森永卓郎が分析~なぜ日本だけが経済成長できないのか

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「垣花正 あなたとハッピー!」(11月21日放送)に経済アナリストの森永卓郎が出演。GDPシェアは20年前の3分の1になってしまった。なぜ日本だけが経済成長できないのか——その理由を近著に基づいて分析した。

会議の会場となった、ニューヨークのプラザホテル(プラザ合意 – Wikipediaより)

日本のGDPシェア3分の1のショック~きっかけは1985年の「プラザ合意」

多くの方は日本経済が低迷しているとは思っていますが、大転落しているとはあまり実感していないと思います。ところが実はとてつもない大転落をしているのです。世界のなかで日本経済が占めるGDPのシェア、1995年に18%あったものが、直近の2016年では6%まで下がっています。3分の1に落ちた。これは裏返すと世界並の普通の国と同じような経済成長をしていたら、今頃我々の所得は3倍になっていたということです。

なぜそんなことが起こったのか、歴史を振り返って行くと、最初のきっかけは1985年ニューヨークのプラザホテルというところに先進国の大蔵大臣、いまの財務大臣と中央銀行総裁が集まって「プラザ合意」というものをやりました。
このプラザ合意を決める前の為替レートは1ドル240円でした。それがたったの2年で120円まで円高になった。日本だけが倍になったのです。
為替レートというものは、私は国の競争力の90%以上を占めていると言っています。なぜなら、為替が2倍になってしまうと日本が輸出する自動車や家電製品の値段が2倍になってしまう。そうしたら売れなくなりますよね。

日本銀行 – Wikipediaより

バブルは日銀が煽った可能性が高い

現にこのプラザ合意の後、輸出がガツンと落ちて、とんでもない円高不況が日本経済を襲うわけです。そこで政府はこの円高不況対策として思い切った財政出動をして、日銀は金融緩和をして景気対策をしたのだということになっているのですけれども、それで何が起こったかと言うとバブルが起きたわけです。それが1980年代後半のバブル。良く調べて見るとこのバブルは日銀がわざと煽った可能性が極めて高いのです。

どういうことかと言うと、昔は窓口指導と言って銀行に貸出枠を与えていました。これは役人が予算を消化するのと一緒で貸出枠までいっぱい貸さないと、次の年の貸出枠が減らされてしまう。ところが円高不況で銀行に貸し先なんて無かったのです。仕方がないので不動産融資に走って投機がどんどん進んで行った。

そしてバブルが崩壊する。このバブルの崩壊も、実は当時の大蔵省の総量規制、不動産融資を規制しようというものがきっかけだと言う人がいます。でも、きちんと歴史を見るとそうではないのです。バブルが崩壊した後締めに行っているのです。日銀の資金供給量を見ると日銀はバブルが崩壊してどんどん日本経済が悪化していくなかでも、どんどん金融を絞めて行く。つまり高い山とそこから先の深い谷を作ったのは大蔵省と日銀だったのです。どう考えても、わざとやったのです。

なぜ、そんなことをしたのかと言うと、1980年代アメリカはものすごく日本に対して怒っていました。石油ショックの後の日本が燃費性能の良い、高性能の小型車をバンバン輸出して、アメリカ車が売れなくなった。「ふざけんじゃねえぞ、日本叩き潰してやる」と、いまのトランプ大統領と同じようなことをもっと強烈に言っていたのです。そのアメリカが日本をやっつける為にどうしたらいいか、日本を乗っ取るのは難しいのですね。なぜかと言うと、株式の持ち合いをしていて、お互いに企業が株式を持ち合っているのでそう簡単に乗っ取れないのです。

1989年に、三菱地所が約2200億円で買収したニューヨークのロックフェラー・センター。当時の日本企業による国外不動産買い漁りの象徴となった(バブル景気 – Wikipediaより)

バブル崩壊によって暴落した地価~小泉内閣の不良債権処理

それから、メインバンクというものが付いていて、銀行が、ちょっと経営が悪くなるときちんと資金を融通してくれて、なおかつ本当に悪くなると銀行が役員を送り込んで来て経営再建をする。しかも系列間でお互いに取引する、例えば三菱グループだと生命保険は明治生命とか、車は三菱自動車とかグループ内でできるから、経営が安定するわけです。それをやっつけるのは難しい。どうしたらいいか、1つだけ方法があったのです。日本は不動産担保融資というものをしています。不動産を担保に取ってお金を貸す。これは銀行にとってリスクはないのです。返せなくなったら担保を処分して回収すればいいわけですから。しかし、ここに1つだけアキレス腱があるのです。
地価が暴落すると回らなくなるのです。担保を取っても、地価が暴落すると担保の価値がなくなってしまうので回収ができなくなってしまう。
普通土地は下がらないのですけれど、下げる手段というものがバブルを起こして、そこから奈落の底に突き落としてやるということです。そうすると下がるのです。

都心の一等地は、場所にもよりますけれど10分の1になった。そうすると全部担保割れになってしまう。それで担保割れを起こした企業を片っ端から潰せとやったのが、小泉内閣が行った不良債権処理です。

同時多発テロが起こった後、小泉総理はホワイトハウスにブッシュ大統領を訪ねたのですよ。当時小泉さんが「日本は自衛隊を派遣してでもこのテロとの戦争に参加します」と言ったら、ブッシュ大統領は「小泉総理、それは良いから日本は1日も早い不良債権処理を進めてくれ給え」と答えた。
アメリカはその同時多発テロで経済的に苦しんでいたのですね。それで、「不良債権処理を進めて日本の企業を二束三文でアメリカに全て受け渡せ」ということだったのだと思います。
そしてそこから不良債権処理が始まったのですけれども、この後もっと凄いことが起こります。

小阪支店・八戸ノ里支店 のエントランス(三菱UFJ銀行 – Wikipediaより)

ハゲタカの魔の手は企業だけでなく金融機関へ

なかなか不良債権処理が遅々として進まないなかで何をやったかと言うと、銀行を追い詰めれば融資先が一気に売りに出て来るぞということが分かるわけです。それでUFJ銀行がターゲットになった。UFJ銀行が大赤字を出して、三菱銀行が救済合併をしたという表面的な構図になっていますが、この赤字は実は金融庁が作り上げた逆粉飾決算だったというのが私の主張なのです。


三菱UFJ銀行の戻り益

乗り込んで行って、不良債権でも何でもないものを、「これも不良債権だ、これも不良債権だ」というレッテルを張って行って大幅な赤字を出して経営を追い込んだのです。それがインチキだったと分かるのは、三菱と合併した後、三菱UFJ銀行に莫大な不良債権の戻り益が発生するのです。この戻り益というものは実は不良債権だと思ったのだけれど、実はそうではなかったというのが戻り益。これが7,000億円という、とてつもない額で発生するのです。それが、金融庁がインチキをしたという何よりの証拠だと私は思います。
UFJ銀行を追い詰めて、そこの融資先を二束三文でたたき売らせるためにやったことです。竹中大臣は当時、「合併は認めるが合併をするまでに不良債権を綺麗にしろよ」と言ったという話なのです。

これで日本の資産がとてつもなく奪われたのです。イメージしやすいのはゴルフ場なのですが、いまはもう日本のゴルフ場ってハゲタカさん達の持ち物になってしまっています。これは作るのに100億円くらいかけて1億、2億、3億というとんでもない値段で売り飛ばされているのです。そういうことが企業レベルでもいっぱい起こったのですよ。だから日本の企業が日本のものでなくなってしまったら、経済は失速する。


日本人が騙された3つの神話

いまでもそれが続いています。例えば水道法の改正で水道を民営化すると、グローバル資本が水道をやる。カジノを解禁すると、グローバル資本がカジノをやるのです。本当は日本人がカジノをやればいいと思うのですけれど、それがずっと続いて行く。なぜこの全面服従をずっと続けなくてはいけないのかということがエピローグに書いてあるのですけれども、ここはヤバい話なので放送では言えません(笑)。私の見立ては日航123便の墜落事故が原点だったのではないかなと思います。そして、このとてつもない借りをアメリカに作ってしまったのが、これをもたらしたのではないかということです。

日本人が騙された原因は、アメリカに守って貰わないと日本の防衛はできないということと、消費税をあげないと財政が破たんしてしまうということ、金融緩和を続けるとハイパーインフレになるという、この3つの神話を信じたことでこういう状態になってしまったのです。

森永卓郎『なぜ日本だけが成長できないのか』 (角川新書))

垣花正 あなたとハッピー!
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