子供の遺伝子の余白には、親ではなく子供自身が書き込むべき

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「すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト」(2月10日放送)に日本小児科学会の高橋孝雄会長が出演。「遺伝子」について語った。

子供の遺伝子の余白には、親ではなく子供自身が書き込むべき
淵澤)けさは「遺伝子にまつわるお話」についてお伺いします。この「遺伝子」のお話は高橋さんの著書、マガジンハウスから去年9月に発売された『小児科医のぼくが伝えたい最高の子育て』に書かれています。
よく「トンビが鷹を産む」と言いますが、遺伝子的にはありえるのですか?

高橋)ありえないですね!

自見・淵澤)(笑)

高橋)トンビの遺伝子からは、トンビしか産まれません。

自見)まさにお医者様の回答。

高橋)このお話でいちばん大切なことは、「トンビと鷹」を優劣で比べてはいけないということです。例えば、スポーツが苦手なご両親から、スポーツができるお子さんが生まれた。それは鷹が生まれたのではなく、ご両親がそのスポーツをやっていたら同等程度の運動神経が発揮されていたのではないか? と、その程度のお話です。

淵澤)そもそも「遺伝子」とは何ですか?

高橋)遺伝子は、タンパクを作る設計図です。これ以外ありません。タンパクの特徴は、3次元の構造があること。なぜ3次元構造があるかと言うと、鍵と鍵穴のようにそこに機能があるからです。考える、食べる、寝ることなどは全部人間の機能なのです。機能はどこに宿っているかと言うと、いろいろな臓器の形に宿っています。その形を作っているのは、タンパクに他ならない。それを作る元が遺伝子です。

淵澤)でも全部が全部、その遺伝子によって決められるわけではないのですよね。

高橋)おっしゃる通りです。遺伝子は全部で2万2千個しかありません。これだけ身長や体重の違う人たち、顔つきの違う人たち、こんなにバリエーション豊かな人類が出来上がるわけはありません。例えるならピアノの楽譜、音符みたいなものです。音符の数は限られていて、ピアノが奏でることができる音はさらに限られています。
1つの曲は誰がどこで、どう歌っても違う音楽になります。音色や間が違う、強さが違う。それが楽譜に組み込まれている余白だったり、ゆらぎだったりします。それが個性になり、また進化するということにもなります。
例えばいま僕が話していることも、事前に打ち合わせをしていても話に花が咲きます。それは僕が余白にいろいろなことを書き込んだからです。その余白が物語、シナリオにいい味をつけているということです。
子供の人生には遺伝子が用意したシナリオがあるけれど、必ず余白もある。そこに何を書き込むかがとても重要です。それを親がやってはいけません。子供自身に書き込ませる。親は子供の余白に書き込まず、まだこれから自分の人生が長いのですから、自分の人生の余白に書き込みをすればいいと思います。

自見)非常に大切なことですね。

すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト
FM93AM1242ニッポン放送 日曜 6:04-6:13

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毎週日曜 6:04-6:13

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この番組は、子育てで日々奮闘しているママやパパ、そしておじいちゃん、おばあちゃん、ご近所さんなど、子育てに関わる皆様に、役立つ情報を提供してゆく子育て応援プログラムです。
ナビゲーター:尾木直樹 アシスタント:淵澤由樹(フリーアナウンサー)

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