イギリスと日本は持ちつ持たれつ、相互利益の関係に

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月11日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。10に行われた日英首脳会談、今後のイギリスの立ち位置について解説した。

安倍 メイ首相 イギリス 日英 訪日 EU離脱 英国 合意なき離脱 回避

ラグビーの「聖地」トゥイッケナム競技場を英国のメイ首相(右)と共に訪問し、子どもたちにボールを渡す安倍晋三首相(右から2人目)(イギリス・ロンドン)=2019年1月10日 写真提供:時事通信

安倍総理がイギリスのメイ首相と会談

安倍総理は10日、イギリスのメイ首相とロンドンで会談した。イギリスのEU(ヨーロッパ連合)離脱を3月末に控え、両首相は離脱後も経済協力を進めることで一致している。また、安全保障分野での連携を強めることなども確認し、共同声明を発表した。

安倍総理大臣)日本にとって英国は欧州市場へのゲートウェイであり、英国と共に経済成長をしていきたいと強く願っています。そのために、合意無き離脱は是非回避して欲しい。

飯田)総理は、会談後にメイ首相と記者会見に臨みました。

宮家)イギリスと日本はよく似た国で、大陸の沖にある島国だし海洋貿易国家です。昔のイギリスはもっと大きかったですけどね。最近英国といえば、英語で投資ができるがEU全体を見れる国だったのですが、今はEU離脱などということをやっているわけです。あれは民意ですから、またひっくり返るかもしれません。だけど近い将来それが無いとなれば、イギリスとしてもEUなしで生きていかなければならず、したがって世界に目を向けなければなりません。しかし国力は昔ほど無い。そうすると、似たような国と仲良くしていく形になるのが当然になります。昔のイギリスは香港を持っていたわけですから、そこに戻るわけではないけれど、海洋国家としてシーレーンを守り、自由で開かれた国際秩序を守らなければいけない。アジアの成長率の高さを考えたときに、欧州とある程度距離を置くのであれば、アジアに戻って来なければいけない。そういう意味でイギリスと日本は利益の共通性があると思います。
イギリスと日本で頑張るというイメージを持って、日英関係を考え直してさらに進める必要があります。

飯田)このところ日本のメディアが指摘しているのが、イギリスの情報量の多さです。

宮家)あそこはMI6、MI5があって、世界でも一流の情報機関です。お金はもう無くて人も多くはないけれど、イギリスの情報機関の分析力の高さは一日の長があると思いますよ。
「Five Eyes」のイギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドは英語の国で構成されています。英語による情報収集、分析という点でイギリスにはまだまだ価値があります。

安倍 メイ首相 イギリス 日英 訪日 EU離脱 英国 合意なき離脱 回避

2018年12月12日、英ロンドンで声明を発表するメイ首相(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

日本も情報のやり取りで互いに利益を得られる

飯田)日本もそこに情報を貰ったり、噛んで行こうというような……。

宮家)イギリスにいくら情報量があると言ってもアジアに関するものはあまりないのだから、アジアの情報という点では日本も捨てたものじゃないですよ。中国の研究だって日本には物凄い数の人がいます。中国語も読めるし、イギリスにとっても日本が中国、東南アジアをどう見ているかということは非常に参考になると思うのです。持ちつ持たれつ、共通の利益があるということです。

飯田)経済の面でいうと、TPPにイギリスも入ろうか、なんて色気も見せています。

宮家)リップサービス以上のものがあると思いますね。EUに嫌われているのだったら、入ってくればいいじゃないですか。昔のような大英帝国に戻るという意味ではなく、海洋貿易国家ですから、一緒にやって行けることは多いと思います。

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