上高地を歩いてガッツリ腹ごしらえ~松本駅「山賊焼」(760円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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松本~新島々(しんしましま)間・14キロあまりを結ぶ「松本電鉄上高地線」。
松本駅7番線を発車して、各駅に停まりながらおよそ30分。
終点・新島々で「アルピコ交通」のバスと接続、上高地・乗鞍方面への足を担います。
実はこの車両、元・京王井の頭線の3000系。
信州の地でのんびりと第二の人生を送っていました。
(画像は平成25(2013)年初秋に撮影)

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上高地」は、昭和50(1975)年から環境を守るために「マイカー規制」が行われています。
クルマで来た人も、松本側は「沢渡(さわんど)」、高山側は「平湯(ひらゆ)温泉」の駐車場でシャトルバスに乗り換え。
駐車料金は1日600円、沢渡~上高地間のバスは片道1,250円・往復2,050円(1人)、複数名利用ほどお得です。
ダイヤ上は日中30分間隔の運行ですが、繁忙期には随時発車。
沢渡~上高地間は、所要時間およそ20~25分といったところ。

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今回はバスを上高地の入口「大正池」で下り、梓川に沿って歩きます。
私自身は2度目の上高地ですが、夏に訪れたのは初めて。
いやぁ、とにかく空が青い!
そして白い入道雲とのコントラストが美しい!!
この景色があるから、人は上高地に魅せられるのですね。

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気温20℃前後、平地の蒸し暑さが嘘のように涼やかな風が吹き抜けます。
少し早めのペースで歩いても、額にうっすらと汗をかく程度の陽気の中、およそ3.5キロ先の河童橋を目指します。
空こそ「夏の青」ですが、梓川の畔では早くもススキの穂が広がり、トンボが飛び交っていました。
都内ではスカッと晴れる日が少なかったこの夏ですが、季節は着実に進んでいるようです。

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途中、上高地帝国ホテルに立ち寄って、早めのランチをいただきながら河童橋までは2時間あまり。
さすがに河童橋は、多くの人で溢れていました。
体力に余裕があれば、明神池まで足を伸ばしたいところですが、今回は無理せず河童橋まで。
バスターミナル~河童橋周辺だけならサンダル履きでも行けなくはありませんが、やっぱり「上高地」は神が降り立つ場所に由来する地名。
ちゃんとした靴を履き、短い距離でも自分の足で歩いて、この地で育まれてきた自然への敬意を示してこその「上高地」ではないかと私は思います。

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上高地から流れ出した梓川には、途中の旧・安曇村(現・松本市)稲核地区に「稲核ダム」をはじめとした3つのダムがあり、首都圏方面向けの電気が作られています。
この稲核地区出身の方が、小さい頃「山賊が旅人のものを取り上げていく」と聞いた話をヒントに「取り上げる⇒鶏揚げる」となって出来たといわれるのが松本の「山賊焼き」。
(「山賊焼き」の由来には諸説あります)

一般に「山賊焼き」とは、鶏のむね肉やもも肉をにんにくを効かせたタレで味付け、片栗粉をまぶして揚げたものを言い、塩尻・松本周辺のご当地グルメとして知られています。
そんな「山賊焼」が平成22(2010)年から、松本駅弁「イイダヤ軒」によって駅弁になっていました。
松本駅の駅員さんも開発に携わり、去年(2015年)の東日本エリアの駅弁人気投票「駅弁味の陣」では郷土賞も受賞しています。

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【お品書き】
・山賊焼
・長芋天ぷら
・舞茸煮物
・山葵漬
・山ごぼう辛子味噌
・あんずゼリー

鶏肉の見た目は大きいのですが、味わいは意外にあっさり。
最近は「山賊焼」の下に油を取るシートが敷かれ、白いご飯も脂っこくならないよう配慮されました。
地元のお店でも「山賊焼」を頼むと結構ガッツリなんですが、駅弁でもしっかりガッツリ!
出来るだけお腹を空かせて、思い切りかぶりつきたい駅弁です。
上高地をたっぷり歩いた後、帰りの「あずさ」でいただけば、ちゃんとお腹を満たしてくれそうです。

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今年から8/11が「山の日」として祝日になり、皇太子さまご一家を迎えて記念の式典も行われた「上高地」。
これから11/15の閉山式に向けて、日々、秋が深まっていきます。

(取材・文:望月崇史)

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