ジョージ・H・W・ブッシュ~従軍経験のある最後の大統領

By -  公開:  更新:

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月7日放送)に外交評論家・キャノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。先月亡くなったジョージ・H・W・ブッシュアメリカ第41代大統領について解説した。

ジョージ・H・W・ブッシュ ブッシュ パパブッシュ 追悼 国葬 イラク戦争 フセイン 大統領

ワシントン大聖堂で営まれたブッシュ元米大統領の国葬で、弔辞を終えた長男のブッシュ元大統領(アメリカ・ワシントン)=2018年12月5日 写真提供:時事通信

追悼パパブッシュ

先月30日、94歳で死去したパパブッシュことアメリカ第41代大統領ジョージ・H・W・ブッシュさんの国葬が5日、ワシントン大聖堂で執り行われ、国内外の要人およそ3,000人が功績を偲んだ。トランプ大統領もメラニア夫人と参列、ブッシュ家に敬意を示した。長男で第43代大統領のジョージ・W・ブッシュさんは「高潔さとユーモア、いたわりの心を教えてくれた。息子や娘が望み得る最高の父だった」と言葉を詰まらせながら弔辞を述べた。

飯田)海外の報道を見ると、とてもたくさんの方が集まって偲んだようです。

宮家)アメリカの大統領のなかで、50年代の古き良きアメリカを代表するような大統領でした。きちんとしたエリートとしてのたしなみを持ち、慎みを持ち、誰に対しても分け隔てしない。いい話がたくさん残っています。でもいい人だから1回しかできなかった。
私は1991年にワシントンに赴任しましたが、そのときの大統領でした。英語では“パパブッシュ”とは言わないです。アメリカ人は“ブッシュ41”と言って息子と区別しています。41代大統領だから。
太平洋戦争で小笠原のそばで乗船していた戦艦が撃沈したのですが、それにも関わらず、下院議員をやり、中国のアメリカの代表をやり、CIAの長官をやった。その後レーガン大統領の時代に副大統領になって、大統領になった。冷戦が終わって、それで湾岸戦争があってと、激動の時代だったわけです。

経験者だからこそわかる戦争の恐ろしさ

飯田)従軍経験の話をされましたが、“瀬戸は夕凪”さんからメールを頂いています。「従軍経験がある最後の大統領だったようです。その後3人の大統領が誕生しましたが、誰も従軍経験はありません。『戦争経験のない政治家は危険だ』なんてことが日本でも言われますが、アメリカはどうなのでしょうか?」

宮家)そうだと思います。マケインさんもベトナム戦争で捕虜になって、「他の仲間より先には帰らない」という立派な捕虜だったのですが、彼も英雄ですよね。戦争を知っている人は、戦争の怖さを知っています。ですから、ブッシュさんがクウェートにサダム・フセインが侵攻したとき、サウジに軍隊が終結してクウェートを解放するのだけれど、そのときにアメリカの強硬派の連中は「バグダッドまで行ってサダム・フセインをやっちまえ」と言っていたのです。それに対してブッシュさんは「そんなことをしたら、おびただしいほどの兵士が死ぬ。そんなことはできない」と言って拒否したのです。
でもその拒否したことを息子がやった。それが2003年のイラク戦争。それが親父と息子の違いです。息子が従軍経験があったら、やらなかったと思います。サダム・フセインのところへ行ったらどうなるかわかるでしょう。戦争が終わった後、占領したことで何が起きたか、何千人も米兵が亡くなったではないですか。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

番組情報

飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

番組HP

忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。

Page top