10時のグッとストーリー

Jリーグ『セレッソ大阪』で20年以上コーチをつとめる男性のストーリー

番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】

きょうは、チーム創立からサッカーJリーグ・セレッソ大阪に在籍。様々な困難を乗り越え、20年以上にわたり選手を指導して来たコーチのグッとストーリーです。

「セレッソ大阪」ゴールキーパーコーチ 武田亘弘 さん(©CEREZO OSAKA)

いまから25年前の1994年、念願のJリーグ昇格を果たした「セレッソ大阪」。当時、チームの正ゴールキーパーとして昇格に貢献し、引退後はゴールキーパーコーチに就任。以来、20年以上にわたって指導を続けているのが、武田亘弘さん・53歳。

「たくさん点を取って勝つより、1対0でいいから相手を0点に抑えて完封勝ちすること。そのほうが何倍も嬉しいですね」と言う武田さん。昨シーズンのセレッソの失点は38点で、J1(ジェイワン)18チーム中、4番目の少なさです。現役時代の94年に移籍してから現在まで、セレッソひと筋25年。選手からは「のぶさん」の愛称で親しまれています。

しかし、ここまでには何度も試練が訪れました。選手としては、入団1年目の94年、Jリーグ昇格に貢献し晴れてJリーガーになったにもかかわらず、95年からチーム強化のため元ブラジル代表のゴールキーパーが加入して、武田さんはレギュラーの座を奪われ、試合にほとんど出られなくなってしまいました。

「サッカー界ではよくあることなんですが、悔しかったですね……」と言う武田さん。97年に戦力外通告を受け、ユニフォームを脱ぐことになったときは大きなショックを受けましたが、若手にアドバイスを送る武田さんの姿を、チーム関係者はちゃんと見ていました。

正ゴールキーパーとしての活躍経験もある武田さん(©CEREZO OSAKA)

「小・中・高校生を指導するユースチームで、キーパーコーチとして頑張ってみないか?」というオファーを受けた武田さん。他のチームで現役を続ける道も考えましたが、指導者としての道を歩もうと決意。的確な指導が評価され、ユース世代の日本代表コーチも任されるようになりました。そして2004年10月、ついにセレッソ大阪トップチームの、ゴールキーパーコーチに就任。

「ゴールキーパーは、メンタルがタフじゃないとやっていけないポジションです。戦略的なことも大事ですが、失点して負けたとき、選手をどうケアするかも重要なんです」

また、ゴールキーパーにシュートを止める練習をさせるためには、ライバルチームのフォワードの選手を研究し、同じような軌道で飛んで来る鋭いシュートを打たねばなりません。それも武田さんの仕事。「ビデオを観て研究して、陰でコツコツ練習してるんです(笑)」

ところが2009年、武田さんをまた試練が襲います。かねてからの持病だった腰痛が悪化し、椎間板ヘルニアを発症。右足がしびれ、思うように動かせなくなりました。医師からは「いまの仕事を続けるのは難しくなるかもしれません」と告げられましたが、懸命にリハビリに取り組んだ武田さん。

ときには鋭いシュートも打たなければならない(©CEREZO OSAKA)

「リハビリはグラウンドの片隅を借りてやってました。こういうときも、選手たちとともに戦いの場にいたかったんですね」
武田さんは、医師も驚く驚異的な回復力を見せ、選手たちは「のぶさんが帰って来た!」と笑顔で復帰を祝ってくれました。

ところが、セレッソ大阪のチーム体制が一新された関係で、2014年から再びユースのコーチに就任することになりましたが、働く場がどこだろうと、常にチームのためにベストを尽くすのが武田さんのポリシーです。

2015年、指導していた中学世代のジュニアユースチームが、初めて全国制覇を達成。3年後の2017年、「武田さん、まだやれますか?」とトップチームへ復帰の声が掛かったのです。

そしてこの年、Jリーグ加盟以来、一切タイトルに縁がなく「無冠の帝王」と呼ばれていたセレッソが、ルヴァンカップで悲願の初優勝を果たします。決勝は、試合開始直後にセレッソが先制。その1点を守り切り、後半ロスタイムに追加点を入れ、スコアは「2対0」。理想とする無失点で勝った瞬間、我を忘れてピッチに飛び出し、選手たちと喜びにひたった武田さん。

去年は天皇杯でも優勝を飾り、もう「無冠の帝王」とは呼ばせません。武田さんは言います。
「こんなに長く同じチームに在籍している人間は、Jリーグでも珍しいと思いますが、これからも体が動く限り、セレッソの勝利に貢献して行きたいですね」

©CEREZO OSAKA

八木亜希子 LOVE&MELODY
FM93AM1242ニッポン放送 土曜 8:00-10:50

八木亜希子 LOVE & MELODY

ニッポン放送 ニッポン放送
Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.