2019年ラグビーW杯とともに見逃せない“もう1つの戦い” 「ウィルチェアーラグビーワールドチャレンジ2019」

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ニッポン放送アナウンサーの新行市佳が、注目選手や大会の取材などを通して、パラスポーツの魅力をあなたと一緒に発見するための連載企画「パラスポヒーロー列伝」。今回は、「ウィルチェアーラグビー」日本代表キャプテン池透暢(いけ・ゆきのぶ)選手にインタビューさせていただいた模様をお届けします。

年が明けてから時間が経ってしまいましたが・・・・新年おめでとうございます。
今年もパラスポヒーロー列伝よろしくお願いします!年末年始はいかがお過ごしだったでしょうか。私は1月1日元日に元競泳日本代表の松田丈志さんと一緒に「ニッポン放送ニューイヤースペシャル 松田丈志Starting Over2019」という番組を生放送でお届けしました。
今年は東京オリンピックパラリンピックを来年に控え、かつラグビーワールドカップが開催される年でもあります。
そんな2019年話題のスポーツやトピックスに注目してお送りしたのですが、その中でウィルチェアーラグビーのレポートをしました。放送の中に入らなかった部分も含めて、ここで改めてお伝えしたいと思います。
ウィルチェアーラグビー日本代表キャプテン・池 透暢 選手にお話を伺いました。

2019年ラグビーW杯とともに見逃せない“もう1つの戦い” 「ウィルチェアーラグビーワールドチャレンジ2019」

池透暢 選手

【世界選手権の手ごたえについて】
まずは、日本代表が金メダルに輝いた去年の世界選手権について振り返って頂きました。
「チームディフェンスはかなり通用してきたなと思いました。世界ランキング1位オーストラリア、2位アメリカに対して日本は完璧に近いくらいのディフェンスで封じ込めていましたし、これまでにない仕上がりで精度の高いプレーができました。これまで信じてやってきたことを完成度の高いものにして出せました。
決勝のオーストラリア戦では、スタミナ部分での課題がありました。今もっている精度は通用しますし、継続していかなくてはすぐに追いつかれてしまうくらいの差なんですよね。
僕たちはずっと負けてきたからこそ、強くなってきたというのがあって、この勝ちがまた負けを呼ぶのではなくて、2020年までチャンピオンで居続けるためには何が必要かというのを探らなきゃいけないと思っています。」

2019年ラグビーW杯とともに見逃せない“もう1つの戦い” 「ウィルチェアーラグビーワールドチャレンジ2019」

世界選手権メダル、カップ(ウィルチェアーラグビー日本選手権大会<第20回記念大会>にて撮影)

【アメリカでシーズンを過ごして】
世界選手権の後、さらに成長するために池選手は昨年11月にアメリカに渡り、アラバマ州バーミングハムを拠点とするチームに所属し、シーズンを過ごしています。
昨年2018年12月にインタビューに答えて頂いたのですが、アメリカで1カ月弱を過ごしてみての印象を伺いました。
「この間ヒューストンで開かれた大会に出場したのですが、全米選手権ではないにも関わらず16チームくらい参加していて、選手が多いですね。良い選手、特徴ある選手も多いので、これから代表に出てくるんだろうなと思いました。
その大会では、同じ会場で車椅子バスケ、アンプティサッカー、電動サッカーなど他の競技もしていて、一度に色々なパラスポーツを観られるようになっていました。その点では、認知されやすい状況なのかもしれません。
アメリカの街を歩いていると空港やスーパーでも車椅子の人は多いですし、宿泊していたホテルでご飯を食べていたら、『試合を観にいきたい!』と声をかけられたことがありました。
アメリカと比べると、日本はパラスポーツを取り巻く環境としては報道やアスリート雇用が盛んになっていて、恵まれていますよね。アメリカの選手は仕事をしながら選手としてプレーしている人も多くて、トレーニングの時間を捻出するのは大変だろうなと感じました。」

【「ウィルチェアーラグビーワールドチャレンジ2019」に向けて】
今年はラグビーワールドカップと同時期10月16日~20日にかけて「ウィルチェアーラグビーワールドチャレンジ2019」が東京体育館で開催されます。
世界の上位8か国が出場するこの大会も含めて、今年の抱負を語って頂きました。
「監督が新たなラインナップを追加して、強化していこうとしているのは感じています。3点選手3人の疲労感が一番高まってくる中で、その選手たちを休ませるためのラインナップというのが現実的に必要になってきます。そのために、コミュニケーションをとってチーム編成を完成させるために力を注がなくてはいけないですね。」

2019年ラグビーW杯とともに見逃せない“もう1つの戦い” 「ウィルチェアーラグビーワールドチャレンジ2019」

ウィルチェアーラグビー日本代表

前回の記事で簡単に触れましたが、選手それぞれに障害の程度によって0.5~3.5の持ち点があり、コート上4人で8点以内にしなくてはいけないというルールがあります。障害の程度が軽い、持ち点3点台の選手は積極的に点をとるようなダイナミックな動き、重い選手は相手を止めたりなど細かく巧みなプレーをすることが多いです。3点台の選手は出場時間も長くなってくるために、休ませるラインナップ(組み合わせ)が今後さらに重要になってくるということですね。
東京オリンピックパラリンピックまで、あと1年少し。
さらなる飛躍が期待されるウィルチェアーラグビー日本代表に注目です!

【新行市佳のパラスポヒーロー列伝 第8回】

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