世界銀行の次期総裁に指名されたマルパス氏~その人選の中心となったのはイヴァンカ氏

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月8日放送)に外交ジャーナリストの手嶋龍一が出演。トランプ大統領が世界銀行の次期総裁にアメリカのデービッド・マルパス氏を指名したことについて解説した。

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ワシントンD.C.の世界銀行本部(世界銀行 – Wikipediaより)

デービッド・マルパス氏を世界銀行の次期総裁に指名

デービッド・マルパス氏は世界中の途上国にとって欠かせない資金源、技術援助機関である世界銀行の次の総裁として名前が挙がっている。トランプ大統領は世界銀行の次期総裁としてアメリカのデービッド・マルパス財務次官を指名したことを発表。マルパス氏は世界銀行の中国向け融資を減らすよう要求するなど、中国に対し、強行な姿勢を取る人物として知られている。その為、マルパス氏の起用には途上国などが反発する可能性があるが、世界銀行の歴代総裁は最大の出資国であるアメリカから選ばれていて、その就任は濃厚と見られている。

飯田)前任のジム・ヨン・キムさんというアジア系アメリカ人の方は突然辞任してしまいましたよね。そこからここに来ている。

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ジム・ヨン・キム – Wikipediaより

世界銀行がアジア諸国に果たした役割

手嶋)ジム・ヨン・キムさんは、トランプ政権との間で摩擦があったとも言われています。アジアはこれまで世界経済の推進エンジンなどと形容されましたが、特にインフラ整備に世界銀行が大きな役割を果たしています。日本においても、新幹線や黒部の巨大なダム建設などは世界銀行の融資によるもので、その存在はとても重要です。今日の中国も、ここまで経済大国になったのは世界銀行が途上国扱いで融資してくれたところが大きい。世界銀行は、中国に故なく優遇をしているのです。
2014年に習近平国家主席が提唱して、中国が世界に、東アジアに示した中国圏構想である一帯一路にも、直接間接には世界のお金が使われている。AIIBという独自の投資銀行も作っていますが、トランプ政権が中国に対する批判を強めて来た。そして世界銀行にマルパスさんを送り込むことになった。

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アメリカ合衆国「ホワイトハウス」にて(2018年8月)(イヴァンカ・トランプ – Wikipediaより)

世界銀行の総裁人事の中心となったのはイヴァンカ

手嶋)実はその人選の中心になったのが、トランプ大統領の愛娘、イヴァンカ・クシュナーさんです。トランプ大統領の強い意向がそこに投影されているということになります。
トランプ政権の特質を1つだけ挙げろと言われれば、「アメリカファースト」。これは一種の孤立主義ですよね。トランプ政権は、世界機関というものが嫌いなのです。国連も世界銀行も、そのなかを変えてやるということで、切り札としてマルパスさんを送り込んだということだと思います。アメリカは世界銀行の最大の出資国ですから、大きな票を持っている。第2は日本ということになりますと、多分日本はマルパスさんの人選について賛同する方向ですから、ほとんど内定してしまう。マルパス人事から、世界的な国際組織が嫌いなトランプ政権の本音を読み取ることができるということです。

飯田)これで資金の流れが変わって来るということはあるのでしょうか?

手嶋)あると思います。特に中国についての資金を断つ。正にこの点で米中衝突、米中貿易戦争が国際機関にも及び始めていると見ていいかもしれません。

飯田)アメリカ財務省にいらっしゃった方がドルの流れを見て行くと、中国もそう簡単には歯向かえないということになるわけですか?

手嶋)それはとても大切な指摘です。いま中国は基軸通貨がドルです。イラン制裁などを巡っても、基軸通貨を握っていますので、いざとなれば、アメリカ域内での取引を禁止するという伝家の宝刀を持っている。中国に対してアメリカは大変優位には立っているのですが、逆に言えば20年、30年、半世紀というスパンで見ると、中国が基軸通貨ドルの権威を弱めて、元こそが…とするとも限らない。だから極端に締め上げると反動もあるかもしれない、その潮目が変わり始めた境目にいる。その点では興味深い時代に入りつつあるのだと思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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