ファーウェイのCFOが逮捕された本当の理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月7日放送)に外交評論家・キャノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。ファーウェイのCFO・孟晩舟がカナダで逮捕されたことについて解説した。

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中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)(ロシア・モスクワ)=2014年10月2日 写真提供:時事通信

ファーウェイ

カナダの司法当局は5日、ファーウェイの創業者の娘で副会長のCFO(最高財務責任者)を務める孟晩舟(もうばんしゅう)容疑者を今月1日、カナダ・バンクーバーで逮捕したと発表した。アメリカメディアによると、孟容疑者の逮捕はアメリカ当局の要請に基づくもので、ファーウェイがアメリカのイラン制裁に違反した疑いがあると見て、アメリカへの身柄引き渡しを求めているということである。

飯田)ファーウェイの幹部が逮捕された衝撃は「ファーウェイショック」となって、アジアを中心に世界の株式市場に影響が出ています。このファーウェイはスマホや携帯電話の基地局などの通信製品で、強いブランド力を持つという中国の代表企業です。スマホの世界シェアはアメリカのアップルを抜いて、韓国のサムスン電子に次ぐ2位につけています。創業およそ30年の民営企業で、170カ国地域以上で業務を展開しているということです。昨日は株が大幅に下がりました。

宮家)一般論しかいまは言えませんが、この会社は札付きの会社だと思っています。中国のこの種の会社というものは、中国政府と協力するか、もしくはその支援を受けていないとここまで大きくはなりません。たしかに国営ではなく民営であることは事実ですが、創業者は軍人です。アメリカが中国政府に対して怒っているのは、「お前ら、諜報機関を使ってアメリカ民間企業の情報を全部抜き取って、それを諜報機関だけで使うのならばともかく、中国の民間企業に横流しして強化しているではないか。それはルール違反だ」ということなのですよ。その典型例の可能性がこのファーウェイにあるのです。
よく言われるのは、企業の通信機器に1つ小さなチップが入っていて、そのチップから流れている情報が全部、中国側に抜かれている可能性があるということです。それは単に個人情報の漏洩ではなく、国家安全保障の問題でもある。たまたま米中の貿易戦争があって、先日は米中の首脳会談があり、そのタイミングで逮捕されているから、貿易問題ではないかと思われる人もいるかもしれませんが、もっと根が深い問題です。

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中国広東省深圳市にある華為技術(ファーウェイ)本社キャンパス(ゲッティ=共同)=2018年12月7日 写真提供:共同通信社

日本にも同様の問題が起こる可能性がある

さらに心配なことは、日本企業でファーウェイの機器を使っているところがあるかもしれない。もし、それがあるとしたら、これは国家安全保障上の問題になり得る、ということが懸念されているのだと思います。

飯田)きょうの読売新聞の一面は中国の通信2社、ファーウェイとZTEですが、「省庁、公の機関で使うのは排除しよう」ということが出ています。

宮家)当然です。防衛省がこんなもの使ってどうするのですか。もちろん、チェックはするのでしょうけれど。問題は防衛省だけではなくて、民間の企業でもしそれを使っているのだとしたら、本当はアメリカと同じような形で、国家安全保障上、もしくはプライバシーの侵害も含めて、漏洩するのではないかということをチェックしなくてはいけない時期に来ていると思います。このファーウェイとZTEの話は何年も前から言われています。中国については、アメリカが懸念を持ち始めてもう数年になりますが、最初から出て来ている問題の1つです。彼らは調達で、この2社については入れないと前から決めています。日本でも同じような時期に来ているのかもしれません。

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