日本がIWC脱退で商業捕鯨の再開~永遠に一致しない議論

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月21日放送)に外交評論家・キャノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。日本のIWC脱退について解説した。

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日本、IWC脱退へ 調査捕鯨で北海道・釧路港に水揚げされたミンククジラ=2017年年9月 写真提供:共同通信社

日本がIWC(国際捕鯨委員会)脱退へ

日本が捕鯨に対する大きな政策の転換を図ろうとしている。政府は昨日、鯨の資源管理を話し合うIWC(国際捕鯨委員会)を脱退し、IWCが禁じる商業捕鯨を北西太平洋でおよそ30年ぶりに再開する方針を固めた。脱退は来週発表する予定で、来年1月1日までにIWCの事務局に通達した場合、6月末での脱退が決まる。

飯田)国際機関脱退、極めて異例だと報じられています。

宮家)政治というものは常にローカルなのですよね。これはもう世界中同じで、この捕鯨の問題も、一昔前はどの国もみんなやっていました。しかし、ある段階で保護ということが言われて来ました。続けている国は日本だけではないのですが、我々が鯨肉を食べるかと言うと、最近は食べないです。食べているのは一部の市町村です。そういう意味ではローカルな問題です。彼らにとっては死活問題ですから、それを保護するのは国家として当たり前なのだけれど、ではそれをどのようにしてバランスを取るかということです。
日本の国益を考えたときにどのくらい大きなことかと言ったら、それはローカルで見るかナショナルで見るかで違うということです。脱退とか言うと国際連盟脱退みたいで嫌な響きだけれど、決してそういうことではないと思います。
これで近海だけにして、いくつかの国と小さな国際機関を作ってやるか。残すという前提で考えるといろいろな手があると思いますが、そこがどこまで持ち堪えられるか……頑張って来ましたけれどね。

鯨料理は日本の食文化

飯田)メールやTwitterでも頂いておりまして、日本の文化という点だとやはりローカルな話になるのですが、“のんきなのん太”さん、46歳八王子市の方。「鯨に関しては私が子供の頃、鮪の刺身よりもよく食べていたのですが、若い人たちは食べたことがないんじゃないかと思いますね。鯨の肉の料理は立派な日本食で、文化だと思っています。これだけ日本に外国人が訪日しているのだから、鯨料理をもっとアピールして美味しさを理解して欲しいと思うのですよね」と頂きました。文化の面に加えて、けっこう増えすぎているなんて指摘もあるのですよね。

宮家)残念ながら、あの人たちは美味しいと思わないのです。可哀想だと思うのですよね。そう言っちゃ身も蓋もない話なので、永久にダメなのです。

飯田)IWCの議論がどんどん感情論になって行っているじゃないか、という批判もあるようですね。

宮家)感情論といえば感情論です。我々が感情論でなければね。向こうからすると、我々が感情論を言っているように聞こえるかもしれませんよ。

飯田)文化に固執しやがって、という風になってしまうのかもしれません。

宮家)これは永遠に一致しない点だと思います。それをどこまで頑張るか、というところです。

飯田)タイミングを指摘する報道もあって、今後G20が大阪であったりします。そういうときに環境系の過激なデモがあるので、警備が大変になるのではないかという指摘があります。

宮家)脱退しようがしまいが、どっちみち来ます。確信犯で来るのだから、それはまた別途やれば良いのです。関係無いと。

オーストラリアとの関係、捕鯨が唯一の問題

飯田)その捕鯨反対の先鋭的なところがオーストラリアだと。きちんと付き合わないといけないのに、棘が刺さったままなのはどうだ、という話もあります。

宮家)オーストラリアとの関係はほとんど問題ないのです。これとイルカくらいですね。それが良いのかと言ったら民主主義ですから、独裁でやるわけにはいかないので、日本の国内にこういった伝統と文化がある以上はそれを無視して外交はできません。ただし、そこで折り合いをどうやってつけるのかを考えなければいけないので、脱退が良いのかは1つの考え方だったと思いますが、今回はその判断をしたということでしょう。

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