今日は天才ギタリスト佐橋佳幸の誕生日。出会いは都立松原高校3年の時だった。 【大人のMusic Calendar】

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TRUST ME,佐橋佳幸

9月7日は佐橋佳幸の誕生日。

オレがいまさら佐橋の音楽性やギターについて書いても、「お前が言わんでもみんな知っとる」って言われそうなのでプロになる以前の話でもしてみましょうかね。

以前に佐橋の芸歴30周年記念でのパンフレットに寄稿したモノと重複する部分もあります。

最初に会ったのはオレが都立松原高校3年の時。オレは文化祭で幾つかのバンドに参加していて、その出場バンドのどれにも有利にコトを進めるために「文化祭実行委員長」になりました(笑)。
ある会合の場で「今回、都立高校で初めてPA機材を導入しようと思う」と宣言したトコロ、立っていても座ってるようにしか見えない学生服のヤツが(当時都立高校は私服だったにもかかわらずw)
「先輩!オレ渋谷のヤマハに知り合いがいて機材安く借りれます!」
としゃしゃり出て来たのです。

まさに「しゃしゃり出て来た」というのがピッタリなほどムカついて出た言葉が、「お前は誰だ!」。これが佐橋に放った最初の一言でした。それに対し 佐橋をご存知の方なら分かるあの屈託のない笑顔で、「え~と 1年のサハシです~」。

ハッキリ言って、なんだこの人なつっこい牛みたいな顔のヤツは! と思いましたが、「じゃあ後で詳しく聞くから会議終わっても残ってろ」というコトで、後で状況を聞くコトになりました。

色々聞いていくウチに佐橋の知り合いというのがヤマハ渋谷店の売り場ではなく、当時ヤマハ渋谷店のビルの11階にあった「ヤマハLMスタジオ」の番頭さんである田中さんだと分かり、共通の知り合いであるコトから話が進みました。好きな音楽の話やら何やら話し込み、その日以来ほぼ放課後は一緒にいるようになりました。

余談ですが先ほどのヤマハの田中さんとは、その後プロになった後にヤマハR&D室長という肩書きで再会し、当時のキーボードの最新機種DX-7なんかで再びお世話になりました。

話を文化祭に戻します。無事格安でPA機器を借りれるコトにはなったのですが、高校生ゆえに運ぶあてがありませんでした。そこでまた佐橋が、「知り合いからリヤカー借りてくるから先輩一緒に2往復しましょう!」。

渋谷~下高井戸をリヤカーで2往復ですよ? 逆に今だったら健康の為に率先してやってたかもしれませんが(笑)。

まあそんなこんなでリヤカーで運んで、無事に文化祭を迎え、後夜祭でオレのバンドが演奏するコトになり、佐橋に「お前も出ろ」と言ったのが一緒に演奏した最初のセッションになりました。
確かジェイムス・ブラウンの「Cold Sweat」をやったんだと思いますが(←マセた高校生ですねw)、佐橋はリードを弾いたのですが 出来としては「まあ こんなモンだろ」くらいのレベル(笑)。それよりも後夜祭ではなくて昼間に自分の教室で弾き語りで佐橋が歌うのを聴いて、歌はまだまだだけど全体的にセンスある、と思った印象が強かったのを覚えています。

文化祭の後も毎日放課後はマクドや喫茶店で音楽の話ばっかりしてました。オレはその頃すでに自分が参加していたバンド「紀ノ国屋バンド」で下北ロフトや渋谷の屋根裏(まだキャバレーの3階の頃w)に出演してプロ活動をすでにしていたのでそれを佐橋が見に来たり。完全に「勉強」という2文字はどっかへ消えていましたね。

今もよく話すんですけど、「あ~オレ達って死ぬまで文化祭当日みたいなモンなんだろうなあ」。この精神はその後、渡辺美里まで受け継がれるコトになって行きます(笑)。

文化祭も終わってろくに受験勉強もせず(大学行くつもりなかったので)、ある日オレはヤマハ渋谷店の11階スタジオでデモテープが取れるチャンスをもらったので、作った曲に一年下級生だった佐藤(後のエポ)に詩を作らせ、ついでに佐橋にギターも弾かせようと思い、初めて佐橋をエポに紹介しました。

エポとは前の年から色々交流があったのですが、佐橋とエポはそれが初対面。まあ、すぐに打ち解けて問題なくコトは進みました。
デモテープといってもバンドがいるわけでもなく、なんと! すでにリズム隊はオレの多重録音! 今とやり方が逆なのですが、まず全ての基本になるピアノを録音し、それにドラム、ベース、リズムギターを重ね、そこに佐橋のリードギター、そしてエポのボーカルという、大まかに言えば今のスタイルはすでにそこで出来ていたとも言えます(笑)。

その時からほとんど3コードだった佐橋に色々なコード教えたり、ソロの弾き方教えたりと、それはそれは長い旅が始まります。

そして卒業する前、佐橋に、「オレが卒業した後お前が佐藤(エポ)の面倒みろ」と一言言いました。
そこが佐橋の面倒見(プロデュースとも言う)の原点だったのではないかと今では思います。

SAHASHI WORKS 1983-2015 Time Passes On,佐橋佳幸

【執筆者】清水信之

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