ユニバース作品ってナニ?『スーサイド・スクワッド』 【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第66回】

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さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

その奥深さを知ってしまうと、どっぷりハマってしまうアメコミ映画。
今回の「しゃベルシネマ」では、クレイジーな悪党たちが世界を救うアメコミ・ムービー『スーサイド・スクワッド』を掘り起こします。

“正義のヒーロー”に飽きたら、“悪役ヒーロー”に注目!

スーサイド・スクワッド

アメリカ政府は、スーパーヒーローだけでは解決できない深刻な問題を抱えていた。
そこで危機的状況を打破するために、政府は極端な手段を打って出ることに。

それは、バットマンをはじめとするヒーローたちによって投獄され、死刑や終身刑となった悪党たちを招集すること。
減刑と引き換えに「スーサイド・スクワッド(自殺部隊)」を強制的に結成させ、得体の知れない最強の敵に立ち向かわせることだった。

獄中で死を待つのみだった彼らは政府の強力な武力となり、世界を救うことが出来るのか…。

スーサイド・スクワッド

監督は『フューリー』での過激な演出が注目された、デヴィッド・エアー。
ヤバイ悪役ばかりが登場する本作において「実はいちばんのクセ者は、エアー監督なんじゃないか…」と思うほど、キレッキレの演出手腕を発揮しています。
さらにキャストには、豪華スターが勢揃い。

情に厚い凄腕暗殺者デッド ショットに、ウィル・スミス。
狂気の道化師ハーレイ・クインに、マーゴット・ロビー。
軍人リック・フラッグに、ジョエル・キナマン。
地獄の炎を操る小心者に、エル・ディアブロジェイ・ヘルナンデス。
必殺縄師スリップノットに、アダム・ビーチ。
ブーメラン使いのキャプテン・ブーメランに、ジェイ・コートニー。
唯我独尊を貫く女侍カタナに、福原かれん。
魔女エンチャントレスに、カーラ・デルヴィーニュ。
そして、ウロコに覆われた怪力男キラー・クロックに、アドウェール・アキノエ=アグバエ。

あぁ、メンバー紹介だけで随分と長くなってしまいました。

しかし一人として漏れずに紹介したいほど、ビジュアルも性格もキョーレツな面々。
しかも悪役なのにポップでオシャレ、個々のキャラクターも引き立っています!

今秋のハロウィンは、ツインテールにホットパンツ姿のハーレイ・クインに扮したコスプレ女子が増えそうな予感!?

スーサイド・スクワッド

そして忘れちゃならないのが、ジョーカーの存在。
バットマンの最大のライバルにして、泣く子も黙るスーパー・ヴィラン(悪役)。

かつてジャック・ニコルソンやヒース・レジャーが怪演したこのキャラクターに挑むのは、演技派ジャレッド・レト。
スーサイド・スクワッドのメンバーにジョーカーがどう絡んでいくかも注目です。

世界観が無限に広がっていく、ユニバース作品の魅力とは…。

スーサイド・スクワッド

日本のマンガはそれぞれの作品がそれぞれの世界観を持っており、別作品同士が交わることはほとんどありません。
しかしアメリカンコミックは、出版社が同じであれば作品世界がつながっている…というのは、有名な話。
すべてのヒーローは同じ世界観のもとに共存していて、彼らがそれぞれの作品間を行き来することで、ストーリーの構成により深みを与え、ファン層を確実に広げています。

「だったら映画も、それぞれのコミックスに登場するヒーローたちをひとつの作品に登場させればいいじゃん!」という発想のもとに作られたのが、近年次々と発表されている「ユニバース作品」と呼ばれている作品群。
DCコミックスから誕生したスーパーマンやバットマンらを擁する「DCエクステンディッド・ユニバース(通称DCEU)」は、2013年に公開された『マン・オブ・スティール』を皮切りにスタート。

参考までに、アイアンマンやキャプテン・アメリカなど、マーベル・コミックスに登場するヒーローたちで構築しているのは「マーベル・シネマティック・ユニバース(通称MCU)」。
こちらは2008年公開の『アイアンマン』からスタートしました。

余談ですが『アイアンマン』公開当時、関係者から「ユニバース作品は今後、アメコミ映画の主流になっていく可能性を秘めている」という話を聞き、当時はそのあまりにも壮大すぎる構想に私の乏しい想像力は追いつかない状況でしたが…。
いやぁ、観れば観るほどキャラクターたちへの愛着も深まり、ワクワクします!

スーサイド・スクワッド

本作『スーサイド・スクワッド』は、DCEUの中の1本。
…というコトは、同じくDCEU作品である『マン・オブ・スティール』や『バットマンVSスーパーマン』とも世界観を共有していることになるんですね。

まずは『スーサイド・スクワッド』単体で楽しむのも良し。
各作品との関連性を追いかけながら観るも良し。

作品世界が縦横無尽に広がっていくユニバース作品の成り立ちを知ることで、アメコミ・ムービーをより楽しむことが出来ますよ。

スーサイド・スクワッド

2016年9月10日から全国ロードショー
監督:デヴィッド・エアー
出演:ウィル・スミス、ジョエル・キナマン、マーゴット・ロビー、ジャレッド・レト、ジェイ・コートニー、カーラ・デルヴィーニュ、福原かれん ほか
URL:http://wwws.warnerbros.co.jp/suicidesquad/index.html
©2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC AND RATPAC ENTERTAINMENT, LLC

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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