徴用工訴訟~韓国の主張は「非人道的だから日韓協定の範囲外」

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月9日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。徴用工訴訟問題について解説した。

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2018年11月29日、ソウルの韓国最高裁に向かう三菱重工業への賠償を求めた韓国人女性ら=写真提供:時事通信

いわゆる徴用工訴訟 韓国の裁判所が新日鉄住金の資産差し押さえを決定

韓国の最高裁が新日鉄住金に賠償を命じたいわゆる徴用工、戦時中の朝鮮出身労働者の一連の訴訟について、韓国の地方裁判所は新日鉄住金の韓国国内にある資産の差し押さえを認める決定を下した。日本政府は企業側に不利益が生じるかどうかを見極めた上で対応策を取る方針である。

飯田)これは日韓請求権協定というもので全て解決済みのはず。

高橋)そうですね、外交保護権というものをお互いに放棄した。その範囲としては政府だけでは無く、韓国のなかのすべての機関と読むことが普通なのです。そうすると韓国の差し押さえの執行機関は執行官と言って、普通裁判所に属するのですが、一応韓国の協定には含まれるはずですから、差し押さえをガチにやるとその協定の話に触れるのですよ。だから執行機関とはいえ、外交保護権を放棄した筈でしょうと、そうすると執行はできないはずだと言うのが日本側の言い分です。
韓国の最高裁の方はそれを回避するロジックを取っていて、いわゆる徴用工の話について、「非人道的だから日韓協定の範囲外です」と言うロジックなのです。これはきついですよね。これを認めると他にも日韓協定の範囲外が山ほどできる可能性がある。

飯田)すべて人道上だと言ってしまえばそうなってしまうと。

高橋)そもそも、その人道上だと言うのも怪しい話なのですけれどね。協定の根幹に関わる話になるのですよ。すべて協定外だという話になったら大変なのです。流石に韓国の方も協定内だと裁判所の執行機関であっても、協定に服するでしょうというロジックには対抗できないから、協定外だと言うロジックをとってしまっているのですよ。
これは協定の根本の争いになります。そうすると、協定に、もしくは解釈に異議があれば外交的に解決しましょうと、お互いにそれでだめだったら日韓、そして第3国を入れた仲裁委員会でやりましょうということは協定の3条に書いてあるのですよね。ですからそこに乗っとってやるしかないです。それが多分日本としては国際社会にもきちんとした手続きだということではないですか。でもこれをやると、韓国がそれを逆手に取って、慰安婦の話もお互いにやりましょうと持って来るかもしれません。

飯田)合わせて持って来て国際的にアピールしようと。

日本政府、もしくは韓国政府を訴えるのが筋

飯田)もともと請求権協定の趣旨の部分で言うと、お互いの個人の請求権までは財産権の問題だから否定はできないけれども、それをいちいちやっていたらいつまでたっても平和条約が締結できないと、あのときの判断でこの外交保護権のお互いの放棄をやったわけですよね。

高橋)だから筋としては韓国の人も日本企業を訴えなければ良いのですよ。訴えるのは日本政府、もしくは韓国政府にしておけばいいだけなのです。日本政府にしたらそんなものは門前払いして終わるので、韓国政府になるのですけれどね。韓国政府が肩代わりしてあげれば全部終わるのですよね。

飯田)賠償金は、日本として当時のお金で相当な額を払った。

高橋)だから「後は韓国の人でよろしくね」と。どこの国もそうですが、お互いに相手の企業を訴えたら話にならないから、相手の政府、もしくは自国の政府を訴えることになる。それで済むのですよね。自国政府を訴えるのだからそこは韓国国内で解決してください、とお金を渡しているのが日韓協定ですから。

飯田)この協定もあることだし、お互い相手の企業なりを訴えても結局利益はありませんよということで、普通は訴状を受理しない。

高橋)執行をすると言っても、一応日韓協定の範囲なので。だから日韓協定の枠外というロジックを取ってしまった段階で、実はこれは大変な問題なのです。

第3国としてアメリカを入れて仲裁委員会を作る~最終的には国際司法裁判所か

飯田)仲裁委員会なのですが、日韓そして第3国が入ると、これは何処が入ります?

高橋)アメリカがいちばん良いのではないですか。

飯田)やはりそうなりますよね。

高橋)お互いに睨みが効くということで。あとは司法というか、仲裁委員会でやるのが筋だと思いますよ。そのときに恐らく慰安婦の問題を持って来るのでしょうけれども、それはそれで別だという形にしておいて。

飯田)そこはもう日韓の合意が既にあるだろうと。

高橋)これも韓国が言ってきたのだけれども、これは両方の国で駄目だと言ったわけですよ。だから多分韓国も同じようなロジックでいわゆる徴用工の話を持って行って、仲裁委員会をやろうと言ったら拒否すると思いますけれどね。拒否したときには国際司法裁判所ではないですか。

飯田)もうそこまで視野に入っていると。

高橋)これは裁判でやらないと解決がつかないでしょう。司法の話なのだから、それをもう少し上の仲裁なり国際司法というやり方しかないと思います。

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