小淵沢駅「夏の信州牛ご飯」(1,200円)~折り紙博士が鉄道レール模型を「幾何学」する! 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

特急「かいじ」

特急「かいじ」

東京駅・中央線の高いホームから発車する特急「かいじ」号・甲府行。
中央線特急は新宿発が基本ですが、東京発着の列車も数本存在します。
都心と多摩地区を結ぶ中央線快速は、東京駅を発着する主要なJR線で唯一「グリーン車」の無い路線。
2020年度までにグリーン車が増結されることは発表されていますが、まだもう少し先です。
多摩方面へ仕事しながら移動したり、小腹を満たしながら移動したい時、東京始発の「かいじ」に当たるとラッキー!
自由席特急券(510円)で、中央線快速の混雑から逃れることが出来ます。

夏の信州牛ご飯

夏の信州牛ご飯

最近は、全国各地の駅弁が手に入る東京駅。
東京駅で駅弁を買う時は、東京のものか乗る列車の沿線のものを買うようにしています。
中央線特急に乗るなら、小淵沢駅弁「丸政」のものをチョイス。
この日は、夏季限定「夏の信州牛ごはん」(1,200円)を入手出来ました。
前にご紹介した「小淵沢丸政の信州牛御辨當」の姉妹品的な存在です。

*以前の記事にてご紹介しております。↓↓

シリーズ「駅弁屋さんの厨房ですよ!」(vol.2「丸政」編⑤)~小淵沢駅「小淵沢丸政の信州牛御辨當」(1,800円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

夏の信州牛ご飯

夏の信州牛ご飯

諏訪湖の花火を彷彿とさせる掛け紙を外すと、中味も花火のように華やか!
信州牛と錦糸玉子がハーフ&ハーフで、花形の飾り人参も入っています。
その真ん中には山菜が敷かれ、信州らしさを演出。
「信州牛御辨當」より手軽にあの美味しさを味わえます。
首都圏主要駅でも販売がありますので、武田菱が描かれたE257系電車に乗り込んだ瞬間から、甲州・信州気分を味わえることでしょう。

E257系電車

E233系電車

さて、今回は「かいじ」を早々に三鷹で下車。
東京~三鷹間は「かいじ」で25分ちょっとなので、新幹線で東京~大宮間を移動する感じです。
勿論、三鷹までなら「中央特快(青梅特快)」でも時間差は殆どありませんが、お金払ってでもゆったりしたい時ってありますよね。
今回は、三鷹でオレンジ色の帯を巻いたE233系電車に乗り換えて2駅、東小金井で下車。
歩いて10分ほどの「東京農工大学科学博物館」を訪ねると、そこにあったのは・・・?

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あのちびっ子たちが大好きな”鉄道レール模型”が、美しい幾何学模様に!!
展示のタイトルは「鉄道レール模型の幾何学」。
実はコレ、昨今、話題を呼んでいる、あの「幾何学模様のプラレールコース」の実物なのです。
コレを設計したのは?

筑波大学三谷純教授(システム情報系)

筑波大学三谷純教授(システム情報系)

筑波大学の三谷純(みたに・じゅん)教授(システム情報系)。
三谷教授は、昭和50(1975)年静岡県生まれ。
東京大学を卒業後、理化学研究所研究員を経て、平成17(2005)年から筑波大学に勤務されています。
専門はコンピューターグラフィックス、特に「折り紙」の研究では、世界の第一人者として知られています。
てことで、早速、三谷教授に直接、話を訊いちゃいました!

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●三谷教授は「折り紙」の研究が専門ですが、どこから「鉄道レール模型」に注目したんですか?

三谷教授(以下三谷):ほとんど「趣味」ですよね。
最初は、自分の子どもと一緒に遊んでいたんですよ。
そのうち、段々面白くなってきて、ツイッターに写真を載せたりしたら、各方面からイロイロ注目してもらえるようになったんです。
大学の知り合いから「レール」をプレゼントされたりしたので、これはちゃんとやらないと・・・ということで。

●「折り紙」と「鉄道レール模型」・・・共通点はあるんですか?

三谷:「厳しい制約(ルール)の中で何が出来るか?」ということだと思います。
折り紙なら「ただ紙を折るだけ」、鉄道レール模型なら「ただレールを並べるだけ」ですよね。
アートの表現って制約が全然ないと、何をやったらいいか分からなくなるんだけど、制約が厳しいとその中で何をやったらいいか集中できるんです。
その上で、モノの見方として「普通はこうだよね」という色メガネを外して、「形」そのものに着目していったことで、あのような形が出来ました。
だから(鉄道模型は走るのが当たり前ですが)「走らないことに意義がある」というくらいでやったからこそ、あの模様が出来たんだと思います。

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●コースづくりのソフトも作っちゃったんですよね?

三谷:コンピューターサイエンスの人間なので、頭で考えるよりもコンピューターにやらせた方が、素早くて正確ということで。
ソフトで模様をシミュレートして、見栄えのするものを選んで作ったりします。
だから、コンピューターに任せていると「こんなの出来ちゃうんだ!」と自分が逆に驚くこともあります。

三谷教授の「鉄道模型コースシミュレータ」はこちら>

●教授のお子さんは、幾何学模様の「鉄道レール模型」に興味津々じゃないですか?

三谷:それが全く興味を持ってないんです。
やっぱり「(列車が)走れない」から。
そういう意味では、これは「大人の愉しみ方」ですよね。
「折り紙」も「鉄道レール模型」も「子供の遊び」といって大人はやらなくなってしまいますが、実は「大人には大人の遊び方」があるんだと思います。
こういう展示を見て「スゴイ!」と思うだけじゃなくて、「自分だったらこうやってやろう!」という人が出てくるといいですよね。

数理とコンピュータで創造する折紙の形

人気の映画「シン・ゴジラ」の折り紙のシーンでもお手伝いをしたという三谷教授。
三谷教授の「折り紙」と「鉄道レール模型」の作品は今、東京・小金井市の「東京農工大学科学博物館」で開催中の企画展「数理とコンピュータで創造する折紙の形」で実際に観ることが出来ます。
開催期間は9/9(金)までで入場無料、但し日・月曜が休館となりますのでご注意ください。
夏休みに遠くへ行きすぎて、ちょっと懐が冷え込み気味の方にもやさしい、「安近短」でちょっと知的な鉄道スポット。
「アート」の域に達した「折り紙&鉄道レール模型」を、ぜひ自分の目で確かめてみて下さい。

企画展「数理とコンピュータで創造する折紙の形」
会期:2016年8月27日(土)~2016年9月9日(金)
場所:東京農工大学博物館 1階企画展示室

実は「制約の中で何が出来るか?」というのは、放送作家にとっても共通の課題。
時間、スポンサー、予算などが限られた中で、どれだけ面白い番組を作れるか?
制約が厳しいほど、作り手としては逆に燃えてきたりしますよね。
その意味では、番組作りも「折り紙」や「鉄道レール模型」と相通じるところがあるのかもしれません。
このサイト「駅弁膝栗毛」ですので、おしまいにチョットだけ、三谷教授にこんな質問を・・・。

●いつも「駅弁」を食べた後に「掛け紙」や「容器」を持って帰るんですが、なかなか折りたためなくて難儀することも多いんです。
「折り紙」の技術やデザインを「駅弁の弁当箱」に活かすことは可能ですか?

三谷:たぶん「折り畳みの技術」によってかかるコストをペイ出来ないんじゃないでしょうか?
「持ち帰ることに意義がある」折詰で、それによって「100円」値段が上がってもいいというのなら可能だと思います。
大量生産するものは、そこで10円、20円変わってくることが大きいでしょうから「どうせ捨てちゃうでしょ」って、みんなやりたがらないんです。
「紙」って、本当にビミョーな存在なんですよ。
「紙くず」にもなるし、そこに「アート」を見出すことも出来るんです。

紙のアートと紙くずは、まさに「紙一重」というワケですね!
(取材・文:望月崇史)

ライター望月の駅弁膝栗毛