流行語を生んだ堺屋太一さんは「言葉の錬金術師」

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偉人の歴史に残る場面での名言を取り上げる 「高嶋ひでたけと里崎智也サタデーバッテリートーク」の“名言名場面プレイバック”。2月16日放送では故・堺屋太一さんの名言を紹介した。

流行語を生んだ堺屋太一さんは「言葉の錬金術師」

堺屋太一(作家、元経済企画庁長官) インタビュー 撮影日2005年09月21日 提供産経新聞

 

さる2月8日、作家で経済評論家の堺屋太一さんが、鬼籍に入られました。堺屋さんといえば、時代を映す数々の流行語を生んだ、「言葉の錬金術師」。有名なところを挙げるだけでも、枚挙にいとまがありません。

■「巨人、大鵬、卵焼き」(※昭和36年)
■「団塊の世代」(※昭和51年)

そこで今日は、「言葉を編む天才」堺屋太一さんの、
余り知られていない名言にスポットを当てましょう!

■「大阪万博は、日本の青春時代だった。」

…当時を知るものにとっては、なんともしみじみと響く言葉ですよね。若き日の堺屋さんが発起人をつとめた、大阪万博。失敗に終わるとの予想を覆し、国民の半数、約6千万人が押し掛ける盛況となりました。このとき、堺屋さんが、まだ全く無名の芸術家だった岡本太郎さんを大抜擢。周囲の猛反対を押し切って「太陽の塔」の建設を後押ししたのは有名な話です。「大阪万博は、日本の青春時代だった。」確かに当時の日本、高度成長の真っただ中で、まさに「青春の只中」にあったわけですが…堺屋さんご自身も、若き日の青春時代と大阪万博を重ね合わせていたのかもしれません。

さて、経済企画庁長官も長らく務めた堺屋さん。
企業という組織が陥りがちな「落とし穴」について、いろいろと、鋭いことを言ってます。

■「組織というのは、ひとつのことが成功すると、同じことばかりをやりたがるものだ。イギリスの諺に『競馬のやりはじめで大穴を当てた者は破産する』というのがある。万馬券に味を占め、大穴狙いがやめられないからだ」

競馬もお好きだった堺屋さんならではの金言ですよね。さて、組織の中では「報告・連絡・相談」の「ほうれんそう」が大事だ…とよく言われます。ところが堺屋さんに言わせると、これは実にくだらない習慣だったようで…

■「潰れる心配のない大企業の社員の間では、『大切なのは報・連・相』といわれる。何ひとつ価値を生まない組織内の情報交換が重要な仕事となったのだ。そんな組織で、新たな価値をつくり出せるわけがない」

…「一刀両断」とはこのことですよね。お次は、晩年の堺屋さんが、若いヒトに向けた言葉です。

■「最近の若い人の中には、勝手なことをしたら会社の上司に叱られるとか、組織で嫌われるとか、リスクを恐れる人が非常に多いように思います。ですが、幕末の志士の半分は、志半ばで死んでいるのです。いまは、殺される心配はありません。少しぐらいのリスクは恐れずに、世間に挑んでください」

殺されるよりマシじゃんってわけです。このへんの比喩の選び方が、天才・堺屋太一ならでは… といった感しきり。

最後に、堺屋太一さんの「座右の銘」を紹介しましょう。実はこれ、堺屋さんの「造語」なのですが…ちょいと勇気が沸く言葉なんです。

■「稚夢不尽老志燃」

これで、「ちむふじん ろうしもゆ」と読みます。どういう意味かというと…

「子どものようなアホな夢が尽きさえしなければ、たとえ年老いても、志は燃え上がる。」

…こういう意味なんです。(※大阪生まれの堺屋さんですから、「くだらない夢」ではなく、あくまで「アホな夢」。)皆さん、子どものような「アホな夢」… お持ちですか?

 

高嶋ひでたけと里崎智也 サタデーバッテリートーク
FM93AM1242ニッポン放送 土曜18:00-20:30

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