株式会社 幻冬舎 社長・見城徹「たった1人の熱狂からしか人を巻き込むことはできない」

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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、株式会社 幻冬舎 社長の見城徹が出演。仕事に対しての持論について語った。

黒木)今週のゲストは株式会社 幻冬舎 代表取締役社長の見城徹さんです。
見城さんといえば数々のベストセラーを生んで来られました。見城さんが仕事へ向き合うときに「圧倒的な努力と熱狂」という言葉がよく見受けられます。

見城)僕は、休み休み熱狂して行くと、寂しくて生きていけないのです。「人は必ず死ぬ」という結論からは平等に誰も逃れられない。そういうなかで「いつか死ぬんだ」と思うと凄く寂しいのですよ。それを埋めるために、とにかく自分を熱狂させていたい、我を忘れていたい。いろいろな寂しさや切なさを忘れさせてくれるような、夢中になれるものが欲しいと思うわけです。そうすると「今度はこの人にあれを書かせよう」とか「これをヒットさせよう」といろいろなことを考え始める。するとわくわくして来て、たった1人の熱狂を何とかいろいろな人に伝えたい、分からせたいとなって行くじゃないですか。そこには圧倒的努力が必要になるわけですけれど、とにかくたった1人の熱狂からしか人を巻き込むことはできないと思うのです。それがどんどん伝播して行ってヒット作は生まれるのです。圧倒的努力無しには障壁をクリアできない。「圧倒的努力は岩をも通す」と比喩的に言っているのですが、普通の努力ではだめなのですよ。人が休んでいるときに休まないこと、人が寝ているときに寝ないことです。どこから手を付けて良いかわからないものに、1から手を付けてやり切ることです。それは圧倒的努力なのです。それをしない限り、たった1人の熱狂が全世界を覆い尽くすことはできないですよね。たった1人の熱狂と、圧倒的努力は僕のなかではセットなのです。
例えば五木寛之さんと初めて仕事をしたいと思ったとき、手紙を書いているのですね。ただ自分のことを書いてもしょうがないので、五木さんの刺激になることを書こうと思っていました。それは圧倒的努力なのですよ。そしたらやっと27通目でお会いできることになった。石原慎太郎さんと初めて仕事をするときは……。

黒木)暗記したのですよね。

見城)『太陽の季節』と『処刑の部屋』という短編を全部暗記して、会ったときに「暗唱できます」と言ったら「何を言っているんだ君は」と言われて。「やります」と言って『太陽の季節』を2分くらい暗唱し始めたら「もういい、わかった。君とは仕事をするよ」と言われたのですが、圧倒的努力ってそういうことですよね。松本清張さんに会いに行くときに、やはり松本清張さんの作品が250あるとすれば250冊全部読んで行くという。それが圧倒的努力です。

黒木)それがいまの見城さんを作っているのですね。

見城)そしていまの幻冬舎を作っているのだと思います。

株式会社 幻冬舎 社長・見城徹「たった1人の熱狂からしか人を巻き込むことはできない」
見城徹/株式会社幻冬舎・代表取締役社長

■慶應義塾大学法学部卒業後、廣済堂出版に入社。編集者としてのキャリアがスタート。
■1975年、角川書店に入社。『野性時代』副編集長を経て、『月刊カドカワ』編集長に。部数を30倍に伸ばし、雑誌界の伝説となる。
■その後、直木賞作品を数多く手掛けるなど、ベストセラー作品を次々と送り出す。41歳のときには取締役編集部長に昇進。凄腕の編集者として知られるようになる。
■1993年、独立して株式会社「幻冬舎」を設立。斬新なアイデアでベストセラーを生み出し続けている。
■最近は『絶望しきって死ぬために、今を熱狂して生きろ(藤田晋氏共著)』、『たった一人の熱狂』、『読書という荒野』など、自身の著書が話題を集めている。

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