“ジョン・F・ケネディの再来”と称された男が変えた、アメリカ、大統領、そして報道。

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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第559回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、2月1日から公開の『フロントランナー』を掘り起こします。


ヒュー・ジャックマンがどうしても演じたかった政治群像劇

“ジョン・F・ケネディの再来”と称された男が変えた、アメリカ、大統領、そして報道。
日本でも大ヒットとなった『グレイテスト・ショーマン』のヒュー・ジャックマンが、次なる作品として選んだのは、実在する政治家の物語。これまで演技だけでなく歌やダンスでも魅了するエンターテインメント性の高い作品で実力を発揮してきた彼が、シリアスなドラマに挑みました。

“ジョン・F・ケネディの再来”と称された男が変えた、アメリカ、大統領、そして報道。
1988年、アメリカ大統領選挙。コロラド州選出のゲイリー・ハートは、至上最年少の46歳で民主党の大統領候補となり、予備選で最有力候補“フロントランナー”に踊り出る。若くてハンサムであるうえに、知性とカリスマ性を兼ね備えた彼は“ジョン・F・ケネディの再来”と称され、当選は確実とされていた。

しかし、マイアミ・ヘラルド紙の記者が掴んだハートに関する“ある疑惑”が一斉に報じられると、大衆に愛されていた彼の状況は一変。勝利を目前にして、ハートの支持率は急落し、予備選の当落線上から姿を消すことになってしまう…。

“ジョン・F・ケネディの再来”と称された男が変えた、アメリカ、大統領、そして報道。
メガホンを取ったのは、ジェイソン・ライトマン監督。『マイレージ、マイライフ』『JUNO/ジュノ』など、独特のタッチで人間臭いドラマを描いてきたライトマン監督は、ハートをはじめとした関係者から徹底的なリサーチを敢行。この時代を揺るがすようなスキャンダルについて「誰が正しく、誰が間違っていたのか。その結果、どうなったのか…」ということを、作り手が観客に“答え”を提示するのではなく、常に観客に“問いかける”スタイルのドラマを構築しました。

一方、ヒュー・ジャックマンのハート役に賭ける意気込みも相当なもの。ハートに関する資料を読み込むだけでなく、ハート自身にも直接会い、映画本編には出て来ないハートのスピーチも暗唱できるほど、入念な役作りを行ったのだとか。エンターテイナー・ヒュー・ジャックマンではなく、人間・ヒュー・ジャックマンを堪能することができる作品となりました。

“ジョン・F・ケネディの再来”と称された男が変えた、アメリカ、大統領、そして報道。
勝利を目前に、一瞬にして崩れ去ってしまった輝ける未来。そのとき、ハートは? 家族は? 選挙スタッフは? スクープを追い求めるジャーナリストは? そして、国民はどのような判断を下したのか? 一連の“事実”の裏側にある“真実”に触れてみて。

“ジョン・F・ケネディの再来”と称された男が変えた、アメリカ、大統領、そして報道。
フロントランナー
2019年2月1日からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
監督:ジェイソン・ライトマン
脚本:マット・バイ&ジェイ・カーソン&ジェイソン・ライトマン
原作:マット・バイ著「All the Truth is Out」
出演:ヒュー・ジャックマン、ヴェラ・ファーミガ、J.K.シモンズ、アルフレッド・モリーナ、モリー・イフラム ほか
公式サイト http://www.frontrunner-movie.jp/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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