新たにカナダ人が中国で拘束か~勝負から降りられないアメリカと中国の背景

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月20日放送)に外交ジャーナリストの手嶋龍一が出演。中国によるカナダ人の追加拘束について解説した。

カナダ人 拘束 中国 4人 米中 貿易 アメリカ トランプ ファイブアイズ ファーウェイ

中国でカナダ人3人目拘束 記者会見する中国外務省の華春瑩副報道局長=2018年12月19日、北京(共同) 写真提供:共同通信社

中国で3人目のカナダ人拘束か

カナダ紙ナショナル・ポスト電子版は中国で新たにカナダ人が拘束されたことを、カナダ外務省が確認したと報じた。カナダ当局が、中国通信機器大手ファーウェイの副会長を今月1日に拘束して以降、カナダ人の拘束は3人目となる。
中国外務省の副報道局長は、定例会見のなかで「聞いていない」と述べるに留まった。

飯田)これをファーウェイと関連付けて報道するところもかなりあるのですが。

手嶋)先程、新行さんのアナウンスのなかで「カナダ政府はこの3人の拘束と一連のファーウェイの事件の関連を、必ずしも示していない」と言いましたよね。これが非常に大きなポイントで、2012年、当時の日本の民主党政権は尖閣諸島の国有化をして、中国の怒りを買いました。中国はそのときに合わせて、日本の建設会社フジタの社員4人を拘束しました。そして、当時の日本の電気自動車にとって基幹的な原料であるレアメタルの対日輸出を差し止めました。
このときに、当時民主党政権の防衛省政務三役の1人と私はテレビでやり合ったことがあるのです。私は「こういうフジタ職員の拘束があっても、日本政府は毅然として対応すべきだ」と言ったのですが、「手嶋さんはそう言うけれども、いまフジタの職員4人が人質になっているんですよ」ということで、この問題について「中国側の意向を踏まえて行動すべきだ」と言ったので、私は「政府の一員として聞き捨てならない」と申し上げて、「いいですか。あの中国政府ですら、フジタの職員4人の拘束とこの尖閣の国有化を結び付けてはいないんですよ。それなのに、それを忖度して貴方は妥協すべきだと言うのか」と言ったら、全く沈黙したまま彼は反論ができなかったわけです。カナダ政府はそのことを知っていて、関連付けないのだと思います。

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中国広東省深圳市にある華為技術(ファーウェイ)本社キャンパス(ゲッティ=共同)=2018年12月7日 写真提供:共同通信社

カナダとアメリカは密接に連携している

手嶋)カナダ政府には「ファイブ・アイズ」と言われる、通信傍受の機関があります。これはアメリカを含め5カ国あるのですが、その中核の1つです。

飯田)イギリスなどの連邦国家ですね。

手嶋)カナダで拘束があったことは偶然ではない、ということになりましたから、カナダとアメリカは密接に協力しながら、中国と息の詰まるようなやり取りをしているということです。アメリカが身柄の引き渡しを要求していますが、もしかするとそれが実現するかもしれないということで、中国からすると拘束は1人では足りないということなのだと思います。まさに、賭けのチップが積み上がって来ているので、この勝負は見物なのだと思います。このときに、かつての民主党政権のような轍を犯して欲しくないのです。ここは毅然として対応することが重要だと思います。

飯田)中国は、状況を見ながらカードを切って来ている。チェスで言えば駒を進めて来ている。アメリカの次の一手というと、ここで降りるわけにはいかないわけですよね。

手嶋)ここはカナダ政府を引き連れて、「ファイブ・アイズ」の実力を見せるというところです。

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