石油産出国のベネズエラ~なぜ経済破綻したのか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月11日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。インフレに苦しむベネズエラの現状について解説した。

ベネズエラのインフレ率が170万%に達する

南米ベネズエラの国会は9日、2018年のインフレ率が170万パーセントに達したと発表した。このインフレ率の上昇はまだ続く見込みで、IMF(国際通貨基金)は今年のインフレ率を1000万パーセントと予想している。ベネズエラは世界有数の産油国で、原油相場の低迷、現マドゥロ政権の価格統制などの失敗により経済が破綻状態になっている。

飯田)インフレ率は前の年と比較した物価の上昇率で、170万パーセントというと、日本円で言えば去年1円だったものが170万円になることです。近年200万、300万とも言われる人たちが国外に脱出したと言われています。

宮家)僕が最初にベネズエラ人に会ったのは40年前のことで、あの頃は良い国でした。しかしチャベスさんの時代に反米の社会主義国家になってしまって、アメリカに喧嘩を売る一方でばら撒きをやったわけです。石油の値段が上がっていた頃は良かったのですが、物はもう買えるから結局国内で物を作らなくなってしまったのです。そうして輸入に頼るとどうなるかというと、石油の値段が下がってしまえば自分たちでは何も作れなくなるのです。
それでいまのインフレが起きた。それ以外にも通貨、為替の規制など理由はいろいろあるのです。怒られちゃうかもしれないけれど、「中南米の人ってなんであんなに人生楽しそうに歌って踊ってやってんの?」と昔外務省の同僚に聞いたら、「簡単ですよ、彼らは聖書を実践しているのです。エデンの園でアダムとイブがリンゴをかじる前、全てが上手くいっていたときのことを彼らは実践しようとしているのですよ」と言っていました。なるほど、それはそうですよね、エデンの園には何の問題もなかったわけですから。彼らは「ちゃんとやっている」と言うのです。

飯田)彼らなりにちゃんとやっている、と。

宮家)私はそうは思いません。アリとキリギリスで言えばキリギリスの生活ですよね。これをやったら国民が真面目に働かなくなるし、一見エデンの園かもしれないけれど、実態は社会主義政権の経済的政策の失敗が国民レベルで出てきてしまったということだと思います。あんなに豊かで良いところなのに、なぜこんなに酷い政権運営しかできないのか分かりません。内政のことで専門ではないから言いたくないですが、もったいないと思いますよね。

豊富な資源に隠れた落とし穴

飯田)資源国の罠みたいなもので、それに頼ると経済が立ち行きません。

宮家)石油が大量に出なければもっと真面目に働く部分もあったかもしれないけれど、あれは棚ぼたのお金じゃないですか。それを勘違いして地道な資本主義経済をやらなかった。石油が出る社会主義は恐ろしいですよね。中南米の国全てがと言うわけじゃなくて地道にやっている国もあるけれど、逆にお金があるから不幸になった残念なケースですよね。

飯田)アメリカの恨みは、なんて言われることもある中南米の各国ですが、近過ぎるからか反米国家がけっこうできますね。

宮家)もともとスペインやポルトガルが世界中に出ていったときに、たまたま南米はスペイン語が多くなったわけです。でもカリフォルニアだって、メキシコだって元スペイン領だったわけで、ある意味でアメリカとは紙一重だったところがあります。アメリカだってリンゴを食べる前の生活ばかりやっていたら中南米と同じようになっていたかもしれません。むしろアメリカが不思議な国なのであって、中南米が普通だと考えた方がむしろ実態に近いんじゃないですか。トランプさんはアメリカを中南米に近い国にしようとしてしまっているのかもしれません。

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