浦和レッズ・オリヴェイラ監督が低迷するチームを立て直すためにしたこと

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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。本日は、9日のサッカー天皇杯決勝で、チームを優勝に導いた浦和レッズの指揮官、オズワルド・オリヴェイラ監督のエピソードを取り上げる。

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【サッカー天皇杯決勝 浦和レッズ対ベガルタ仙台】優勝し喜び合うオリヴェイラ監督(中央)ら浦和イレブン=2018年12月9日 埼玉スタジアム 写真提供:産経新聞社

「私たちにとって、特別なゲームになりました。全員が、私が与えた方向性に従ってくれたと思います」(試合後、浦和・オリヴェイラ監督のコメント)

9日に、埼玉スタジアムで行われた天皇杯決勝。幸いにもホームで戦えることになった浦和レッズは、ベガルタ仙台と対戦。試合は前半13分、MF・宇賀神友弥が豪快なスーパーボレーシュートを叩き込み、浦和が先制。この1点を堅守で守り抜き、1−0で浦和が12大会ぶり7度目(前身・三菱重工時代含む)の栄冠を手にしました。

今大会で、浦和は6試合を戦い、奪われたゴールはわずか1点。4回戦から4戦連続で相手を完封できたのは、集中力のたまものであり、オリヴェイラ監督が言うように「全員が同じ方向を向いて戦った」からこそです。

そして天皇杯優勝によって浦和は、昨年制覇したACL(アジア・チャンピオンズリーグ)への出場権も獲得。Jリーグは出場枠圏外の5位で終え、「前年王者が出場を逃す」という危機に直面していましたが、権利が取れるラストチャンスをものにしたことは、チームにとって大きな成果となりました。

今年の浦和は、Jリーグ開幕5試合で2分3敗と1勝もできずに低迷。スタートでつまづき堀孝史監督が解任。そんな状態のチームを、シーズン中から引き受けたのが、元鹿島アントラーズの指揮官で、ブラジル人のオリヴェイラ監督です。

鹿島時代は2007年から5年間チームを率い、就任1年目からJリーグと天皇杯を制覇。08年、09年もJリーグ優勝を果たし、史上初の3連覇を達成した、まさに“優勝請負人”なのです。

その手腕を買われて、鹿島のライバルでもある浦和の立て直しを依頼されたオリヴェイラ監督。まずは慌てず、選手の特徴を見極め、6月下旬、W杯でリーグが中断している期間を利用して合宿を実施。ブラジル流のフィジカルトレーニングでみっちりと鍛え上げ、それから戦術を指示したのです。それは「積極的守備からのカウンター」。

はっきりとした方向性が明示されたことで、チームの失点は減り、だんだん「負けないチーム」が形作られて行きました。この合宿を境に、崩壊しかけていたチームは再び立ち直ったのです。

さらにオリヴェイラ監督は、選手だけでなく、浦和サポーターにも「結束」を呼び掛けました。非公開だった前日練習を、特別にサポーターにも公開したのです。これに賛同したサポーター800人が、練習場に集結。横断幕110枚を掲げ、選手たちを激励しました。

「サポーターの存在が選手の限界を超えさせた。それがタイトルにつながった」(オリヴェイラ監督)

短期間でチームを立て直し、いまや「監督についていけば間違いない」と選手も全幅の信頼を置くオリヴェイラ監督。来季は、どういった形でチームをさらに成長させるのか、その手腕に注目です。

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