「信じる心」は世界を変える!『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』 しゃベルシネマ【第57回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

毎年8月は、われわれ日本人にとって平和について考える機会が多い月。
そこで今回の「しゃベルシネマ」では、小さな町で起きた奇跡の物語『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』を掘り起こします。

アメリカ人少年と日系人男性との友情を通して描く、戦争へのメッセージ

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第二次世界大戦下、アメリカ西海岸の小さな町。
町の誰よりも背が低く、”リトル・ボーイ”とからかわれていた8歳の少年ペッパー。
彼の楽しみは、”相棒”である父親との空想ごっこと、大好きな奇術を一緒に見ること。
大好きな父親との幸せな日々がいつまでも続くと信じていたペッパーだったが、徴兵検査に引っかかった兄の代わりに父親が戦場へ借り出されてしまう。

心の支えである父親の不在に一度は絶望するペッパーだったが町の司祭とその友人である日系人・ハシモトの力を借りて、戦場からの“父親奪還大作戦”を開始。
少年の一途な想いは、海を越えて父親へと届くのだろうか…。

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監督は、メキシコ出身の新鋭アレハンドロ・モンテベルデ。
アカデミー賞で2年連続監督賞を受賞したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥをはじめ、ギレルモ・デル・トロ、アルフォンソ・キュアロンなど、近年多くの才能を輩出してきたメキシコから、今後大注目の才能が新たに生まれました。

主人公のペッパー少年に大抜擢されたのは、これまでほぼ演技未経験のジェイコブ・サルバーティ。
オーディションを受ける兄弟に付いてきていたところ、モンテベルデ監督の目に留まったジェイコブくん。
信念を貫くひたむきな少年を、表情豊かに演じています。

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ペッパーの母親役を『博士と彼女のセオリー』のエミリー・ワトソン、司祭役を「フル・モンティ」のトム・ウィルキンソン、そしてストーリーの重要な鍵を握る日系人・ハシモト役を『47 RONIN』のケイリー=ヒロユキ・タガワなど、脇を固める顔ぶれも多彩。
重く苦しい時代を描きながらも、ユーモアを交えながらファンタジックな美しい物語を紡ぎ出しています。

「信じる心」は世界を変える!

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父子の愛情を軸に、少年の視点で戦争と平和を描いた本作のタイトルには、ふたつの象徴が込められています。
それは“リトル・ボーイ”と揶揄される小柄な少年と、広島に落ちた原爆。
モンテヴェルデ監督と脚本家のペペ・ポーティーロは、故郷メキシコでは教わらなかった第二次世界大戦中のアメリカの歴史や、日系人の強制収容所についてなどの史実を知り、さらに広島に投下された原子爆弾が “LITTLE BOY (リトル ボーイ)” と呼ばれていたことから着想を得て、この映画を制作しました。

その影響でしょうか、アメリカを舞台にアメリカという国の視点から描かれている映画でありながら、どこか中立な視点を持っている作品のように感じます。

アメリカと日本それぞれの信念を並列に描くことで、当時は当たり前とされていた差別主義を浮き彫りにすると同時に、少年の目を通して戦争をありのままに見つめた本作は、どの国も人も責めることなく、ただ「戦争とは、平和とは何か」と、静かに私たちに語りかけてきます。

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終戦から71年の時を経た、今年5月。
オバマ大統領がアメリカの現職大統領として戦後初めて広島を訪問し、私たちは戦後の歴史が大きく動いた瞬間を目撃しました。
戦争とは…。平和とは…。
いまこそ、その問いにひとりひとりが向き合いたいものですね。

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2016年8月27日からヒューマントラストシネマ有楽町、ユーロスペースほか全国順次公開
監督:アレハンドロ・モンテヴェルデ
キャスト:ジェイコブ・サルヴァーティ、エミリー・ワトソン、ケイリー=ヒロユキ・タガワ、マイケル・ラパポート、デヴィッド・ヘンリー、エドゥアルド・ヴェラステーギ、ベン・チャップリン、トム・ウィルキンソン、ほか
© 2014 Little Boy Production, LLC.All Rights Reserved.
公式サイト http://littleboy-movie.jp/index.html

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