みうらじゅん~還暦祝いの打ち出の小槌

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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、イラストレーターなど多方面で活躍中のみうらじゅんが出演。みうらじゅんの「マイ遺品」の1つである打ち出の小槌について語った。

みうらじゅん~還暦祝いの打ち出の小槌

『みうらじゅん マイ遺品セレクション』発行:文藝春秋社

黒木)今週のゲストはイラストレーターなどをされているみうらじゅんさんです。
みうらさんはいろいろなものを集めていらして、『みうらじゅん マイ遺品セレクション』という本も出版なさっています。これは文藝春秋社から出ていますけれども、マイ遺品?

みうら)自分の遺品ですよね。僕のやっていることは趣味ではないのです。趣味であればその場の形で遺して行けばいいのですが、ひと手間あって「人に見せる」ということを前提に集めているので、上手く説明をしないとわかりにくいのです。
自分のやっているジャンルはもともとあまり無かったジャンルで、「そもそもそういうものを集めないだろう」というような、駅前に置いてあるカニのパンフレットなどを集めていたのですよ。冬場に旅行代理店の前が、蟹のパンフレットで真っ赤に染まる日があるのです。それを何十年もずっと集めているのですが、そのカニのパンフレット、「カニパン」を集めていることを知らしめておかないと遺品として残らないので、本に書いたことは自分の学術書みたいなものです。

黒木)それで遺品なのですね。このネーミングが粋というかおしゃれというか、センスがいいですよね。……ちょっと上から目線でしたが。

みうら)いやいやいやいや。いいですよ。そうやって認めて貰った人のところには、ひょっとして僕が送りつけるかもしれませんよ、その遺品。そんなに気に入っていただけるなら。

黒木)打ち出の小槌を集めていらっしゃいますけれど、すごく重いですよね。

みうら)重いし嫌ですね。嫌なところが良いのですよね。本来なら打ち出の小槌は金銀財宝が出て来るとか、一寸法師で言うと人を小さくしたり大きくしたりできるのですが、何もできないのですよ。田舎の家とかに良く置いてあるではないですか、床の間とかに。
去年(2018年)、還暦になったのですが、そのときに九谷焼の柄がいっぱい入っている打ち出の小槌が、ふかふかのお座布団にのせて売っていたのですよ。

黒木)お座布団にのせてありますよね。

みうら)要らないなあと思って。前から要らないなあとは思っていたのですが、「要らない」となると俄然ハッスルして買わなくてはならないので、買ったのです。そのとき名前を聞かれたもので、ついつい言ってしまったらプレートが付いていて、「三浦純 還暦祝い」と書いてあったのですよ。どうやら還暦祝いなのですよ、打ち出の小槌って。

黒木)そうなのですね。

みうら)大黒さまが持っているのですが、大黒天はもともとインドの古代神、マハーカーラというシヴァ神の化身なのですよ。怖い人で、そのときは持ってないのですよ。
多分、中国の頃から持つようになったのです。還暦のときに赤いちゃんちゃんこと帽子を被るではないですか。あれは大黒天の格好ですよね。だから還暦祝いのときに田舎の人たちが買ったのではないかと思うのですよ。

みうらじゅん~還暦祝いの打ち出の小槌
みうらじゅん/イラストレーターなど

■1958年2月1日京都市生まれ 血液型AB型
■1980年 武蔵野美術大学在学中に漫画家デビュー
■1997年 「マイブーム」で新語・流行語大賞受賞
■2005年 日本映画批評家大賞功労賞受賞
■2018年 仏教伝道文化賞 沼田奨励賞を受賞

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