しゃベルシネマ

『スパイダーマン:スパイダーバース』が「史上最高のスパイダーマン!」と絶賛される理由

【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第581回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、3月8日に公開された『スパイダーマン:スパイダーバース』を掘り起こします。


革新的にして刺激的! 新しいスパイダーマンに命を吹き込む!!


第91回アカデミー賞で、長編アニメーション賞を受賞する快挙を達成した『スパイダーマン:スパイダーバース』。『スパイダーマン』の映画シリーズのなかで、『スパイダーマン』『スパイダーマン2』での技術関連賞以外では、“作品”としてのアカデミー賞ノミネート&受賞はシリーズ史上初となります。

またアカデミー賞の前哨戦となる第76回ゴールデングローブ賞では、シリーズ史上初となるアニメーション作品賞を受賞。さらに“アニメーション界のアカデミー賞”と言われる第46回アニー賞においては、長編アニメーション作品賞、監督賞、キャラクター・アニメーション賞、キャラクター・デザイン賞、美術賞、脚本賞、編集賞と、ノミネートされていた7部門すべてで受賞を果たし、最多受賞を記録するなど、快進撃を見せています。

本作がこれほどまでに高い評価を受ける理由は、一体どこにあるのでしょうか。


スパイダーマンことピーター・パーカーの突然の訃報により、ニューヨーク市民は悲しみに包まれる。ニューヨーク・ブルックリンの名門私立学校に通う、13歳の中学生マイルス・モラレスもその1人。実は彼こそが、ピーターの後を受け継ぐ“新生スパイダーマン”。しかし、その特殊な能力をうまくコントロールできずにいた。

そんななか、何者かによって時空が歪められる大事故が起こる。それにより、まったく異なる次元(=ユニバース)で活躍するさまざまなスパイダーマンたちが集結し、すべてのユニバースを元に戻す戦いに挑む…。


まず驚くのが、その奇想天外なストーリー。なんとスパイダーマンは、ピーター・パーカーひとりではなかったのです! 同じキャラクターが別の次元で異なる形で存在する、“マルチバース”と呼ばれる世界観が特徴のマーベル・コミック。その世界観の設定を最大限に活かした原作「スパイダーバース」を元に、本作では革新的なスパイダーマンの冒険談を構築することに成功しました。

主人公のマイルス・モラレスが身にまとうのは、スプレーでペイントされた赤と黒のスーツ、足元はストリート感あふれるスニーカーという、いまどきのティーンらしさにあふれたクールなキャラクター。彼はアフリカ系とヒスパニック系の血を引く、初めてのスパイダーマンでもあります。白人以外、あるいは男性以外のヒーローを再創造して作品に登場させるといったところも、多様性を重視するトレンドに合致していると言えます。


そしてもうひとつ驚くべき点が、観客の期待をはるかに超えたアニメーションの手法。最先端のCGアニメーション・ツールと手描きのアニメーション技法を合わせたダイナミックな映像は、まるで原作コミックスを観る人の脳内にそのまま投影したかのよう。新しいスパイディが魅力的なのはもちろん、シリーズのファンなら、サム・ライミ版3部作へのオマージュに心踊ること間違いなし。

ストーリー、キャラクター、そして映像。無限の可能性を追求し、ヒーロー映画の常識を見事に覆した本作。だからこそ「史上最高のスパイダーマン!」と空前の大絶賛を受けているのでしょう。


スパイダーマン:スパイダーバース
2019年3月8日(金)から全国ロードショー
製作:アヴィ・アラド、エイミー・パスカル、フィル・ロード&クリストファー・ミラー、クリスティーナ・スタインバーグ
監督:ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマン
脚本:フィル・ロード、ロドニー・ロスマン
原案:フィル・ロード
キャラクター:
スパイダーマン/マイルス・モラレス(シャメイク・ムーア)
スパイダーマン/ピーター・パーカー(ジェイク・ジョンソン)
スパイダー・グウェン/グウェン・ステイシー(ヘイリー・スタインフェルド)
スパイダーマン・ノワール(ニコラス・ケイジ)
ペニー・パーカー/SP//dr(キミコ・グレン)
スパイダー・ハム/ピーター・ポーカー(ジョン・ムレイニー)
キングピン/ウィルソン・フィスク(リーヴ・シュレイバー)
メイ・パーカー(リリー・トムリン)
日本語吹替版主題歌:「P.S. RED I」TK from 凛として時雨
日本語吹替版声優:小野賢章、宮野真守、悠木碧、大塚 明夫、吉野裕行、高橋李依、玄田哲章、沢海陽子 ほか
公式サイト http://www.spider-verse.jp/


八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。
機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。
初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。
トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com

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