クリント・イーストウッド監督御年86歳!いまだ創作意欲は衰えず…『ハドソン川の奇跡』 【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第70回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

琴線に触れる映画を観ると、いち早くしゃベリたくなるのが、人情というもの。
そこで今回の「しゃベルシネマ」では、トム・ハンクス&アーロン・エッカートの来日でも話題の『ハドソン川の奇跡』を掘り起こします。

トム・ハンクスとクリント・イーストウッド監督が初タッグ!驚愕の生還劇に隠された真実に迫る…

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御年、86歳。
創作意欲も作品のクオリティもまったく衰えを感じさせない、クリント・イーストウッド監督。
衰えるどころか、新作を発表するまでの感覚が年々短くなっているような気もします。

クリント・イーストウッドと言えば、俳優として数々の代表作を持ち、監督としてもアクションから文芸作品まで幅広く手がける、現代ハリウッドを代表する人物。
いや、“人物”というより、もはや“ブランド”ですね。
何故ならば、スクリーンに「監督 クリント・イーストウッド」とクレジットされるだけで、それは「傑作」を意味するワケですから。

これだけの傑作を連発するとは、もはや神業とも呼べるイーストウッド監督が、これまた傑作映画を作ってしまいました。
それが『ハドソン川の奇跡』です。

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今回イーストウッド監督が選んだ題材は、航空旅客機史上最大の事故と呼ばれる「USエアウェイズ1549便不時着水事故」。
乗客乗員155人を乗せたままマンハッタンの上空850メートルで両エンジンが停止してしまった飛行機が、ハドソン川に不時着水しながらも、全員生還を果たしたという奇跡の実話とその後の真実を、当事者であるチェズレイ・サレンバーガー機長の手記をもとに映画化。
イーストウッドならではの視点で、“全員生存”という驚愕の生還劇に隠された真実に迫った人間ドラマです。

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この映画の何がスゴイかと言うと、本編がわずか96分ということ。
これだけの奇跡を、さらにその後の壮絶な人間ドラマを描くなら、あのシーンも盛り込みたい!このエピソードも捨て難い!!…と、なるハズ。
…と考えるのは、私を含め凡人の発想?!

極限までムダを削ぎ落とし、冷徹なほどにドライな視点で“事実”を映し出すことで、サレンバーガー機長の迅速な決断、155名の命を救ったにもかかわらずその判断の是非を問われる苦悩、そしてベテランパイロットとしての自負が浮かび上がってきます。

それは俳優の演技も然り。
サレンバーガー機長を演じる主演のトム・ハンクス、相棒の副機長を演じるアーロン・エッカート、サレンバーガー機長の妻を演じるローラ・リニー。
表情を大きく変えずともその奥底にある不安、焦り、苦悩が手に取るように伝わってきて、同時にそれが“本物の人間ドラマ”を構築することに成功しています。

シンプル・イズ・ベスト!とは、本作のためにある言葉といっても過言ではないでしょう。

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参考までに、原題の「SULLY」とはサレンバーガー機長の愛称。
常に眉間にシワを寄せたトム・ハンクスの表情からはギャップを感じる、なんとも可愛らしい呼び名だなぁ〜なんて思いながら観てましたが、エンドロールまでじっくり観ると、彼がいかに人間味があって人々に慕われている人物かがよ〜〜〜く分かります。

この映画の“真実”を知るためには、決して途中で席を立たないで。

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ハドソン川の奇跡
2016年9月24日から丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督:クリント・イーストウッド
出演:トム・ハンクス、アーロン・エッカート、ローラ・リニー ほか
©2016 Warner Bros. All Rights Reserved
公式サイトURL:http://wwws.warnerbros.co.jp/hudson-kiseki/

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