アメリカ軍がシリアから撤兵~日本にも及ぶその影響

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月20日放送)に外交ジャーナリストの手嶋龍一が出演。アメリカ軍のシリア撤兵について解説した。

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米軍、シリア撤収作業開始 シリア北東部ハサカで、クルド人主体の民兵組織「シリア民主軍」と警戒に当たる米兵=2018年11月4日(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

アメリカ軍シリアから完全撤収か

アメリカのサンダース大統領報道官は19日に声明を発表し、「アメリカは過激派組織ISIL(アイシル)を打倒した」として、シリア駐留アメリカ軍の撤収を開始したと表明した。
アメリカ国防総省のホワイト報道官も19日、アメリカ軍の部隊をシリアから帰還させる作業に着手したことを発表している。

飯田)発表だけでも大きなニュースになっていますよね。産経新聞は一面トップで伝えています。

手嶋)これはかなり大きなニュースです。ただ、ISILは確かに打倒されたのかもしれませんが、シリア情勢はますます悪くなって来ています。このなかで、どうしてトランプ政権が2,000人以上の大隊を撤収するのかということです。これを世界がどのように受け止めたのかということになると、トランプ政権はやはりアメリカファーストなのだということです。アメリカさえ良ければいいということですよね。そうすると、アメリカの貴重な戦力を中東のような、トランプ大統領から見るとそれほど決定的な国益が掛かっていない地域には置いておく必要がないということです。大きな流れでそういうことだと思うのですけれど、しかし日本や東アジアを含め、アメリカは海外から兵を引くのかということになります。
朝鮮半島には在韓米軍がいて、大きな寄りどころになっていますが、ここからも兵を引くのかもしれない。現にトランプ大統領の選挙戦を通じて、そのことをほのめかしています。一言で言うと、世界はトランプ大統領のダンケルク撤退作戦を恐れていることになりますよね。

飯田)第二次世界大戦の出来事ですね。

アメリカ軍のシリア撤退が世界の政局に与えるインパクト

手嶋)そんなことをすればどうなるのか。いま、シリア情勢については、楽観できないと申し上げましたけれども、シリアのアサド大統領は化学兵器を自国民に使ったかもしれないと言われていますよね。そのアサド政権の背後に誰がいるのかと言うと、強権的なロシアのプーチン政権です。これだけならまだしも、ロシアのプーチン政権と手を結んでいるのが、核開発の疑惑がある隣国のイランです。イランはシーア派の大国ですよね。
このロシアとイランは、シリア情勢で手を結んでいます。よく「テヘラン・モスクワ枢軸」と言われます。いま中露も接近していますから、これに加えて「テヘラン・モスクワ・北京枢軸」というものがうっすらと見えています。そのなかで、明らかにシリアでのプーチン大統領とイランの勢力が強まってしまいます。
ロシアとイランとは、トランプ政権は激しく対立していますよね。発言力が無くなってしまう、というようなことが起こります。アメリカファースト、トランプ政権のダンケルク撤退作戦が世界の政局に大きくインパクトを与えるのは、誰が考えてもわかります。

飯田)ダンケルク撤退の当時は、陸上の大国だったドイツがどんどん台頭して来るなかで、イギリスやアメリカなどの海洋国家が海の外へ引くという作戦だったわけじゃないですか。同じように、いま陸上の大国であるロシアと中国が手を結んで、海洋国家と2つに分かれつつあるということになって来るわけですか?

手嶋)そうですね。トランプ政権が世界と上手くやっている新しい平和の時代が来るのだったら別ですが、米中、米露の衝突と言われるようなところで、実力部隊を退くのが良いのかどうか……。日本では「戦争が起こらなければ良いことだ」と言います。僕もそうは思いますが、その世論が強いので、撤兵ということになると良いことだと思ってしまうかもしれません。しかしその結果はやがて日本にも押し寄せて来ると、世界は心配していると思います。

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