マイケル・コーエン氏に実刑~トランプ大統領の外堀は埋まりつつあるのか?

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月14日放送)に国際政治学者の高橋和夫が出演。トランプ大統領元顧問弁護士の実刑判決について解説した。

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ニューヨークの連邦地裁を出る、トランプ米大統領の長年の個人弁護士だったマイケル・コーエン氏(中央)(アメリカ・ニューヨーク)=2018年11月29日 写真提供:時事通信

トランプ大統領の元顧問弁護士に、禁固3年の実刑判決

ニューヨーク連邦地裁は12日、トランプ大統領の元顧問弁護士マイケル・コーエン被告に禁固3年の実刑判決を言い渡した。量刑の内訳は、元ポルノ女優らへの口止め料支払いに関する選挙資金法違反の罪が3年、ロシア疑惑を巡る偽証罪が2ヵ月。双方の刑は同時に執行される。コーエン被告は連邦議会への偽証、選挙資金法違反、脱税などの罪を認めた一方で、「罪を犯したのはトランプ氏のせいだ」と非難した。また、コーエン被告はウィリアム・ポーリー判事に対し、「トランプ氏が自分に光でなく闇の道を進むよう仕向けた」と主張している。

飯田)一方でトランプ大統領はTwitterで、「私がコーエン氏に対して法律を破るよう指示したことは1度もない。彼は弁護士であり法律を知っているはずだ」と書き込んだということです。「ロシア疑惑」から始まったものですが、この人は司法取引があるなどとも言われていますよね。

高橋)司法取引をしたのだけれど、また嘘をついちゃったというようなことで、判事の心象も悪くしたということです。トランプタワーをモスクワに建てる件については、ロシアとかなり長い間、最近まで交渉していて、それをトランプさんは知っていたとか、女性への口止め料の支払いもトランプさんは知っていたというようなことをおっしゃったので、コーエンさんの言うことが正しければ、これまでトランプさんが言っていたことはみんな嘘だったことになるわけですよね。

飯田)いま特別検察官が捜査している最中ですけれども、そのルートともシンクロするのでしょうか?

疑惑について、モラー特別検察官が捜査

高橋)モラー特別検察官の報告書もそのうち出るだろうと。1月に新しい議会が開かれたら、民主党が今回下院で勝ちましたから、下院でいろいろな委員会が立ち上がって公聴会が始まって、「ロシア疑惑はどうなんだ、この選挙法違反はどうなんだ」と、トランプさんの外堀がだんだん埋められて来た。そのクライマックスが、恐らくモラーさんの出して来る報告書だろうとされています。アメリカではこれを冗談のように「モラー・タイム」と言っています。アメリカでよく飲まれているビールに「ミラー」というものがあって、楽しいときにはビールを飲む「ミラー・タイム」というコマーシャルがあるのです。その民主党にとっては楽しい「モラー・タイム」が近づいて来ましたねトランプさん、ということで。トランプさんはもう絶対にミラーのビールは飲まないでしょうね。

飯田)モラーさんはいろいろ捜査をすることになりますが、大統領としては、どういう対抗策があるわけですか?

高橋)実は、大統領がモラーさんをクビにするんじゃないかという噂がありますが、それをやると自分が黒だと認めるようなものなので、やったらおしまいです。トランプさんはどうあっても埃が出て来たな、という感じですね。

飯田)いまとは制度が違いますけれど、かつてのニクソン大統領は特別検察官をクビにしました。それが引き金になって、弾劾裁判が大きくなったわけですか?

高橋)あれが大きかったですね。「やっぱりニクソンは黒なんだ」とみんなが思ってしまって、弾劾を下院でやることになって上院に持って行って、3分の2が賛成したらクビになります。ニクソンさんは「これは絶対に勝てない」というところで、辞めました。

飯田)自ら引いたと。

高橋)弾劾されそうだから辞めた。だからトランプさんの外堀は全部埋まってしまったな、とみんな思っていますよね。

上院の共和党議員にとってトランプ大統領を守ることが自分にどう影響するか

飯田)一応上院に関しては、大統領与党の共和党が過半数は持っている。

高橋)ただ、共和党の方でトランプさんを守るために投票したら、次の自分の選挙で叩かれることを心配します。議員先生方が、どっちの方が自分が生き残るためには得かということです。これは弾劾だろうという疑惑が出て来たら、「トランプには辞めて貰おう」ということになるかもしれません。
民主党側からしてみれば、次の大統領選挙でトランプさんが辞めたらペンス副大統領か他の人ですよね。そういう埃の出ない人が良いのか、傷だらけでもまだやっているトランプさんの方が相手としてどうなのかです。民主党が追い詰めることができるかは別として、追い詰めるのかどうかという計算も民主党のなかではありますよね。

一本化が求められる民主党

飯田)その民主党の大統領選候補ですけれども、これはまた昔の名前が出ていますね。

高橋)まだ出るのか、というような方の名前が出て来ています。トランプさんが出たときも共和党は17人候補者がいて、1回の討論会で収まらないなかでトランプさんが勝ち抜いたわけですから、民主党はいまは固まっていませんが、民主主義なので誰かに一本化すれば勝てます。割れちゃったらトランプさんがまた、ということになるかもしれません。

飯田)それこそ、クリントンさんがもう1回あるかも、みたいな噂も出て来ていますね。

高橋)本人はそのつもりなのですよね。みんな推してよ、みたいな感じなのですが、周りはまたかという雰囲気があって、それは副大統領だったバイデンさんもそうですよね。一本化できれば良いのです。前の大統領選挙のときも、クリントンさんはクリントンさんで良かったのですが、ライバルのバーニー・サンダースさんを副大統領候補にしていれば勝てたのにとみんな思ったのですが、クリントンさんは「そんなことしなくても勝てるのよ」と思ったのでしょうね。ですから、トランプさんを倒したいのだったら民主党の一本化が求められますよね。

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