DeNA・上茶谷 東洋大学では3年まで未勝利だった

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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。本日は、3月7日に行われたオープン戦で好投したDeNAのルーキー・上茶谷大河(かみちゃたに・たいが)投手のエピソードを取り上げる。

DeNA・上茶谷 東洋大学では3年まで未勝利だった

【プロ野球オープン戦中日対DeNA】先発のDeNA・上茶谷大河=2019年3月7日 ナゴヤ球場 写真提供:産経新聞社

「すごい球場ですが、自分の投球をして勝利に貢献することを意識しました」(上茶谷)

7日にナゴヤ球場で行われたオープン戦、中日−DeNA戦。かつて中日の本拠地であり(現在は2軍のホーム)、伝説の「10.8同率決戦」舞台にもなった球場で1軍の試合が行われるのは23年ぶりとあって、スタンドは平日昼間にもかかわらず満員の大盛況に。

そんななか、自分のピッチングに徹し、ほぼベストメンバーの中日打線を4回パーフェクトに抑えたDeNAのルーキー・上茶谷(東洋大)。初回、同じ東都大学リーグの日大出身・京田をカットボールでファーストゴロに仕留めると、2回にはスライダーで主砲・ビシエドをセカンドフライに仕留めるなど、相手を翻弄。コメントも落ち着いています。

「結果だけをみればいいけれど、直球の調子がよくなくて、変化球に頼った投球になってしまいました」

と反省も忘れません。上茶谷は昨年春、東都大学リーグ新記録となる「1試合20奪三振」をマークした力投型。この日は真っ直ぐが145キロ止まりで、力んでワンバウンド投球になるシーンもありましたが、直球がよくないと見るや、サッとカットボールやチェンジアップ主体に切り替える投球術はさすが。その他、カーブ、ツーシーム、スプリットなど、球種が豊富で、打者はなかなか的が絞れません。

これで上茶谷は、実戦に3試合登板して、8イニングを無失点。打たれたヒットはわずか1本、しかも無四球という完璧ぶり。他球団のスコアラーも「欠点が見当たらない」と舌を巻くほどで、風格すら漂って来ましたが、ラミレス監督も

「グレートジョブ! 昨年の東(=10勝を挙げセ新人王)に似ている。6、7回は難なくいってくれる雰囲気を醸し出している。このままケガなくいってくれたら、ローテに入る可能性はかなり高い」

と絶賛。DeNAは開幕戦、中日と対戦します。相手に苦手意識を植え付けたところで、ラミレス監督は開幕2戦目か3戦目に登板させるプランを描いているようですが、本人も開幕ローテ入りの、さらにその先を見据えています。

「まだオープン戦。シーズンで抑えないといけない」「簡単にカットされたり、足りないものを感じた。けがなく1年間戦えるように、しっかり練習したい」

昨年のドラフトでは、梅津(中日2位)・甲斐野(ソフトバンク1位)とともに「東洋大三羽烏」と呼ばれた上茶谷。同期生・梅津とは試合前、ベンチ裏で健闘を誓い合いました。

甲子園出場経験もなく、大学時代も3年まで未勝利でしたが、4年生になって6勝を挙げて東都のMVPに輝き、一躍プロも注目する存在に。

2015年の山崎に始まり、16年・今永、17年・濱口、18年・東と、毎年ドラフト1位の即戦力投手が活躍しているDeNA。今年も上茶谷が2ケタ勝利を挙げるようなら、Aクラス奪還と、21年ぶりのリーグ優勝も視野に入って来そうです。

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