ニューシネマを彷彿させる裏社会エンターテインメント!『ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-』 しゃベルシネマ【第63回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」

9月になりました!
朝晩は少し涼しく感じるようになりましたね。

さて今回の「しゃベルシネマ」では、『ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-を掘り起こします。

ギリギリな密入国者たちの裏社会エンターテインメントが、早くも映画化された!

ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-

東京にいる密入国外国人は、約15万人。
悪いヤツもいるが、難民認定が受けられずに貧しい生活を強いられながらも、必死で生きている者も大勢いる。
そんな彼らが自分たちを守るために作り上げた秘密組織が、異邦都庁、通称・裏都庁。
そこには日本の官庁が関与しない銀行、厚生労働省が認可しない病院、そして異邦警察「ディアスポリス」が存在した…。

ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-

異邦警察の警察署長として日々奮闘している久保塚は、誘拐された裏都民マリアの監禁先を突き止めるも一足遅く、彼女は殺害されてしまう。
マリアの殺害現場から逃げた若者たちは、留学生崩れのアジア人犯罪組織「ダーティイエローボーイズ」の周と林。
彼らの足取りを辿り、西へ西へと移動する久保塚と相棒の鈴木。
久保塚に付きまとう伊佐久らヤクザたち。
周と林が西へ向かう目的とは…。そして、伊佐久の思惑とは…。
異邦人誘拐事件は、いつしか壮絶な三つ巴戦へと発展していく…。

ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-

すぎむらしんいちとリチャード・ウー(長崎尚志)原作の人気コミック「ディアスポリス 異邦警察」。
その熱狂的な人気と文化庁メディア芸術祭マンガ部門で審査委員会推薦作品に選ばれた実績にもかかわらず、キワどすぎる世界感から実写化不可能と称された伝説の漫画をこの春、ドラマ化。
そして早くも、劇場版が全国公開となりました。

ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-

主演は、日本映画界を代表する俳優に成長した松田翔太。
彼が全身全霊で演じる久保塚は、ワイルドでセクシー。
一挙手一投足から目が離せません!

また久保塚の仲間である裏都庁のレギュラーメンバーも、ユニークな顔ぶれ。
久保塚のバディとして間合いも絶妙な掛け合いを披露する鈴木役には、在日ファンクとして活躍するミュージシャンであり、俳優としても抜群のセンスを見せる浜野謙太。
裏都庁助役の阿役に、ドラマ・バラエティ番組と幅広く活躍する柳沢慎吾。

さらに注目なのが、映画版のキーパーソンとなるダーティ・イエロー・ボーイズの二人、周役の須賀健太と林役のNOZOMI。
全編中国語での芝居に挑み、残忍で殺人も厭わない男たちの狂気と悲哀をあますところなく表現しています。

「最近の映画は面白くなくて…」とボヤいてる人にこそ、観てほしい

ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-

ドラマ「ディアスポリス 異邦警察」のオンエアが決定した時、映画ファンはにわかにどよめいたものです。
…というのも、ドラマ演出を務めたメンバーが、ハンパない顔ぶれだったんですよ。

『パビリオン山椒魚』の冨永昌敬、『モヒカン故郷に帰る』で助監督を務めた茂木克仁、新作『ディストラクション・ベイビーズ』も話題の真利子哲也と、日本映画界の鬼才がズラリ。
彼らと松田翔太さんとの奇跡のコラボレーションは毎回連ドラの枠を超えた勢いが伝わってきました。

そしてドラマに続き、劇場版でも監督を務めたのが、熊切和嘉監督。
銃撃戦から肉弾戦までバトルシーンをエキサイティングに切り取っていく手腕もさることながら、1960年代から70年代にかけてのニューシネマを彷彿させる作風にシビれます。

人間の無力さとかすかな希望と悲哀を描いた、ザラついた触感が新しくもあり懐かしくもあり…。
「最近の映画は面白くなくて…」と映画館から足が遠のいている、ニューシネマに刺激を受けた世代にこそ観てほしい一作です。

ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-

2016年9月3日映画、やるよ。
監督・脚本:熊切和嘉
原作:ディアスポリス-異邦警察-(脚本:リチャード・ウー 漫画:すぎむらしんいち〈講談社『モーニング』所載〉)
出演:松田翔太、浜野謙太、須賀健太、NOZOMU、安藤サクラ、柳沢慎吾 ほか
©リチャード・ウー、すぎむらしんいち・講談社/映画「ディアスポリス」製作委員会
公式HPサイト http://www.dias-police.jp/

八雲ふみね