1つの役割を終えたINF条約~今後は中国を含めての議論が必要

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月1日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。米露の協議が決裂したINF条約について解説した。

INF条約 ミサイル 米露 ソ連 ゴルバチョフ レーガン大統領 全廃条約 INF 中国 習近平

調印時の写真。ミハイル・ゴルバチョフとロナルド・レーガン(中距離核戦力全廃条約 – Wikipediaより)

軍拡競争に進んでしまうのか~米露の協議が決裂し、INF条約が失効確実に

今朝の東京版毎日新聞はこれが一面トップ。INF条約(射程500kmから5,500kmの地上発射型ミサイルを禁じるもので、東西冷戦中の1987年12月、アメリカのレーガン大統領と当時のソ連のゴルバチョフ書記長が署名をした)が危機を迎えている。ロシアとアメリカは1月31日、北京でINF中距離核戦力全廃条約の継続を目指して協議したが、物別れに終わった。アメリカはロシアが明日2月2日までに条約違反に当たるミサイルを破棄しなければ、条約離脱を正式に通告する方針を示した模様で、実際に通告した場合、INF条約は6ヵ月後に失効するという。

飯田)この条約は冷戦終結に貢献したと言われるそうですが。

宮家)1987年、もうあれから30年以上経って、中距離核ミサイルの技術も進歩し命中率も上がっています。当時はその中距離ミサイルを廃棄したのだけれど、いろいろな需要があるから、やはり作るわけです。ロシアもやっているし、アメリカも開発しているはずです。最大の問題は射程が500kmから5500kmということは、北朝鮮が持っているミサイルと同じ射程だということです。

飯田)そうですね。

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1988年6月1日、クレムリンで行われた中距離核戦力全廃条約発効に関する議定書調印時の写真。レーガンとゴルバチョフ(中距離核戦力全廃条約 – Wikipediaより)

歴史的な役割を終えたINF条約

宮家)ということは、中距離核ミサイルこれから増えることはあっても、減ることは無い。そして米露だけで軍備管理をやっても、中国も持っているし、地上配備型だったらインドもパキスタンも持っているわけです。80年代の冷戦甚だしい頃の米ソだけで核兵力を独占していた時代は終わったし、技術的にも進歩している。新しい脅威に対処しなくてはいけない時代に来ていることは間違いない。その意味でINF条約というのは歴史的な使命をある程度終えた部分がある。これだけ核が拡散してしまったいま、核の軍縮をやるのであれば、より多くの国々を入れた形の新しい枠組み、ないしスキームを作らなければいけない時代に来ているのだと思います。
だけども一方では、技術的にも需要的にも、より使い易い中距離弾道ミサイルを開発せざるを得なくなっているし、実際に作っている。それをロシアがやめるわけないですから、残念ながら、INF条約は歴史的な役割を終えていくということなのだろうと思います。

飯田)では上手いこと進めばある意味、発展的解消みたいな感じに…。

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中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年記念式典での習近平。左は出席したウラジーミル・プーチンと朴槿恵(2015年9月3日)(習近平 – Wikipediaより)

米露に中国を含めた核保有国と真面目な議論をするべき

宮家)発展的にはならないですよね。ただの解消ですが、これから核軍縮の方へ発展させることができるかどうかは、中国も含めた同様の核戦力を持っている国々と真面目な議論をしないといけないだろうと思います。でも残念ながら、全体の状況としてはあまり良い方向には向かっていないですよね。だからINF条約も切れてしまうのですけれどね。

飯田)一応中国は、いままでずっと言ってきたのは、核の先制不使用と。先制攻撃としては使わないということを言ってきたから、こういうのに入らなくても、と。

宮家)いやいや。もともと中国の核戦力はICBMも含めてそれほどの脅威ではなかった。だけど最近ではかなり軍拡しています。恐らく数十発から数百発にはなっているはずです。いずれは米露に肩を並べる、もしくはそれに近付く可能性が十分あるのです。それを考えると、我々もいまから核ミサイル問題を勉強していた方が良いと思いますよ。そういう時代が必ず来ると思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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