笑いと共に、熟年婚活大国ニッポンの闇に迫る…『後妻業の女』 しゃベルシネマ【第59回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回の「しゃベルシネマ」では、大人が楽しめる話題作をご紹介。
ニッポン放送「笑福亭鶴瓶 日曜日のそれ」でお馴染み、笑福亭鶴瓶さんが出演する映画『後妻業の女』を掘り起こします。

お金と愛と男と女が織りなす人間喜劇

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結婚相談所主催の結活パーティーで知り合い結婚した、小夜子と耕造。
二人は幸せな結婚生活を送るはずだったが、2年後に耕造がこの世を去ってしまった。
娘の朋美と尚子は、小夜子が全財産を受け継ぐという遺言証明書を突きつけられる。
納得のいかない朋美が調査すると、小夜子は後妻に入り財産を奪う“後妻業の女”だということが発覚。
しかもその背後には、結婚相談所の所長・柏木がいた。

朋美は探偵の本多とともに、次々と“後妻業”を繰り返してきた小夜子と柏木の悪事を暴こうと奔走する。
一方小夜子は、次のターゲットである不動産王・舟山に本気で惹かれ始め…。

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長寿化・核家族化に伴い、65歳以上の一人暮らしは600万人以上と言われている現代ニッポン。
シニア世代の恋愛や結婚が以前よりもオープンになった昨今、熟年離婚やその反動での熟年婚活も増加し、いまや空前の熟年婚活動ブームとなっています。
この世相を背景に、金持ち男の後妻に入り、財産を狙う…。
それが、この映画のテーマともなっている“後妻業の女”です。

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原作は直木賞作家・黒川博行氏の受賞後第一作となる「後妻業」。
シリアスでハードボイルドなタッチの原作を名匠・鶴橋康夫監督がケレン味たっぷりの人間喜劇に仕上げました。

主人公・小夜子を演じるのは、日本を代表する名女優、大竹しのぶ。
結婚相談所所長の柏木に、日本映画界でも唯一無二の個性を放つ豊川悦司。
小夜子が惚れる不動産王の舟山には、笑福亭鶴瓶。
共演には津川雅彦、永瀬正敏、尾野真千子、長谷川京子、水川あさみ、風間俊介…と、実力派俳優たちがズラリ。

これだけの出演者が揃って、面白くないワケがない!
エンターテイメントとしても人間ドラマとしても「傑作」の呼べる一作となりました。

人間とは、かくも欲深く愛おしいモノ!?

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誤解なきようお伝えしておきますと、本作で描かれているのは「犯罪」です。
現実に起こったならば、決して笑える事態ではありません。
そんな“笑えない設定”をシュールに、コメディタッチに描いているのが本作の魅力。

その魅力を最大限に引き出しているのは、やはり俳優陣の熱演の賜物でしょう。
観客をグイグイ巻き込んでいくような濃い〜芝居に、小気味よいコテコテの大阪弁。
騙す側も騙される側も、ひとクセもふたクセもあるキャラクターばかり。

例えるなら、ソースたっぷりマヨネーズこってりの大阪名物お好み焼きのような映画…といったところでしょうか。
しかしベテランも若手も関係なくユーモラスに展開する作品世界からは、「最後にもう一花咲かせたい」という男性の、「死ぬまでオンナでいたい」という女性の、それぞれの人間の性(さが)が透けて見えるよう。
同時に、矛盾に満ちた“人間”という生き物の切なさも感じます。

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それにしても、小夜子を演じる大竹しのぶさんは、同性から見てもとてもチャーミング!
オトコに狙いを定めた時のコケティッシュなまなざし。天真爛漫な笑顔。
これじゃぁ、男性が騙されるのも無理はない…といった艶やかさでした。

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2016年8月27日から全国東宝系にてロードショー
監督・脚本: 鶴橋康夫
原作: 黒川博行「後妻業」文春文庫刊出演:大竹しのぶ、豊川悦司、尾野真千子、長谷川京子、水川あさみ、風間俊介、笑福亭鶴瓶、津川雅彦、永瀬正敏 ほか
©2016「後妻業の女」製作委員会
公式サイト http://www.gosaigyo.com/

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