豚コレラウイルスは猪から感染 猪へワクチンと衛生対策を早急に

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月11日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。北海道大学大学院教授の迫田義博に、豚コレラウイルスについて、電話インタビューを行った。

豚コレラウイルスは猪から感染 猪へワクチンと衛生対策を早急に

豚コレラ 豚コレラの陽性反応が出た東大阪市の養豚場では、夜間になっても防護服で作業する大阪府の職員の姿が見られた=8日、大阪府東大阪市 撮影日2019年02月08日 提供産経新聞

拡大広がる豚コレラウイルス、感染経路と対応の遅れ検証へ

豚コレラの感染が5つの府と県に広がっている問題で、愛知県大阪府などの養豚場で、週末、豚の殺処分が行われた。豚コレラが周囲の府県に拡大するきっかけとなった愛知県豊田市の養豚場について、感染経路が不明である点や、豚の移動の自粛が遅れた疑いがある点などについて、解明と検証が始まっている。

飯田)去年9月に26年ぶりに岐阜県の養豚場で発生が報告されて以来、拡大が広がっている原因がどこにあるのか、専門家の方に伺っていこうと思います。豚コレラウイルスの研究を24年間続けていらっしゃいます、北海道大学大学院獣医学研究院教授の迫田義博さんです。まずは豚コレラウイルスなんですけれども、どういった動物が感染するのか、その基本的な所から伺ってよろしいでしょうか。

迫田)このウイルは、豚と猪にのみ感染するウイルスです。ですから人にも感染しません。

飯田)再三報道でも言われていますが、感染したお肉を食べても人には問題はないということでよろしいですか。

迫田)そうですね。人に感染しないウイルスですので、万が一食べても大丈夫ですし、そもそも豚肉の感染の問題で、過熱して食べるということを皆さんされていると思うので、日ごろの加熱調理をすれば、ウイルスもただのたんぱく質ですので変性してしまいますので安心してください。

飯田)なるほど、普段通りに食べて入れば問題はないと。今回の感染経路についてというのが謎のままというようなところなんですけれども、どういうことが考えられますでしょうか。

迫田)26年間日本に発生はなかったということが1つ、それともう1つ、日本の検査結果で中国やモンゴルのウイルスでした。このモンゴルのウイルスっていうのは、我々がモンゴルとの共同研究で解析したウイルスなんですけれども、この海外でアジアで流行しているウイルスと近いと、こういう情報を総合するとウイルスが国外から国内に持ち込まれて、猪の間でくすぶっていて、そのウイルスが養豚場に散っているという風に考えるべきかと思います。

飯田)とすると、猪というのは野生のものだと考えていいんですね。

迫田)そうですね。岐阜県を中心に野生の猪からウイルスが見つかっているという状況です。

飯田)その猪が山から下りてきたときなんかに養豚場の豚と接触して、ということが考えられるわけですか。

迫田)そうですね。「猪と豚の直接的な接触、それを避けるようにフェンスを作ったりとかしていますが、例えば猪のいわゆる糞尿中にもウイルスは排泄されているんですね。ですから、そういうのを知らないで靴で踏んだり、感染したものを養豚場に持ち込むなどの間接的な要因で養豚場で感染が起こることもあります。

飯田)高山市など、岐阜県に旅行に行かれた方が画像で寄せてくださったんですが、いま駅だとか至るところに靴でここを踏んでください消毒できます、みたいなものが置いてあるんだということなんですが、あれで防ぐことはできるんですか。

迫田)そうですね。県の方でそういうことをすすめているということを聞いています。それをしっかりと勧めてください。あれは消毒液が入っていて、ウイルスが死んでしまいますので、そういうところをしっかりと踏んでもらったりと、協力を一般の方にはしていただきたいと思います。

封じ込めに必要な対策は

飯田)この先、どうやったら封じ込めがうまくできるんでしょうか。

迫田)まず、先ほどお話しした通りウイルスの元栓は猪の中なんですね。猪の間で流行が燻っている。その元栓を閉じる対策、猪対策をしっかりするというのが1番目ですね。そして2番目が、猪の間で燻っているウイルスが散らばるんですけれども、そのウイルスをもらわないようにする農場での衛生対策。着替えであるとか、先ほどの一般の方も協力いただいている消毒であるとか、そういうことを徹底していただくという2点かと思います。

飯田)一部では農場の部分でもワクチンを投与したらいいんじゃないかという話も出ていますが、これは先生はどうお考えですか。

迫田)ワクチンについては、どの動物に投与するかで議論をちゃんと分けた方がいいと思うんですけれども、まずは猪に対するワクチン。餌を与えるような形で餌ワクチンという、過去にヨーロッパでやられていたことがあるんですけれども、猪に対するワクチンについては早急な検討が必要だと思います。

飯田)これが先ほど先生がおっしゃった元栓を締めるという。

迫田)元栓を締めるための補助手段としての猪ワクチンは、早急に考えるべきだと思います。

飯田)一方で農場の方は。

迫田)農場の方はいままで申し上げたような衛生対策、猪の元栓を締める対策、これを徹底して、それでも感染が拡大するような万策尽きたというかそういうシナリオにはなってほしくありませんが、やはりそういうときに使う最後の手段だと思います。

ワクチン投与の効果は

飯田)スタジオには、ジャーナリストの須田慎一郎さんもいらっしゃいます。

須田)お伺いしたいんですけれども、猪に対するワクチンの投与ということなんですが、これは相当広範囲に投与する必要はあるんでしょうか。

迫田)そうですね。我々ウイルス学者だけでなく、猪の生態に詳しい方々との協議も加えたうえでどういう場所に、そういう範囲で、そしてその効果かも見極めるということについても、きょう明日に結果が出るものではないので、腰を据えた対応が必要になるかと思います。

須田)ということは、まだまだもの問題は収束に向かわないということですね。

迫田)そうですね。猪の豚コレラ対策が完了するには、やっぱり1年くらいは、少なくとも1年、または数年くらいの単位で腰を据えて対策しなければならない。やはり相手が野生の猪であるというというところが養豚場の対策とは大きな違いですね。

飯田)なるほど。いずれにせよ、人間は食べても大丈夫だし人間にはうつらないということはちゃんと覚えておかないといけないですね。

迫田)そうですね。そこのところはご心配なく、豚肉を美味しくいただいてください。

 

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