トランプ大統領「国家非常事態宣言をしてでも壁建設」~今後は州とのせめぎ合いか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月7日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。国家非常事態宣言も辞さないというトランプ大統領の発言について解説した。

トランプ大統領、何が何でも壁建設へ

アメリカのトランプ大統領は、「メキシコ国境の壁を実現するため国家非常事態宣言をしてもいい」と述べ、議会の承認を得ずに大統領権限で建設費を捻出することを検討していると表明した。「閉鎖中の一部政府機関を再開する予算案に壁建設費を盛り込まなければ、長い期間、数カ月でも数年でも政府機関を閉鎖する」と議会指導部に述べている。

飯田)国家非常事態を宣言して、議会の承認無しに建設費の捻出手段を検討していると4日の記者会見で明らかにしています。

須田)昨日の夜、「このテーマを扱いますよ」とニッポン放送の方から連絡が来まして、この大統領権限というものはどこまで及ぶのかということを、資料をひっくり返して調べました。そうすると、この予算編成権については大統領の権限が及ばないのですね。議会の承認無しに予算はびた一文動かすことはできない、というのが結果なのです。

飯田)編成の部分は。

須田)このやり方があったのかというものが、唯一の例外として国家非常事態宣言を出して、緊急避難的に議会の承認を受けている時間が無いから先にやるものです。後に議会の承認を得ますよ、という順番を逆にした形では唯一認められているようなのです。ただ、言ってみれば戒厳令みたいな状況のなかで予算を執行することになってしまって、果たしてこれが合衆国憲法に合致するのかどうなのか。憲法に適ったことなのかというところで、これはかなりグレーゾーンだと思います。
トランプさんのことですから何でもありというやり方をやって来たのですが、流石にこの部分はどうなのでしょうか。実際に予算を執行するにあたって、メキシコとの国境地帯の州に建設するわけです。そうすると、今度は州の司法長官の判断がここに及んで来る可能性があります。予算執行はGOサインが出たけれども、州サイドが抵抗を示したときに果たして壁建設ができるのかは、現実問題として相当ハードルが高いと思います。

州の権限が強いアメリカ

飯田)日本の都道府県と違って、州の権限が大きいですものね。

須田)しかも近年、それぞれの州の司法長官の役割、権限が大きく見直されて来ています。ニュースをひっくり返して見ていると、トランプさんが何かをやろうとしても、州、なかでも司法長官が1つの障害となって、実行できないというケースがままあります。ですから、これから各州の司法長官がどういった判断を下すのかということも1つのポイントです。

飯田)それを政府側が提訴するなりして裁判が上がっていき、最高裁まで行くといまは保守派の判事が多いからという……時間はかかるわけですね。

須田)その辺りのことを考えると、さっき飯田さんが言われたように、今度は中央政府と地方の州のせめぎ合いというものもあるのだろうなと思います。

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日米のビジネスリーダーらを前にあいさつするトランプ米大統領=東京都港区の駐日米大使公邸 撮影日2017年11月06日 提供産経新聞

「移民を防ぐために執行」が予算の目的に適うか

飯田)いみじくも予算の編成権は議会に属するとおっしゃいました。この非常事態宣言で、FEMA(フィーマ)と呼ばれる連邦緊急事態管理庁を使うと。確かにあそこにはお金がプールされている。プールされているお金を執行権として使うというと、ギリギリOKなのかというところがグレーゾーンになるわけですね。

須田)そうですね。しかも、それが押し寄せる難民や移民を防ぐために執行するということが、果たして予算の目的に適っているのかどうなのかというところです。見方によっては、国家の安全が侵されつつあるのだからということで理屈が通る可能性もあります。しかし、アメリカというものは移民国家で人権を重んじ、難民に対してもきちんと対応をして来た国です。そことの兼ね合いが出て来るところです。

飯田)どこかで見たことがあるな、と思ったのですけれど、『ハウス・オブ・カード』というアメリカのテレビドラマに全く同じFEMAの予算を使ったものが出て来ていたのですが、ここで出て来るかと驚きました。

須田)よくこれを探して来たな、と思いますね。

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