「実在の有名人をマンガの世界に登場させる」というフォーマット…。
これぞ『タイガーマスク』の原作者である梶原一騎さんが編み出した手法だと言われているんです。

たとえば、梶原一騎さんの代表作のひとつ、『巨人の星』を思い浮かべてみて下さい。
『巨人の星』には、長嶋茂雄さん、王貞治さん、川上哲治さんなどなど、実在の野球選手たち、監督たちが、大挙して登場します。
主人公・星飛雄馬の魔球“大リーグボール”の名付け親は、金田正一さんということになっています。
要するに、“虚実ないまぜ”の世界といいますか、“虚構と現実の間の被膜を利用する”といいますか…あえて実在する人物を登場させることによって、作品世界にリアリティを与えるわけですね。

では、かつての元祖『タイガーマスク』では、どんな有名人たちが登場していたのでしょうか?
新作アニメがお目見えする前に、ちょいと“おさらい”しておきましょう!

アニメ『タイガーマスク』に登場した有名人。
まずは、ご存じ、“東洋の巨人”ジャイアント馬場です!

元祖『タイガーマスク』がスタートしたのは1969年(昭和44年)ですから、まさにジャイアント馬場の全盛期。
当時の馬場さんは、力道山の衣鉢を継ぐ日本プロレスの大エースです。
ですから、『タイガーマスク』の中でも、非常に重要な役どころとして登場しました。
とくに馬場さんが活躍するのが、『タイガーマスク』第35話… この時のサブタイトルがスゴイ!
題して、『チャンピオンへの道 ~ジャイアント馬場の苦闘~』。
この回のタイガーマスクは、完全に刺身のツマ。
馬場さんがタイガーに向かって、「オレも昔は、いろいろ苦労したんだよ…」と、身の上を語りはじめるんです。
ジャイアンツでピッチャーをやっていた頃の話、海外武者修行時代の苦労話などなど、馬場さんの苦労話は、留まるところを知りません。
気付いたら30分間事実上の「ジャイアント馬場一代記」。

さらに、さらに… もっと馬場さんが「大活躍」する回があります。
それは、第26話『栄光の彼方に』という、今も語り草となっている珍妙なお話…。
このとき、主人公のタイガーマスクは、覆面レスラー世界一を決める“ふく面(※原文ママ)ワールドリーグ戦”という大会に出場するのですが、まわりは怪物みたいな覆面レスラーばかり!
ところがその中に、なぜかタイガーマスクの味方をする覆面レスラーが、ひとりだけいた…。
身長2メートル以上はあろうかという巨体を誇る、この覆面レスラー。
くぐもった野太い声で、「オレの名前はグレード・ゼブラだ…」と名乗ります。
「ゼブラ」と名乗るだけあって、縞模様のマスクと全身タイツに身を包んでいます。

このグレートゼブラ、タイガーマスクの助太刀を買って出るのですが…覆面の鼻の部分と口の部分がハミ出ていて、どうみても正体はジャイアント馬場です。
でも、“なぜか”大観衆は誰ひとりとして気付きません。

試合後、タイガーに、「ひょっとしてアナタの正体は、馬場さんでは…?」と訊かれたグレードゼブラ。
割とアッサリと認めまして、自ら覆面を脱ぎます。
そして、馬場さんは言います。
「さすがタイガーだ! よく私の正体に気がついたな…」
このときばかりは全国のチビッ子たちが、「誰でも気付くわ!」とツッコんだそうです。

では、アントニオ猪木はどうか?
『タイガーマスク』放映当時の猪木さんは、まだ新日本プロレスを旗揚げする前でして、老舗・日本プロレスにおいては、馬場さんに次ぐ「ナンバー2」といったポジション。
ニックネームも、“燃える闘魂”ではなく、まだ“若獅子”と呼ばれていました。
で、アニメの中で、たった一度だけ、「“若獅子”アントニオ猪木対タイガーマスク」…つまり、「ライオン対トラ」という夢のカードが実現するのですが…結果から言うと、猪木がタイガーに完勝!
馬場ファンに押されがちだった猪木ファンは、おおいに溜飲を下げたそうですよ。

さらに、この『タイガーマスク』には、馬場・猪木のほか、「韓国の虎」大木金太郎、「突貫小僧」吉村道明、「若鷲」坂口政二などなど、オールドファンには懐かしい面々も登場!
さらにさらに、日本サイドのレスラーばかりではありません。
「呪術師」アブドーラ・ザ・ブッチャー、「魔王」ザ・デストロイヤーをはじめ、「悪魔仮面」ミル・マスカラス、「吸血鬼」フレッド・ブラッシー、「生傷男」ディック・ザ・ブルーザー、エトセトラ、エトセトラ…。
要するに、当時の人気レスラーのほとんどが、このアニメに「実名で」登場しているんです。
権利関係がややこしい今だと、ちょっと考えられない手法かもしれませんね。

ところが、唯一、「例外」があります。
それは、第56話「黒い魔神」という回に登場する、めっぽう強い外国人レスラーの名前です。

さぁ、「黒い魔神」といえば、誰でしょうか?
古いプロレスファンの方なら、間髪を入れずにお答えになることでしょう。
「え、黒い魔神? そりゃ、ボボ・ブラジルだ!」
… そうその通り、ボボ・ブラジルですよね。

ところが、『タイガーマスク』に登場する「黒い魔神」の名前は、ボボ・ブラジルじゃないんです。
全身の力が抜けると思いますけど、覚悟してください。
『タイガーマスク』に登場する「黒い魔神」… その名前とは、ズバリ!
「ポポ・アフリカ」!

タイガーマスクの前に立ちはだかる強豪レスラー、「ポポ・アフリカ」。
なぜ「ボボ・ブラジル」ではダメだったのか?
一説によると、「ボボ」という単語が、九州地方では別の意味があったからだ… と言われています。

いうわけで『タイガーマスク』には、数多くの有名人が登場していたわけですが、製作サイドにとっては、さらなる「旨味」もありました。
実は当時、タイガーマスクはもちろんのこと、馬場、グレートゼブラ、猪木などなど、レスラーたちの「ソフトビニール人形」が、バカ売れしたんです!

これ、今でもファンの間では人気がありまして、現在、猪木さんのソフトビニール人形は、ヤフオクで1万5千円以上の値がついてるほど…。

そして今回の「新作アニメ」でも当然、キャラクター商品が登場するのは間違いないと言われています。
果たして、二匹目のドジョウ…いや、「二頭目のトラ」は隠れていますかどうか? 注目です!

9月21日(水) 高嶋ひでたけのあさラジ!三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

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