美しい風景があれば、そこに争いはない

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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、庭園デザイナーの石原和幸が出演。庭を作る際の原風景について語った。

美しい風景があれば、そこに争いはない

「源(みなもと)」(作:石原和幸)

黒木)今週のゲストは庭園デザイナーの石原和幸さんです。
世界的に活躍されている庭園デザイナーの石原さんですが、庭を作るときの原風景というものは何でしょう?

石原)これは僕の生まれた長崎の三原町というところなのですが、爆心地から約3kmの距離にあります。家の前に小さな丘があって、すり鉢状の小さな町がそのまま残りました。僕はいま、ちょうど60歳です。これは50年前の景色なのですが、とても綺麗でした。
6月になると一斉に蛍が飛んで、明るくなります。すり鉢状になっていて、一方だけ抜けていて全部が山です。その山から下に行くにつれて棚田が続きます。棚田の間に大きな巨木がドーンと生えて、下が陰になるのでベンチなどがあって皆が集まる場所になっています。いちばん下の所には木造のチャペルがあって、ステンドグラスがあります。クリスマスになると皆で綺麗に飾ります。貧しいけれどクリスチャンの町で、じゃがいもがたくさん生ったので収穫したものを近所に配るのですよ。そうすると隣からトマトが返って来たり、1つの町が、1つの家族みたいな感じでした。
みんなが優しくて、風景と人間は一緒じゃないかなと思うのですよ。美しい風景で、食べる物があった。とても豊かに暮らせたなと思います。その記憶の風景をいつまでも追いかけている。山ですから水があちこちから湧いていて、石澄みの水が潤沢にあるので、石に苔がびっしり生えていました。小さな小川が流れていて、ナマズがいたりメダカがいたり…。

黒木)町そのものが庭園になっている訳ですね。そこに何歳くらいまでいらしたのですか?

石原)いまもいます。いまはもう開発されて、棚田が団地になりました。だけど僕はそこが大好きで、いつかそこで人生が終わってもいいくらいの庭を作りたいなと思っています。世界中から僕の最期の庭を見に来ていただけるように、小さな農業もしたいなと。

黒木)素晴らしいですね。

石原)風景があるとみんな優しくなると思うのです。綺麗な風景と水の音があって蛍が飛んで、そこに争いはない。そういう風景を日本中、世界中に作って行きたいと思っています。

黒木)写真も見せていただきました。いいですね。町のなかの一角がこういう庭になっているだけで、横断歩道の人工的なものが生きて来ますね。それは植物と一緒に私たちは暮らしているということなのでしょうか?

石原)そう思います。いま渋谷が再開発をやっているのですが、そこの緑化プランを考えさせていただいています。普通、公共工事の緑化だと一種類をたくさん植えますね。僕は桜が咲いたり紅葉があったり、さるすべりがあったり一年中楽しめるようにしたいと思っています。

美しい風景があれば、そこに争いはない
石原和幸/ 庭園デザイナー

■株式会社石原和幸デザイン研究所代表。
■1958年・長崎県生まれ。60歳。
■22歳で生け花本流『池坊』に入門。以来、花と緑に魅了され、路上販売から店舗、そして35歳頃から庭造りをスタート。
■その後、苔を使った庭で独自の世界観が国際ガーニングショーの最高峰である「英国チェルシーフラワーショー」で高く評価され、2006年から3年連続で金メダルを受賞。
2012年からは7年連続でアーティザンガーデン部門の金メダルを受賞。さらに部門内1位に贈られるベストガーデン賞と併せてのW受賞は5度。
また主催者が最も好きな庭として選ばれるプレジデント賞を2016年の作品、「ガレージガーデン」で受賞。
※チェルシーフラワーショーは、英国王立園芸協会が主催し、毎年5月にチェルシーで開催される伝統行事。1913年以来続く、世界最古にして最も権威のあるガーデニング&フラワーショー。600もの出展者がそれぞれのジャンルに分かれた庭園などを出展する。
■エリザベス女王とも接見し、「緑の魔術師」と称される。
■現在は商業施設や病院、学校、個人邸などのガーデニングを行うなかで、全国で庭と壁面緑化事業を独自に展開。環境保護(=美化)に貢献すべく活動。
■著書に「世界一の庭師の仕事術」「緑のアイデア」写真集「庭」など。

ENEOSプレゼンツ あさナビ
FM93AM1242 ニッポン放送 月-金 6:43-6:49

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毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳

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