景気後退の要因は海外経済ではなく日本銀行

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月27日放送)に数量経済学者の高橋洋一が出演。景気の動きと日本銀行について解説した。

日本銀行が3月の金融政策決定会合の主な意見を公表

日本銀行は26日、今月14日、15日に行われた金融政策決定会合での主な意見を公表した。委員からは海外経済の減速がはっきりしているとして日本経済の先行きを懸念する意見が目立ち、景気が後退する動きは強まって行く可能性があるとの指摘も出ている。

飯田)主な意見ということで、無記名で出て来るのですが、無記名とは言えこれはこの人が言っているなと分かる感じがしますね。

高橋)そうですね(笑)。はっきり言うと今更という感じなのですけれどね。

飯田)海外経済の落ち込みだ、何だと。

高橋)海外経済の落ち込みと最近言うように思うのですけれど、そもそも国内の需要の観点で、景気の山がいつかと言うと、去年ではなく一昨年の最後くらいがいちばん高いところです。

飯田)一昨年ですか。

景気後退の要因は海外経済ではなく日本銀行
景気悪化のきっかけは日銀の行ったYCC

高橋)それで段々緩やかな下りになって来たのです。そして去年(2018年)の10月くらいから急速な下りです。なぜ一昨年の暮れがピークになっていたかと言うと、その少し前に実は日本銀行がYCCというイールドカーブ・コントロールをやったのですね。あれは0金利にすると言っているのだけれど、マイナス0.2だった金利を0に引き上げたわけです。あれは金融引き締めで、こういうことをするとそれから1年くらい経って悪くなるということは、いままでのデータから出るのですよね。私はそれだと思いますよ。だから、日本銀行は海外のせいだ、何だと言っているのだけれど、元々きっかけを作ったのは自分なのですよ。

飯田)国内で引き締めてしまったから。

高橋)そう。それで段々緩やかな下りでしょう。そして海外の話が急速に悪くなってから、下り坂で後ろから押される感じなのですよ。そうすると急速に悪くなる。

飯田)しかも数字を見ていると日銀は、資産の買い入れをやって市中にお金を出しているぞというポーズは取っていますが、どんどん引き締めていませんか?

高橋)2016年の9月にイールドカーブ・コントロールをしたのですが、それまでは80兆円くらいずっと買っていたので、そういう意味では金融緩和なのですけれどね。その80兆円のペースを20、30兆円に減らしたのですよ。そこでグラフを見ると見事に屈折しているのですね。金融緩和していると言っていますが、その程度は極めて緩くなっているから、最近少し金融引き締めをしているのです。金利を上げているから。だから明らかに変わって、そうすると1年くらい先になるから、実は2017年の暮れくらいから少し悪くなっていると読めますよ。

景気後退の要因は海外経済ではなく日本銀行
金融引き締めの1年後に景気悪化し、海外要因が重なった

飯田)数字は裏切らないというか、嘘をつかないというか。

高橋)嘘をつかないですよ。だから海外のせいだとか言っていますが、よく見るとその前に日本銀行が引き締めをしていて、イールドカーブ・コントロールは緩和だと言うけれど引き締めだろうと。そしてその後、予定通り1年くらい経ったら影響が出て来た。その影響で下り坂になっているところに、海外要因があったという説明をしなくてはいけないのです。

飯田)苦し紛れの説明というか。

高橋)海外要因だけしか説明しないで自分たちのことは言わないでしょう、おかしいのです。いままでの景気の転換点よりも1年くらい前に金融引き締めをやって、それがきっかけになっているのですよ。日本銀行が金融引き締めをしたら1年後くらいに出る。

飯田)しかも悪い方に出る。

高橋)大体間違いをやっていますね。

飯田)これも恐らく片岡審議員や原田審議員がもっと緩和をしろと言っていて、反対の意見が出ていると見てとれるのですが。

高橋)そうですね。反対している人は金融機関の意見を聞いていて、0金利になると儲からないという話なのです。しかし金融機関の意見を聞いて緩和しないと、もっと経済が悪くなって金融機関がもっと大変になるのですけれどね。

景気後退の要因は海外経済ではなく日本銀行
金融機関と近い日銀と金融機関をスポンサーに持つメディア

飯田)日銀は、金融機関を生きながらえさせる為に存在しているのかと思ってしまうのですけれど。

高橋)日本銀行は一応銀行でしょう。そして銀行の親分になっているから、銀行の人とすごく話をするのですよ。そうすると苦情ばかり聞いているので、そっちに目が行ってしまうのです。

飯田)しかしそれだけではなくて、物価だとか、諸外交では雇用についても責任を負うとか。

高橋)雇用ですよ。雇用だけを見ていればいいのです。雇用を見て物価もしくはインフレの動きに達していなければ、もっと緩和しろと言うしかないのですよ。それをしないのですから。要するに副作用と言うでしょう。副作用は金融機関が儲からない、ということの言い換えなのですね。あなた、どこを見て仕事しているの、ということですよ。

飯田)メディアもそれに乗っかるようなことが。

高橋)メディアも金融機関の方にスポンサーがいっぱいいるので。

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