10時のグッとストーリー

変わった日の出を撮り続けて24年~室蘭のPRに貢献する88歳のストーリー

番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】

きょうは毎朝、変わった形の日の出の写真を撮り続けて24年。米寿を記念して、これまで撮りためた写真をポスターにまとめた88歳のグッとストーリーです。

砂が摩擦でこすれて、キュッキュッと音を出す「鳴き砂」で有名な、北海道室蘭市のイタンキ浜。このイタンキ浜へ毎朝散歩に訪れ、冬場になるとごく稀に見られる、珍しい形の日の出写真を24年間も撮り続けている人がいます。外川忠勇さん・88歳。

日の出の写真を24年間撮り続けている 外川忠勇 さん

「日の出が変わった形に見えるのは、ほんの一瞬、5秒ぐらいなんだョ。年に1度のシャッターチャンスを逃さねぇよう、いつもカメラを持ち歩いてるんだー」

冬場になぜ、このような現象が起こるのかと言うと、気温と海水の温度に大きな差ができるため、光が屈折し、蜃気楼の一種が発生。太陽がさまざまな形に変形して見えるのです。

「ダルマ型」の日の出 (右はカモメが写り込んだ風情ある写真)(撮影:外川忠勇)

「ダルマ型」「ドンブリ型」「キノコ型」「電気スタンド型」「UFO型」などなど、変形した太陽を自分の見立てで命名。24年間で31種類の、変わった日の出の撮影に成功しました。
今年7月、88歳になったのを記念して、これまで記録した日の出の写真を1枚のポスターにまとめ、地元の新聞社などに寄贈したところ、大きな反響を呼んでいます。

地元の新聞社に取り上げられた記事の内容

「この年齢だし、14年前、散歩の帰りに車とぶつかった後遺症で……正直、歩くのが辛い日もあるけど、毎朝カメラを持って散歩してますョ」

外川さんは青森県の出身。15歳で終戦を迎えました。戦後間もなく、住んでいた村で大きな火災が起こり、実家が全焼。もう1度実家を建て直すため、北海道の釧路へ出稼ぎに出て、炭鉱夫として3年ほど働きましたが、坑内で爆発事故に遭遇します。九死に一生を得た外川さんは、炭鉱はもういいと1954年、24歳のときに、室蘭にある鉄鋼会社に移りました。

翌年結婚しましたが、51歳で奥さんと死別し、以来37年、ずっと独り暮らし。50代後半から心臓病と糖尿病を患い、体力的に働くのが辛くなって、59歳のときに職場を早期退職。療養生活に入りました。

UFO型(撮影:外川忠勇)

65歳になって、ようやく体調が回復。健康のために家から歩いて15分ぐらいのイタンキ浜まで、毎朝散歩を始めることにした外川さん。浜で初めて日の出を目にしたとき、その美しさにすっかり魅せられてしまいました。以来外川さんは、よほど天候が悪くない限り、毎朝カメラを持って散歩。日の出の写真を撮り続けました。

キノコ型(撮影:外川忠勇)

そして冬のある日、珍しい形の日の出に遭遇したのです。「これはすごい!」と感激した外川さんは、残りの人生を「日の出撮影」に捧げることに決めました。よりいい写真を撮るために、場合によっては、30分ほどかけて山の上に登って撮影することも。

「日の出を撮り始めて、散歩にも張り合いが出て、おかげですっかり健康になったョ。糖尿病の食事制限も、一切しなくてよくなったし、カメラに命を救われたねぇー」

ドンブリ型(撮影:外川忠勇)

室蘭に移って、もう60年以上。自分がイタンキ浜で撮った日の出の写真が、第二の故郷・室蘭のPRになれば、という思いもあるのです。90歳を過ぎても、自分の足が動く限り、日の出の写真を撮り続けたいと言う外川さん。

「これから先、1月・2月が、変わった日の出が撮れるチャンスなんだー。これまで撮ったことがない形を撮れるかもしれない。休んでなんかいられないョー」

八木亜希子 LOVE&MELODY
FM93AM1242ニッポン放送 土曜 8:00-10:50

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