平成思い出の実況は阿部慎之助サヨナラホームラン 【ニッポン放送小永井一歩アナウンサー】

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いよいよ平成が終わる。そんな平成を、『スポーツ実況』という形で喋り続けている ニッポン放送スポーツ部のアナウンサー。この平成の30年間を喋り続けてきて、思いの出の実況もあるはずだ。そんなスポーツ部のアナウンサーに、平成の思い出の実況を聞いてみた。

平成思い出の実況は阿部慎之助サヨナラホームラン 【ニッポン放送小永井一歩アナウンサー】

■今回は、小永井一歩(こながいかずほ)アナウンサー

平成(1995年)9月23日生まれ。今年のニッポン放送ショウアップナイターで、デビューが予定されている為、まだニッポン放送のホームページでも、紹介されていないアナウンサー。ニッポン放送の《新元号になって、最初にデビューするアナウンサー》と目されている。

■ キッカケは、ニッポン放送ショウアップナイター

- アナウンサーを目指そうと思ったきっかけは

それは、冗談ではなく、ニッポン放送ショウアップナイターがキッカケだったんですよ。
小学2年生の時、平成15年(2003年)に、初めて見たプロ野球が、東京ドームの巨人対阪神戦だったんです。(2003年5月31日東京ドーム)
その時、巨人がボロ負けしたんですよ(巨人5×13阪神)。1イニング10点ぐらいとられて、ボロ負けをして《巨人弱いな!》って思ったんです。
でも次の日、巨人は、高橋由伸選手のホームランで、サヨナラ勝ちしたんです(巨人4×3阪神)その試合を見て、《前日に、ボロ負けしていたチームが、次の日、こんな劇的な勝ち方をするんだ、野球って面白いな!》って思ったんです。それで野球が好きになって、毎日、試合を観るようになったんです。

‐ 確かに衝撃的な2試合ですね、でも、そこから、ラジオを聴き始めたのはどういう理由で

テレビ中継って、夜7時からじゃないですか。もちろん、有料のCSとかありましたけど、小学2年生の僕が、親に「野球を見たいから、CSに加入して」とは、言いじゃないですか(苦笑)
でも、野球は6時から始まっているし、今みたいに、インターネットの1球速報もありませんから、6時から野球の情報を知るにはどうしたらいいか、そうなると頼るのは、ラジオしか無かったんです。
そういう理由で、ラジオを聴くようになって、家が神奈川だったので、ラジオをつけると、ニッポン放送が凄い綺麗に入って、だから、テレビが始まるまでは、ラジオを聴こうと思ったんです。

シーズン中、毎日、ショウアップナイターを聴いていたので、そのうちに《今日は、松本秀夫アナウンサーだ》《この声は、師岡アナウンサーだ》《今日は胡口アナウンサーだ》と、聴き分けれるようになってきて、それで【実況アナウンサー】という存在を知ったんです。
この人たちは、3時間位、ずっと解説者と話しながら...すごいなぁって思いました。
特にショウアップナイターは、野球の実況をしながら、時折、解説者と、バラエティー番組みたいな掛け合いがあったり、笑いも交えながら、『野球を伝えるという、アナウンサー凄いなぁ!』って、子供心に思ったんですよ。

そのうち、遊びで実況のモノマネを始めて、今、思い出すと、足元にも及ばない出来でしたけど、それなりに出来ていて、友だちや、親戚の前で披露したら、「凄いね、もう実況じゃん」って、褒めてもらえたんですよ。そこで、《アナウンサーになって、この道を究めて行きたいな》と思ったのがきっかけでした。

平成思い出の実況は阿部慎之助サヨナラホームラン 【ニッポン放送小永井一歩アナウンサー】

プロ野球 2009日本シリーズ第5戦 巨人対日本ハム 9回裏1死 サヨナラホームランを放ち、原辰徳監督(中央下)らに出迎えられる巨人・阿部慎之助捕手(中央) =東京ドーム 撮影日2009年11月05日 提供産経新聞

 

■ 小永井一歩アナウンサーの平成、思い出に残る実況は

‐ そんな小永井アナの中で、《平成》の思い出に残る先輩アナの実況って

本当に沢山の実況を聞いてきたので...記憶を掘り起こして考えたんですけど、1番は、2009年11月5日、日本シリーズ 巨人×日本ハム 第5戦です。
2勝2敗で迎えた第5戦で、ラジオ中継としても、僕の中での印象も含めて、ベストゲームだと思っています。

‐ 誰が実況と解説だったのですか

解説は、関根潤三さん、実況は山田透アナウンサーでした。ベテラン同士のコンビですよね。
ニッポン放送では、松本アナ&江本さんコンビ、山田アナ&野村(克也)さんコンビとか、いわゆる名コンビと呼ばれる方々が沢山いますけど、リスナーの一人として、山田アナ&関根さんのコンビが好きだったんですよ。
だから、この日の朝、新聞のラテ欄見て、「うぉ~やった~」って喜びました(笑)このコンビの時は、テレビが始まっても、ラジオで聴き続ける、その位、好きだったんですよ。

‐ そのコンビのどこが良かったのですか

2人とも、型にはまらないというか(笑)山田アナは、エキサイティングで、臨場感たっぷりに、気持ちが弾むような喋り方で、関根さんは、周りに関係なく、1人で呟き始めるんですけど、絶妙なタイミングで、芯をついたコメントが、ズバッと来るんです(笑)
まさに、エンターテインメント性を兼ね備えたアナウンサーと解説者の組み合わせで、聴いていて、「ニヤニヤ」「クスクス笑いながら」聴いていました。

‐ その試合は、どこでラジオを聴いていたのですか

この試合、僕も球場で見ていたんです。球場で試合を見ながら、ラジオを聴いてたんですよ。
試合は接戦で、8回裏・巨人は、大道選手がピンチヒッターで登場して、短くバットを持って構えた大道選手からは、もの凄い気迫を感じました。そうしたら、セカンドの頭を越える同点タイムリーヒットを打って、ベース上で何回もガッツポーズをするんです。
でも、9回表に日本ハムが再び勝ち越して、流れが日本ハムに行ったと思ったら、9回裏、亀井選手が、日本ハムの守護神・武田久投手から同点ホームランを打って、さらに、阿部選手が、ライトスタンドに、サヨナラのホームランを打つという、劇的な試合でした。

この試合の実況で覚えているのが、関根さんが「いやぁ~僕ね、手の汗が凄いよ。止まらないよ」って言ったんですよ。僕も、見ていて、手汗、脇汗が凄かったんですけど、《あの大ベテランの関根さんが、僕と同じように手汗をかくんだ》って思いました。
そして、阿部選手のサヨナラホームランの時は、球場中がもの凄いボルテージだったんですけど、僕は、なんとか実況を聴こうとして(笑)、ラジオのボリュームをMAXまで上げたんです。そして、聴こえてきた山田アナの実況が、「入るか、サヨナラなのか、サヨナラなのか、入ったぁ~」っていう、もう絶叫ですよね。僕が、いままで聴いてきたショウアップナイターの中で、一番、絶叫だなって思いました。
あと、関根さんって、何か凄いプレーなどが出ると、「あ~」とか、「お~」とか、ファンに近い声が出るんですけど、亀井選手・阿部選手のホームランの時は、関根さんの「うぁ~」っていう、僕らと同じ声で、なんというか、一番、記憶に残っている中継ですね。

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■憧れの松本秀夫アナウンサー

‐ 松本秀夫アナウンサーが憧れと聞きましたが

そうなんですよ。小学生の時、松本アナに会いたいと思って、東京ドームの放送席を訪ねた事があるんですよ。松本アナって、凄くハキハキしていて、元気があって、若々しい声で、僕、松本アナって、20歳台のもの凄い若い方だと思っていたんです。

東京ドームに行って、放送ブースを覗いたら、凄く若い男性がいたんですよ。「あ、あれが松本アナかな?」って思って、ちょっと近づいて、声を聴いてみても、松本アナの声じゃないんですよ(笑)
少し時間を置いて、中継開始20分前位に行ったら、オジサンが座っていたんです。
でも、「あれは松本アナじゃないな、ディレクターさんかな?」って思っていました。そうしたら、聞こえてきたんですよ、松本さんの声が。
喋っている人を探したら、そのオジサンなんですよ、声の主は(笑)
「この人が松本アナなんだ!!」って、ラジオは、顔がわからないじゃないですか、ああそうなんだ...って(苦笑)

その時、松本さんに、「いつも聞いています、スポーツアナウンサー目指しています。」って話したら、「そうなの。君、大物になるね。」って言って頂いて、その時は、凄い嬉しかったです。で、松本さんにサインをもらって、弟が江本さんにサインをもらって、凄い、幸せでした。

このことで、「やっぱり、スポーツアナウンサーになりたいな」って思って、1年に1回くらいですけど、ブースにいる松本アナの所に訪ねて行って、サインを貰ったり、自分で作った選手についての短いですけど、評価を書いたものを見てもらったりして、関根潤三さんにも見てもらったんですよ。その記念に、そのノートに、関根さんのサインを貰いました。

そう言った事を考えると、松本アナは、唯一、僕の存在を知っているアナウンサーだったので、師匠と言えるかもしれないですね。

‐ 思い出の実況で出てきた、山田透アナウンサーは

全てのアナウンサーを聴いているものとして、《この人の実況、好きだな》っていうアナウンサーは、松本アナと山田アナなんです。この2人は、永遠の目標というか...

‐ 山田アナは、その事は知っていますか

いや、このこと知らないと思います。どうしても、松本アナが師匠とか、憧れになりますけど、僕が、学生の時に、凄くマネをしていたのは、山田アナの実況で、先輩にも、周りからも、「山田透さんぽい実況するね」って言われていました。

山田アナは、個性的な実況なんですけど、実は基本に忠実で、山田アナに言われて、凄い、記憶に残っているのは、『ラジオって言うのは、ハートなんだ、リスナーとの心と心を通わせる愛なんだ』って言われて、それを言われてから聴いていると、もの凄いわかるんですよ。

山田アナの実況を聴いている方はわかると思うんですけど、瞬間的にテンションが上がるんですけど、これは聴いている方としては、急に耳を引き付けられるんですよ。
まだ、マネをしてはダメだと思うんですけど、自分にベースが出来た時に、すごい参考にしたい、個性の持ち方のお手本だなって思います。

毎週日曜日は、小金井アナが担当、スポーツアナウンサーが呟く
アナLOG ショウアップナイター実況アナのつぶやき https://www.1242.com/diary/analog/

■ 本当にやりたかった、行きたかったアナウンサーに、これからなって行くんだなって...

‐ アナウンサーになる為に、他局のアナウンサー試験は受けましたか

受けました。でも、どこも受からず(苦笑)。大学4年生になる頃は、他の職種、鉄道、レジャー、コンビニエンスストアとかの説明会を回っていました(苦笑)
その頃、アナウンサー職の試験が残っていたのは、ニッポン放送とNHKで、これは難しいなぁと。

‐ 全国の放送局を受けましたか

いいえ。僕は、東京だけ受けていました。アナウンサー希望の友達は、全国の局を受けていたんですけど、《僕がやりたかったのは何か!》と考えた時に、『東京ドームで巨人戦を喋りたい』『有馬記念とかGⅠの競馬レースを喋りたい』という気持ちだったんです。
この2つが叶うのは、東京の放送局しか出来ませんから、これが出来ないのであれば、アナウンサーではない形で、この二つに関われたらいいな、って思っていたら、ニッポン放送に、拾ってもらったんです(笑)
でも、今は違いますよ。今は、ニュースも、レポーターとかも、難しいし、奥が深いし、楽しいですけど。

‐ 結果的に、自分の原点でもある、ニッポン放送ショウアップナイターを放送している放送局に入れてよかったですね

そうですね、ずーっと聴いていた、ある意味、原点ともいえる放送局で、アナウンサーをしているんですから。

そういえば、驚いた事があって、スポーツ部に配属になった初日、スポーツ部長から「今日は、東京ドーム行って来て。先輩たちの仕事を見てきて」って言われたんです。初日ですよ、普通に考えれば、最初はスタジオの作業を見学するのかな、って思うじゃないですか。

‐ 初日で、憧れの東京ドームに行けたんですね

そうなんです。でも、右も、左もわからないまま、煙山アナと東京ドームに行って、初めてグラウンドに降りたら、そこにいたのが、高橋由伸監督だったんですよ。

‐ 小学2年生の時に、野球を好きになるきっかけとなった選手ですね(笑)

そうですよ。そうしたら煙山アナが、「由伸監督に話を聞きに行こう」って。
その時に、ご挨拶をさせて頂いたんですけど、「ニッポン放送の新人アナウンサーです。由伸選手のサヨナラホームランを見て、野球が好きになりました。」って挨拶をしたら、「あ、ずいぶん前の話だね(笑)」って。
でも、その瞬間、《本当にやりたかった、行きたかったアナウンサーに、これからなって行くんだな》って、実感しました。

でも、最近解ったんですけど、監督に話を聞きに行くとき、いきなり野球の話じゃなくて、他の和むような話題から入りたいって時があるじゃないですか。

‐ 連敗中とかは特に

そう。その時、東京ドームに向かう途中で、「僕は、由伸選手のホームランで野球が好きになったんですよ」って、煙山アナに話したんですけど、その時「それいいね、それやろう」って言われたんです。
で、さっき話した後に、煙山アナや記者の皆さんが、監督に、野球の話を聞いていたんです。

‐ 話のダシに使われた(笑)

今考えればですよ(笑)
でも、僕としては、配属された初日に、野球を好きになった張本人に、ご挨拶出来るとは思っていなかったので、いやぁ~、凄い瞬間でしたね。

‐ ここまで実況の練習をしてきて、出来はどうですか

もう、全然ダメです。今までやって来た事が、マネ事でしかなかったというか、ただ単に、コピーしただけのものだったんですよね。
土台となる声の大きさとか、活舌とか、アナウンスの基本が出来ないのに、テクニック的なモノを身につけてしまった。今までは、実況が出来た気になっていたんですよ。
松本アナとか、「ツーボール、ツーストライク」を、「ツー、ツー」って、言う時がありますけど、その「ツー、ツー」の響きに憧れて、使っていただけなんですよ。
だから今は、実況の基本的な所からやり直しています。基礎固めです。

‐ どんな基礎固めをしているの

大きな声で、投げて、打って、どこに飛んで、誰が捕って、一塁にどんな送球をしたのか、本当に基本的な所から、プレーを追っていく。という練習です。
変に染みついた癖を取り除いて、基本を付け直すっていうのが、本当に大変でした。特に大変だったのは《大きな声を出す事》先輩達からは、声が枯れてもいいから、大きな声で喋りなさいって。

最初は、練習で1試合喋ったら、喉が痛くなって、2日間位、声が出にくいなって(苦笑)
このオフの期間は、スタジオに入って、とにかく発声練習です。飲む為の水はあっという間になくなるし、腹筋も痛くなるんですけど、そのおかげか、この数カ月で、先輩達に、「声が出てきたね」って言われます。それが凄く嬉しいですね。

‐ これまでの先輩のデビュー戦を考えると、何もなければ、今年のフレッシュオールスターでのデビューだと思いますが

そうですね。今年は、仙台で開催されますけど、上手くいけば、ショウアップナイターを聴いている皆さんに、声を届ける事が出来るので、ぜひ楽しみにして頂ければと(笑)

‐ 言いましたね(笑)あと、デビューと言えば、ニッポン放送で新元号最初のデビューアナウンサーになると思いますが

そうですね。じゃあ、フレッシュオールスターの実況で、出だしの言葉は、なんか、新元号な感じを出してやるっていうのは(笑)

‐ それは、やらない方が...(笑)、一年後には2020年東京オリンピックもありますが

まだ、これをっていうのはないですけど。喋ってみたいスポーツは、あまり知られていない競技を喋ってみたいですね。学生時代、大食い実況や、ハンバーガー早食い、プリン早食い、ハイハイレースの実況とか、色々とやって来たので、解りにくい物を、解り易く喋れたら、そこが喋り手としての快感だと思うので、《こんな競技をラジオでやったことあるの?》っていう競技を喋ってみたいですね。

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(Write よこいみちひと)

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