あけの語りびと

おじいちゃんと孫で営む団子屋~商売に大切な〝顔〟とは?

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おじいちゃんと孫で営む団子屋~商売に大切な〝顔〟とは?

それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

おじいちゃんと孫で営む団子屋~商売に大切な〝顔〟とは?

お団子屋さん『ふるさと』

鈴木康夫さんは、昭和12年生まれの82歳。静岡出身で、若い頃は大日本印刷で働いていましたが、「自分の店を開きたい」…そんな思いがずっとあって、名古屋でおじさんが営むおまんじゅうの店を手伝ったこともありました。

その後、東京でいい物件があると聞いて、昭和46年に武蔵野市の桜堤団地、そのなかの商店街でお団子屋さん「ふるさと」を開きました。

おじいちゃんと孫で営む団子屋~商売に大切な〝顔〟とは?

『ふるさと』を営む 鈴木康夫 さん

「当時は団地の奥さんが買いに来てくれて、よく売れましたね。また、他の団子屋さんに卸売をしていたので、多いときは1日3,000本……。昭和はいい時代だったねぇ」

お店は、自宅と団子の製造所を兼ねています。朝8時、ボイラーに火をつけて大きな釜にお湯を沸かし、そのあと業務用のミキサーに上新粉と熱湯を入れて、餅を練って行きます。

次に、50年も動き続けている自動団子製造機に、練り上げた真っ白い餅を投入すると、この機械がカタカタ、コトコトと動いて、串に刺さった5玉の団子が次々と出て来ます。

おじいちゃんと孫で営む団子屋~商売に大切な〝顔〟とは?

孫の 鈴木雄大 さん 本格的にお店で働いている

団子作りが中盤にさしかかった頃、孫の鈴木雄大さんが眠そうな目をこすって、お店にやって来ます。雄大さんは26歳です。

「学生時代からお店を手伝っていて、その頃から、商売って面白そうだなと思っていたんですよ。そのあと、おばあちゃんが亡くなって、おじいちゃんもお店をやめたいと言っていたんです。その頃、自分はサラリーマンにはなりたくないし、やりがいのある仕事をしたいと思っていたので、大学を途中でやめる決断をし、本格的に店で働きました」

おじいちゃんと孫で営む団子屋~商売に大切な〝顔〟とは?

串に刺さった5玉の団子が次々と出て来る

康夫さんは、団子が昔のように売れる時代じゃないし、孫には「会社に入ったほうがいいぞ、気楽だし、のんびりしていても給料はもらえるんだからな」と言いますが、「商売をやりたい」という雄大さんの気持ちは揺らぎません。

「団子作りは機械が作ってくれるし、あとは焼くだけなので、修行とか難しいことはないんですよ。でもちょっと甘く考えていたのか、ある日、機械に指を挟まれて抜けなくなって、大変なことになったんです。貴重な機械を壊すわけにもいかないし、近所の八百屋さんや電気屋さんを呼んだり救急車が来たり、大騒ぎ! 大事には至りませんでしたが、あのときは焦りましたね……」

おじいちゃんと孫で営む団子屋~商売に大切な〝顔〟とは?

2年前にできたという雄大さんの支店

そんなトラブルも、いまでは笑い話です。康夫さんは孫の頑張りが嬉しいと言います。そんな孫のために、JR中央線・東小金井駅、人通りの多い南口商店街にいい物件を見つけて、2年前、支店を出してくれました。

朝、雄大さんは団子作りを手伝ったあと、自転車の荷台に作りたてのお団子を乗せて自分の店に向かいます。

開店当時は1日1,000本も売れました。お祭りやイベントがあると、もっと売れたそうです。やっぱり商売は面白いと手応えを感じましたが、2年が経ったいま、なかなか売上が伸びず商売の難しさに直面しています。

おじいちゃんと孫で営む団子屋~商売に大切な〝顔〟とは?

商売の面白さや難しさを感じるという雄大さん

「おじいちゃんの店はこっちの店よりも売れるんですよ。顔なじみのお客さんがいて、いっぺんに100本も買って行く、そんなお客さんもいて、つくづく商売は〝顔〟なんだなと思いますね」

おじいさんの康夫さんは、いつもニコニコと孫を見守っています。

「雄大に私から教えることは何もありません。好きなようにやりなさいと言っています。ただ、団子屋をこれからもやって行くなら一言、言っておきたいことがあります。それは……早起きだけはしなさい。それが商売の基本だからね…」
おじいちゃんと孫で営む団子屋~商売に大切な〝顔〟とは?
ちなみに「ふるさと」のお団子は、串に5玉が刺さっています。関東の団子は3玉や4玉が普通ですが、5玉は名古屋方面で多いそうです。康夫さんは名古屋のお店を手伝っていたので、東京に来てからも5玉にしたそうです。
お値段は、しょうゆ1本50円、あまから1本70円、あんこ1本100円。

雄大さんは中学高校と進学校に通っていて、大学を中退したとき、サラリーマンの父親から「いままでどれだけ教育費をかけたと思っているんだ」と怒られたそうですが、いまは、お店に団子を食べに来てくれて「しょうゆの団子がうまいな」と言ってくれるそうです。

ふるさと(おじいちゃんの鈴木康夫さんの店)
東京都武蔵野市桜堤1-8-4
JR中央線武蔵境駅からバスで「団地中央」下車
営業時間:11:00〜18:00
定休日:月曜日
電話:0422-52-3911

お団子ふるさと東小金井店(孫の鈴木雄大さんの店)
東京都小金井市東町4-37-21
JR中央線東小金井駅徒歩5分(南口商店街)
営業時間:11:30〜18:00
定休日:月曜日
電話:080-4744-1147

上柳昌彦 あさぼらけ
FM93AM1242ニッポン放送 月曜 5:00-6:00 火-金 4:30-6:00

朗読BGM作曲・演奏 森丘ヒロキ

番組情報

上柳昌彦 あさぼらけ

月曜 5:00-6:00 火-金曜 4:30-6:00

番組HP

眠い朝、辛い朝、元気な朝、、、、それぞれの気持ちをもって朝を迎える皆さん一人一人に その日一日を10%前向きになってもらえるように心がけているトークラジオ

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