イギリスのEU離脱問題~ロンドンから撤退する民間企業

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月13日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。イギリスのEU離脱について解説した。

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2018年12月12日、英ロンドンで声明を発表するメイ首相(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

英メイ首相~与党の信任投票を経て続投へ

イギリスで与党保守党が、メイ首相を党首として信任するかどうかを問う投票が行われた。信任票が過半数を超える200票となり、メイ首相の続投となった。退任の事態は避けられたが、依然として離脱の手続きが前進する見通しは立っていない状況。

飯田)EUとは合意した離脱協定案。その国会での採決が「通りそうにないから」と見送られている。さらに、足下でもこうして突き上げを食らっている。四面楚歌状態ですね。

鈴木)そもそも「EUの離脱そのものに対して、国民世論も含めて構えができていたのか?」というところまで疑われてしまうような感じです。信任・不信任に関しては「まぁ信任されるよね」という感じだったのが、急に昨日や一昨日くらいになって、やや強行な人たちは声が大きいのもありますが「もしかしたらダメかも。そうなると、次のトップを選ぶまでに数カ月かかって大混乱だ!」と、けっこうザワザワしていたようです。結果は信任で落ち着きましたけれどね。

民間企業はすでにイギリスから離れつつある

鈴木)この問題は政府、政治のレベルで考えなければいけないですが、私が取材しているのは民間企業です。この問題でイギリスに支社があって、そこで仕事をしている日本企業の方たちに話を聞いてみると、そもそも離脱の仕方がハードかソフトかで揉めていますが、民間企業としては、イギリスは間違いなく変わりつつあるわけです。例えば有名なロンドン金融市場は中心的でセンターのような地位でしたが、これがEU離脱となると、地位が下がるかもしれない。それなら「ロンドンに企業を置いていていいのか?」となる。EUはハードやソフトに関係なく、全体の経済市場のなかで、イギリスからどんどん離れて行くようになって来る。イギリスは世界に向かって「自由にやって行く!」と言っているけれど、現実的には民間が引き上げている。そういうことを考えている日本企業もけっこうあるらしいです。だから、民間レベルで言うと、離脱は明るい未来を築けない気がします。

飯田)まだ離脱していないですが、けっこう先んじて企業は動くところがある。イギリスの金融『HSBC』はアイルランドやフランクフルトに移すとか、いろいろ都市の名前が出て来ていますからね。

鈴木)実は私が取材したのも、金融関係者です。きょうの信任・不信任は関係なく、すでに距離を置き始めている。そういうなかで、安倍さんがどんな外交をやっていくのか。これも段階が次に行くから難しいと思いますけれどね。

飯田)EUとの間はEPA交渉は妥結していて、EUの議会も通ったと言う話が昨日出ています。着実に貿易関係は進んでいて、「イギリスはどうするの?」というものがこれからですね。

鈴木)日本にとってヨーロッパのイメージはイギリスやドイツですよね。そのうちの1つですから、やはり安倍外交にも知恵が必要かな、という感じになって来ると思います。

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