ときに人は悩み、苦しむもの 【瀬戸内寂聴「今日を生きるための言葉」】 第16回

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まだわたしは生きています。

生きている限り、様々な人々とも思いがけない出逢いが

行く手に待ち受けていることでしょう。

同時にそれは、多くの別れをも受け入れることになります。

人間が好きで、だからこそ小説書きになったわたしにとっては、

人との出逢いが、たといそのため、苦痛や悲哀を伴っていても、

生きている何よりの証しとして嬉しく有難いことに思われます。

まことに、人はなつかしく、恋しく、哀しいものです。

瀬戸内寂聴

瀬戸内寂聴プロフィール

撮影:斉藤ユーリ


出典:『生きる言葉 あなたへ』光文社文庫