特急「(ワイドビュー)しなの」で旅する“姫街道”~名古屋駅「姫の宝石箱」(1,350円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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名古屋から中央西線経由で信州を結ぶ特急「(ワイドビュー)しなの」。
関西からの東海道新幹線に接続して名古屋を出ると、千種、多治見、中津川、木曽福島、塩尻、松本、篠ノ井などに停車。
松本までおよそ2時間、終点・長野まではおよそ3時間で走り抜けます。
名古屋発は朝7時台から夜7時台まで毎時1本運行、岐阜・東濃地方、長野・木曽地方の足となっています。
一方、長野駅では北陸新幹線に接続、中信の代表都市・松本を結ぶ役割も担っています。

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特急「(ワイドビュー)しなの」の383系電車は、JR東海の在来線特急ではおなじみの広い窓が特徴。
それゆえ、列車の名前にも「ワイドビュー」の冠が付いています。
長野方の先頭1号車(グリーン車)は、前面展望が楽しめるパノラマタイプの車両になることも。

また、国鉄時代から「しなの」には、カーブで車体を傾けることが出来る振り子式の車両が使われており、383系にもその伝統が引き継がれています。
383系も長野五輪を前にした平成8(1996)年の本格デビューから20年、基本は6両、列車によっては10両編成になって、まだまだ活躍が続きます。

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特急「(ワイドビュー)しなの」も全列車が停車する駅が「中津川駅」(岐阜県)。
名古屋からの快速・普通列車も多くはこの駅止まりで、中津川以北は短編成・ワンマン運転の普通列車が1~2時間に1本程度の運行となります。

そんな中津川駅の1番線には「これより北 木曽路」の碑が・・・。
元々、今は岐阜県中津川市となった「馬籠(まごめ)」には、島崎藤村が揮毫した同様のものがあります。
馬籠へは中津川駅から路線バスで25分ほどです。

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「馬籠」は旧中山道六十九次の宿場町の1つ。
江戸・日本橋から板橋、蕨と数えていくと、馬籠は43番目に当たります。
中山道は東海道と比べて遠回りでしたが、大井川の川留めや宮~桑名間の海路の危険も無く、女性によく使われたルートでした。
それゆえ「中山道」には”姫街道”という呼び名もあるんですね。
JR中央西線は、恵那(大井宿)~塩尻(塩尻宿)間で、中山道とほぼ並行しています。

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名古屋を起点にかつての“姫街道”を旅するのにピッタリな“姫駅弁”が、先週(8/22)から登場しています。
名古屋駅弁「松浦商店」が手がける、その名も「姫の宝石箱」(1,350円)。
東海地方の食の盛り上げキャラクター「東海プリンセス」とのコラボ駅弁。
「東海プリンセス」は信長・秀吉・家康の各正室をキャラクター化したものだそうです。
掛け紙には「地元の生産者と作った」「愛知のおいしさぎっしり」といったフレーズも。

今まで名古屋駅弁には味噌カツやひつまぶしなど「名古屋めし」が多かっただけに、愛知の食材をクローズアップした駅弁というのはちょっと新鮮!

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宝石箱を模した箱を開けると、二段重ねになっていました。
「ふたを開けて2度楽しめる」が製作時からのコンセプトだそう。
このあたりは「豊橋カレーうどん」の作りに似たものがありますね。
でも、ご飯・おかず少なめ、スイーツ多め。
容器にハート形が多用されるなど、多分に女子を意識した内容。
コレは今までの名古屋駅弁にあまりなかった形、面白いじゃないですか!

【お品書き】

(下段)
キャロットご飯(人参・愛知県産)
梅しらすご飯(しらす・愛知県産)
西尾抹茶ご飯
豚のミルフィーユカツ(豚・愛知県産)
奥三河若鶏カマンベールチーズカツ
ふき入りコロッケ(ふき・愛知県産)
八丁味噌トマソース(トマトケチャップ・愛知県産、揚物用)
あおさマヨネーズ(揚物用)

(上段)
タコとワカメの青じそサラダ(タコ、ワカメ・愛知県産)
豆サラダ
こだわりの煮物
手づくりの玉子巻
みかん・チェリー(みかん・愛知県産)
西尾抹茶きなこの豆乳黒蜜プリン
玄米団子黒酢あんかけ(玄米・愛知県産)
桃寒天(桃・愛知県産)

掛け紙の裏側には、生産者の方のお顔もしっかり出ています。
玄米団子の玄米は、豊川市の「こだわり農場 鈴木」のものを使用。
キャロットご飯の人参ペーストは、名古屋に本拠を置いて農園なども展開する「農力向上研究所」のものを使用とのこと。
揚げ物も小さめで、2種類のソースを選べるのが有難い!
八丁味噌ソースもケチャップとブレンドすることで、ひと味違った味わいになっていて素晴らしい引き立て役になっています。
現代の“姫君”、そして男性にとっても、名古屋の「新定番」駅弁になってほしいものです。

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“姫街道”木曽路を駆け抜ける特急「(ワイドビュー)しなの」。
中央西線沿線は江戸時代から尾張藩領で、今も昔も名古屋と関係の深いエリアです。
残暑が落ち着いてきたら、名古屋で駅弁仕入れて、秋の木曽路へ足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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