『ボヘミアン・ラプソディ』は何のことを歌った曲なのか?

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番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】

今回も、前回に引き続き、クイーンの特集をお送りします。今回は「この声、大好きリクエスト」にちなんで日本人を魅了したフレディ・マーキュリーの歌声と、名曲『ボヘミアン・ラプソディ』の“声”に秘められたストーリーをお届けします。

『ボヘミアン・ラプソディ』は何のことを歌った曲なのか?
クイーンの曲が現在も聴き継がれ、新たに若いファンも生まれている理由……それは楽曲の良さと、フレディ・マーキュリーの圧倒的なボーカルにあります。フレディは飛び抜けて声域の幅が広く、上下4オクターブの声が出せました。

「フレディは、あれだけ声が出るわりには、のどがすごく弱くて、ライブの後で取材すると驚くほど声がガラガラだったり、『のどの調子が悪いから取材は明日にしてくれ』ということもありました。声の管理には人一倍気を遣っていましたね」と語るのは、日本の音楽誌でクイーンに最も多く密着取材を重ねた『ミュージック・ライフ』の元編集長・東郷かおる子さん。

スタジアム級の会場で、2時間近く声を張り上げて歌うプレッシャーは相当なもの。そんなフレディを演奏とコーラスで支えたのが、バックを務めるブライアン、ロジャー、ジョンの3人です。

「『ドント・ストップ・ミー・ナウ』のような、フレディの背中を押すようにせき立てるクイーン独特のコーラスは、化学反応というか、あの4人だからこそできたことですよ」

75年、初の来日公演を大成功のうちに終え、イギリスに帰国したクイーンは、郊外の農場に作られたスタジオにこもって、通算4枚目のアルバム『オペラ座の夜』のレコーディング準備を始めます。

このとき、スタジオへ取材に行った東郷さん。いま公開中の映画にもそのシーンが出て来ますが、東郷さんによると「あの農場はあんなに汚くなくて、すごくきれいな所でしたよ(笑)。映画ではレコーディングシーンになっていましたけれど、実際にはあそこはリハーサルのためだけに使っていたんです」

朝から晩までリハーサルを繰り返すなか、日本での記憶がさめやらぬ4人は、東郷さんを大歓迎してくれました。特にサービス精神旺盛なフレディは、「息抜きにテニスしてる写真はどうだい?」と撮影にもいろいろ気を遣ってくれたそうです。

しかし、音楽のことになると目つきが変わり、スタジオにはいつも一番乗りで登場。演奏がうまくまとまらないときは、「ここは、こうした方がいいんじゃないか?」と問題点をどんどん指摘。何度も練習をくり返したそうです。スタジオではフレディがリーダーシップを発揮し、ボーカルも納得いくまで歌い直しを重ねました。

このときに作られた、名曲『ボヘミアン・ラプソディ』。オペラ風の構成にしようというアイデアで制作されたこの曲も、4人のコーラスワークが絶妙ですが、フレディは他のメンバーが「こんな声、出せないよ!」と言っても「いや、出るはずだ!」と何度も挑戦させました。

とりわけ高い「♪ガリレオ~」のコーラス部分は、ドラムスのロジャーに何回も録り直しをさせていますが、その回数はなんと20回以上でした。ようやく完成させました。東郷さんは言います。

「人がやらないことをやるセンスが、フレディは抜群でした。クイーン独特のコーラスも『自分ができるんだから、みんなもできるだろう』とメンバーに要求して、他の3人もそれに応えたからこそ、他に真似のできないものになったんです」

音程が絶対にぶれず、圧倒的な声量で、変幻自在なフレディの声。そして、それを支える3人のコーラス。『ボヘミアン・ラプソディ』は、1つの曲にクイーンが持つ魅力のすべてをつめ込んだ傑作となり、アルバム『オペラ座の夜』ともども、初めてイギリスで1位を獲得。クイーンは世界的バンドへと成長していきました。

東郷さんはあるとき、フレディにこんな質問をしたことがありました。

「『ボヘミアン・ラプソディ』って、何のことを歌ってるの?」
フレディの答えは……「ああ、あの歌は、僕のすごくプライベートな歌なんだよ」
「プライベートって、どういう意味?」
「……それは秘密さ(笑)」 

東郷さんは言います。
「フレディは答えてくれなかったんですけど、彼の人生観、恋愛観、人間観、父親や家族、メンバーへの思い……喜びも悲しみも、彼のすべてがこの声に凝縮されている気がしますね」

八木亜希子 LOVE&MELODY
FM93AM1242ニッポン放送 土曜 8:00-10:50

八木亜希子 LOVE & MELODY

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毎週土曜日 8:30~10:50

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