憲法審査会~平和主義と両立するような集団的自衛権の行使について議論をするべき

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月26日放送)に外交評論家でキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。憲法審査会について解説した。

憲法審査会~平和主義と両立するような集団的自衛権の行使について議論をするべき
憲法審査会が今国会で初めて開かれる

憲法審査会は2007年の国民投票法成立を受け、新たに衆参両院に設置された機関である。衆参両院にはこれまで憲法一般について広範かつ総合的な調査を行う憲法調査会、次いで国民投票法を議論する憲法調査特別委員会が設けられていたが、憲法審査会はこの2つを引き継ぐ、憲法改正を具体的に進めて行く場となっている。大型連休目前の昨日(4月25日)、この憲法審査会が今国会で初めて開かれ、ようやく正常化した。しかし各党が憲法観や憲法改正案について意見を交わし、議論を深めて行く目処はまったく立っておらず、憲法改正の道筋も見通せないものとなっている。なお、この憲法審査会では今後、憲法改正の是非を問う、国民投票の際のテレビCMの規制、国民投票法改正案などについて議論する見通しだ。

飯田)ということで、憲法そのものには触れず、の議論なわけですが。

宮家)手続き論ばかりですね。確かにテレビCMの規制は重要ですが、他に話すことは無いのかと言いたくなりますね。何の為にその審査会を作ったのか。もう少し本音の議論をするときなのではないですか。建前はもう散々やったでしょう。過去何十年も議論して来ているわけですから。

飯田)憲法と言うと、なかんずく憲法9条ということになりますけれど、これは自衛隊が海外に行くようなときに必ず引っ掛かって来るではないですか。

同盟国関係は相互安全保障条約である

宮家)引っ掛かって来ますね。僕はこの憲法の精神を高く評価しているので、ダメだと言っているつもりは無いのです。しかし、国際スタンダードで見て、本当にこれでいいのかと。僕は押し付け憲法とか、そういう議論を今更やってもあまり意味が無いと思っています。むしろ、日本が国益を守る為に、そして平和な日本を守る為に何をするべきかというときに、本当にいまのやり方でいいのかということは、根本的に議論をするべきだと思います。
昨日、産経新聞のワールドウォッチというコラムを書いたのですけれど、何が言いたかったかというと、世界の同盟関係は相互安全保障条約なのだということです。つまり、飯田さんと僕が同盟国であれば、飯田さんが殴られたら僕は助けに行くわけです。しかし、もし僕は飯田さんを助けるけれど、飯田さんは僕を助けないと言ったら、それは同盟ではないだろう、ただの保護国だろうということになる。だから対等にお互いを守り合って命を預け合い、もしくはそういう危機を共有し合い、そのために情報を共有することが大事なのです。そのことを書きました。
イラク戦争直後のイラクに、悲しいときでしたけれど、例の2人の日本の外交官が亡くなった直後に行きました。ご批判のあることは良く分かっているのですが、あそこでいろいろな国が示したのは、誰が同盟国で、どういうことをしなくてはいけないのかということについて、極めて分かりやすいルールがあるということです。日本がサマーワに部隊を送った時点で、日本はようやく連合国の一員として遇されるようになって行く。
そのことを僕は横で見ていて、やはりこれが世界の常識なのだと実感しました。日本国憲法がダメだと言っているわけではないのですけれども、そこで憲法の精神を維持したままで、直すべきところはあるのではないかということです。他の国は皆やっているのですから、他の国が集団的自衛権を行使したら、その人たちは平和主義ではないかといえば、そんなことはない。そこはいまの平和主義と両立するような集団的自衛権の行使についても、本当は議論をするべきときだと思うのです。

飯田)それが正に憲法前文の、平和を愛する諸国民の構成するこの世界に置いて名誉ある地位を占めんと思うと、これは主旨で言っていますけれど、正に合致することですよね。

宮家)ええ。しかし、それならやはり同じようなことをやらなくてはいけない。それをやらないで利益だけを、というのはダメですよ。

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