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令和の空に100畳ぶんの大凧を! ドキドキの「大凧あげ祭り」とは

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令和の空に100畳ぶんの大凧を! ドキドキの「大凧あげ祭り」とは

それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

令和の空に100畳ぶんの大凧を! ドキドキの「大凧あげ祭り」とは

「大凧あげ祭り」に長年触れて来たという 川島栄 さん

昭和33年生まれの60歳、還暦を迎えた川島栄さんは、今年に入って1日も気の休まる日がありません。頭のなかは青空に舞い上がる「凧」のことでいっぱいです。

川島さんは、旧「庄和町」、現在の埼玉県春日部市、江戸川沿いの地区に生まれ育ち、現在もお住まいです。ここは5月3日・5日に開かれる「大凧あげ祭り」で知られ、川島さんは物心がつく頃から「大凧」に触れて来ました。

この「大凧あげ祭り」の起源は江戸後期、「養蚕の豊作占い」で凧を揚げたのが始まりで、いまは「初節句のお祝い」としてこの伝統が引き継がれています。

令和の空に100畳ぶんの大凧を! ドキドキの「大凧あげ祭り」とは

100畳ぶんの大きさがあるという大凧

大凧の大きさは、縦15m、横11m、重さ800kg。畳にすると100畳! ビル4階建の高さに相当する日本一の大凧です。凧のデザインは、上の赤が「太陽」を、下の緑が「大地」を、斜めの白いラインは「江戸川」を表しています。

「上若組」と「下若組」の2つの地区がそれぞれ大凧を作り、毎年、漢字2文字を書き入れます。ちなみに昭和2年は、上若組が「改元」、下若組が「昭和」。昭和34年は「成婚」「慶祝」、平成8年は「上昇」「景気」。

去年(2018年)は「感謝」「平成」でしたが、5月3日が悪天候で中止。5月5日は晴天に恵まれたものの、風が吹いたりやんだり……。下若組の「平成」は上空50mほど揚がって成功しますが、一方、上若組の「感謝」は1度目の落下で破損……それでも2度目の挑戦で上空に浮かび、観客を沸かせました。

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「大凧あげ祭り」の様子(写真提供:春日部市)

大凧が揚がるかどうかは、その日の天気次第、風まかせです。2つの大凧が、同時に空へ舞い上がることは滅多にありません。

今年も5月3日と5日に「大凧あげ祭り」が開かれます。地元の人たちは心躍る季節ですが、川島さんの表情はかたく、笑顔もこぼれません。と言うのも、今年「庄和大凧文化保存会」の会長という大役についたからです。

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川島さんは「庄和大凧文化保存会」の会長に

さらに今年の漢字2文字は、上若組が「令和」で、下若組が「元年」。日本中が注目するなか、「令和」の大凧が果たして揚がるのか……大きなプレッシャーが、新会長・川島さんに重くのしかかります。

お祭りの当日、川島さんは江戸川河川敷の本部席で、土手の上の「上若組」「下若組」を見守ることになります。いつもは100人を超える「引き手」の1人として太い綱を握っていたので、本部席でじっと待つ気持ちは複雑です。

「大凧あげ」は午後2時にスタンバイし、風を待ちます。風が吹いて来ると、カランカラン! と合図の鐘が鳴り響きます。白い半纏を着た「引き手」が、それ! といっせいに走り出すと、左右にゆれながら、日本一の大凧がゆっくりと上がって行く……そうなることを、今年は本部席から祈るだけです。

令和の空に100畳ぶんの大凧を! ドキドキの「大凧あげ祭り」とは

大凧が揚がるさまは圧巻(写真提供:春日部市)

100畳の大凧が舞い上がると、観客席から「わぁーッすごい、すごい! 頑張れ、頑張れ!」と、拍手と声援が湧き上がるそうです。

「重さが800kgの大凧が何分も悠々と揚がることは、そうありませんね。いつだったか1度、風に乗って下ろすことができないほど、よく揚がったことがありましたよ。そのとき、持っていた綱を足で踏んで万歳! 万歳! あれが私の人生のなかでいちばんの感動でしたね」

令和の空に100畳ぶんの大凧を! ドキドキの「大凧あげ祭り」とは

大凧の製作もたくさんの人手が必要

新会長に就任した意気込みを伺うと……「新元号の『令和』を絶対に揚げるぞ! と、みんな気合が入っていますが、会長の立場としては怪我や事故がないように〝平常心〟で臨んでほしい、それだけです」。

5月3日と5日、五月晴れの青空に「令和」と「元年」の大凧が無事に揚がるまで、平常心を貫く川島栄さんに笑顔がこぼれることはありません。

令和の空に100畳ぶんの大凧を! ドキドキの「大凧あげ祭り」とは

大凧制作の様子

大凧は、ゆっくりと揚がって行くとき、そしてゆっくりと落ちて行くとき、実際に目の前で見ると何とも言えない感動があるそうです。

重さが800kgあるので、落ち方が悪いと骨組みの竹がボキボキと折れ、和紙がバリバリと破れることもあります。壊れたときは翌日5月4日に修復して、5月5日に備えるそうです。

令和の空に100畳ぶんの大凧を! ドキドキの「大凧あげ祭り」とは
大凧あげ祭り
開催日:令和元年5月3日(祝日)・5日(祝日)
※注意…両日雨天中止の場合は5月6日(休日)
会場:春日部市の江戸川河川敷(宝珠花橋下流)

開催スケジュール:
■5月3日(祝日)
午前7時~ 大凧制作(凧紙と骨の張り合わせ・糸目付け・糸目とり)
午前11時~ 初節句祝い
午後0時30分~ 開会式
午後1時~ 小凧飛揚
午後2時~ 大凧飛揚
午後5時 終了

■5月5日(祝日)
午前9時~ 大空に夢を飛ばそう!創作凧あげ大会2019~君の夢が空を舞う!~
午後1時~ 小凧飛揚
午後2時~ 大凧飛揚
午後5時 終了

春日部市役所「大凧あげ祭り」ホームページ

上柳昌彦 あさぼらけ
FM93AM1242ニッポン放送 月曜 5:00-6:00 火-金 4:30-6:00

朗読BGM作曲・演奏 森丘ヒロキ

番組情報

上柳昌彦 あさぼらけ

月曜 5:00-6:00 火-金曜 4:30-6:00

番組HP

眠い朝、辛い朝、元気な朝、、、、それぞれの気持ちをもって朝を迎える皆さん一人一人に その日一日を10%前向きになってもらえるように心がけているトークラジオ

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