アフガニスタン情勢が影響する“インドとパキスタンの緊張関係”

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月6日放送)に国際政治学者の高橋和夫が出演。パキスタンとインドの緊張と緩和の関係と、2国を取り巻く関係各国の思惑を解説した。

カシミール パキスタン インド 中国 タリバン 友好列車 サムジャウタ急行 イムラン・カーン

サムジャウタ急行 – Wikipediaより

インドとパキスタンを結ぶ友好列車

軍事衝突が続き緊張の高まりから運行が止まっていたインドとパキスタンを結ぶ急行列車が4日、運行を再開した。この列車は軍事的緊張の緩和とともに再開されるため友好列車と呼ばれ、インドとパキスタンの関係を推し量る目安とも言われているが、現在も両国は警戒態勢継続中で緊張が高まっている。

飯田)パキスタン東部ラホールというところと、インドの首都ニューデリーを結ぶ列車。週2回の運行ということですが、インドとパキスタンとの関係、このところ急にドンパチ始まったなという感じですね。

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首相官邸(パキスタン – Wikipediaより)

アフガニスタンで戦っていたパキスタンのテロ組織がカシミールへ

高橋)カシミールという地方の領有を争ってずっと対立はありましたが、急にインドが支配している地域でテロがあって、インドの兵隊さんが40人も殺されるという事件がありました。何で急にこの時期なのかということですが、1つはこういうテロをやるグループはパキスタン国内ではありますが、普段はアフガニスタンで戦っているのです。アフガニスタンが平和になると、では次はカシミールだと。アフガニスタンにかつてソ連軍がいて、1989年にソ連軍が撤退しますが、そのあとカシミールが騒がしくなるのです。

飯田)それまでは対ソ連でやっていた人たちが。

高橋)もう勝ったから、次はカシミールだということです。ある意味、カシミールを見るときはアフガニスタンを見ていて、いまは和平が動いていますから、もちろん完全な和平には至っていませんが、その跳ね返りが来たのかなという感じです。
もう1つはタイミング的にインドの選挙が迫っていて、この時期にドーンとやってやろうと思ったのでしょうね。インドとしては選挙の前にこんなことをされたら報復せざるを得ない。そうすると対立をあおりたい人にとってはいいシナリオ、普通の人にとっては大変なシナリオとなります。

飯田)火に油をドンドン注ぐ形になっちゃう。パキスタン政府の方が必死に事態を収拾しようとしているように見て取れましたが。そういう事情があるわけですか。

高橋)おっしゃる通りで、実際にテロをやった連中が黙っていればいいのに、パキスタンに「拠点がありますよ」と手を挙げてしまったので、もうパキスタンの責任ですよね。

飯田)インド側からすると、パキスタン政府は何をやっているのだ、ちゃんと取り締まれよと。

高橋)何とかしますからと言うことで、今朝のBBCによれば関係者の逮捕を始めたということです。軍の諜報機関がゲリラ組織を飼っていると言われているので、パキスタンのイムラン・カーン首相の政権としては動きにくいと思われていたのですが、軍部も戦争はしたくないということで、ある程度までやっていいということになったのだと思います。双方核兵器を持っていますから、火遊びしている場合ではないという感覚は両方にあるのですけれどね。

飯田)アフガニスタン情勢がここに作用するのは、まったく報じられていませんが、言われてみれば確かにそうかと。いま、アフガンの和平は進んでいるのですか?

高橋)まだ撃ち合いはしていますが、アメリカが何年以内に撤退するという、かなり真剣な交渉を実はカタール国内でしています。カタールと言うとサッカーのイメージですけれど、実はカタールはタリバンのオフィスをずっと置いていましてね、アメリカの代表とタリバンの代表が交渉をしています。そういう意味では、こっちが上手く行くとこっちの関係にひびが入るという、中東を見ているとまたかという気がします。

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カシミールの図: 緑はパキスタン支配, オレンジはインド支配. 赤枠内は旧ジャンムー・カシミール藩王国の支配地(カシミール – Wikipediaより)

インド、パキスタン、中国の3国の関係

飯田)メールもいただいています、“瀬戸は夕凪”さん。『カシミールに関しては、インドはパキスタンの他に中国とも国境を接していて、3国の関係が近くなったり遠くなったり、敵の敵は味方だったり、複雑怪奇でさっぱり分かりません』。中国は今回の件をどう見ているのでしょうか?

高橋)中国はパキスタンの同盟国で、パキスタンを支えて来ているのですが、ここで戦争をやってもらっては困る。中国はパキスタン寄りではなくて、「まぁまぁ」と抑える側に回っています。実は中国はパキスタン経由で、一帯一路で海に出ようとしているのです。インドが爆撃した理由の1つとしては、中国に「いい加減にしてください、パキスタンを抑えてくれないと、アナタ、パキスタンを爆撃されると困るでしょう」というメッセージだったのかもしれないですね。中国側も「牽制球が来たか」という感じで、「そうだよね、パキスタンにもいい加減にしてもらおうかな」という感じが少し出て来たかなというところです。

飯田)メッセージの送りあい、読みあいなのですね。

高橋)読み違えないといいですよね。

飯田)お互いに核保有国ですものね。

飯田浩司のOK! Cozy up!
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